まずはスイングでクラブがどう動くのかを理解すること

アマチュアの方のショットでよくあるヒールヒット。フェースの芯を外れてヒール側に当たるミスショットです。ドライバーの場合は、おおむね飛距離をロスする程度でとどまりますが、アイアンの場合は、基本的にヒール側が前に出てボールに当たる。つまりフェースが開いた状態でヒールヒットしますからシャンクになりかねません。
 
こういった症状を止めようと、みんなスイングに手を加えてしまうのですが、実際のところヒールヒットのほとんどは、スイングではなくアドレスに問題があります。言い換えると、ヒールヒットするのは、スイングに伴ってクラブがどう動くのかを理解していないから、ということになります。
 
アマチュアの方のほとんどは、アドレスでアイアンのソールを地面にペタッとつけています。そうしなければいけないと考えている人も多いでしょう。
 
実はこれが大きな間違いで、ショットのアドレスでは、絶対にトゥ側を浮かせておかなければいけません。中にはすでにトゥ側を浮かせて構えている人もいるかもしれませんが、そんな人でも大抵は浮かせ方が足りません。その意味ではアマチュアゴルファーの9割はトゥ側を浮かせていないと言っても過言ではないのです。

7番アイアンのインパクトでは5~15度、ライ角がアップライトになる

では、なぜアドレスでトゥ側を浮かせなければならないか説明しましょう。
 
スイングでは腰が回ります。ご承知のように、インパクトの瞬間はアドレス時よりも腰が左に回っているのが正しい形です。
 
この時、左肩の位置はアドレス時よりちょっと高くなります。それに伴ってグリップの位置も高くなる。私はこれを「グリップアップ」と呼んでいますが、アドレス時より手が浮くわけです。
 
インパクトからその直後では、ソールが地面にペタッとつく状態になるのが理想です。ボールのところでライ角通りにクラブが入ればロフト通りにボールをヒットできるからです。
 
しかし、アドレスでソールをペタッとつけしまうと、そこからグリップアップするので、トゥ側が下がり、ヒール側が浮いたインパクトになる。つまり、アドレスでトゥ側を浮かせておかないと、クラブのライ角通りにインパクトできないのです。

インパクトでライ角がどれくらい変わるかというと、アマチュアの方の場合、7番アイアンで5~15度。アドレスよりインパクトの方がややアップライトになります。
 
この度数はインパクト時の腰の回転に比例します。腰がたくさん回るほど左肩が上がるからです。女子プロのように、インパクトで腰がたくさん回るプレーヤーは、左肩がより高くなるので度数が大きくなる。そのため人によって度数に差が出るのです。
 
そこにシャフトのしなりによる物理的現象のトゥダウンが2~3度加わります。トゥダウンまでを含めた場合、少ない人で5度、多い人で15度くらい変わるというわけ。平均は10度くらいです。ちなみに私は12度とちょっと多めなので、トゥ側を12度浮かせてアドレスしています。7番アイアンのライ角が62度だとしたら、アドレスで50度にしておくと、インパクト時の“リアルライ角”も62度になるというわけです。
 
ペタッとソールした場合も、ヘッドは説明したように動きます。その場合、インパクトでヒール側が前に出てきてボールに近づきます。ヒールヒットとトゥヒット、どちらのミスが多いか比べた時に、ヒールヒットする人が圧倒的に多いのはそのためです。要はインパクトを前提にアドレスしていない人が大多数ということなのです。

なお、ペタッとソールした状態で手元を下げてトゥ側を浮かせると、前傾が深くなって手が体に近づきます。そのまま振るとインパクトで手元が詰まるので、少しボールから離れて、両腕が真下に垂れた状態にしてください。トゥ側を上げるとボール位置がトゥ側に寄ったように見えますがそれでOK。ヒール側にボールがあるのは論外です。トゥ側を浮かせてアドレスしたら、あとは普通に振ればいいですよ。




吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・表参道の「表参道ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。





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