ゴルフの歴史を支えてきたヒッコリーゴルフをご存知?今世界で注目されているから実際にプレーしたら才能開花された
SDGsとゴルフ|第32回
ゴルフクラブのシャフトにスチールが使われるようになったのは1930年代。それ以前は、ヒッコリー(クルミ科)という木製のシャフトが利用されていた。このヒッコリークラブを使用したヒッコリーゴルフが流行りつつある。
GOLF TODAY本誌 No.621/93ページより
日本でも徐々に愛好者が増えている「ヒッコリーゴルフ」
ヒッコリー競技に倉本、加瀬、芹澤など名選手が出場
ニッカーボッカーズをはいた日本を代表する名選手の笑顔が溢れた。2023年12月に太平洋クラブ八千代コースで開催された「PGAヒッコリーゴルフトーナメント太平洋クラブカップ」。倉本昌弘、加瀬秀樹、芹澤信雄など、ゴルフファンにお馴染みの選手が、ヒッコリークラブを手に勝負を繰り広げた。
初めて握ったという選手も少なくなかったが、さすがプロゴルファー。すぐにアジャストして好プレーを見せてくれた。2日間の36ホールのストロークプレーで行われた競技では、篠崎紀夫プロが通算イーブンパーで優勝。「(ヒッコリーシャフトは)自分のクラブよりも上手くいきましたよ」と賞金50万円を手にした。
想定外の楽しさ!100年以上前のクラブでラウンド
海外ではヒッコリーゴルフが昔から人気
日本では第1次ゴルフブームは、1957年に開催されたカナダカップ(現・ワールドカップ)で日本が団体優勝を果たしたことがきっかけと言われている。その当時使われていたクラブのシャフトはスチールが主流。読者の中には、祖父母や両親が当時使っていたクラブを今も持っている方もいるかもしれない。
英国や米国など、もっと昔からゴルフが流行っていた国では、祖父母や曾祖父母が使用していたヒッコリーシャフトのクラブが今も家にあるゴルファーも珍しくないそうだ。また、アンティーククラブショップも日本より多く、ヒッコリークラブでのプレーは日本ほど珍しいことではない。
ヒッコリーゴルフ人気は世界でも高まっており、毎年10月に開催されるメジャー大会「ワールド・ヒッコリー・オープン」には世界各国からゴルファーが参加している。
飛距離は20%ほど落ちるが、新たな可能性が見えてくる
実際にプレーをしてみるとどうなのか?筆者もヒッコリークラブをレンタルしてラウンドをしてみた。なお、クラブはアンティークだけでなく、昔のヒッコリーを忠実に再現したレプリカもあるという。
ボールはクラブへの負荷を少なくするため市販のやわらかいタイプのボールを使用。気になる飛距離はドライバーで20%くらいダウンした。今のドライバーよりも低めの弾道で打った方がランも稼げて飛距離が出るようだ。アイアンは最初左へのヒッカケが多かったが、「ヘッドを遅らせて打ってください」というアドバイスを受け、クラブヘッドの重みを意識しながら下半身主導でゆったりとしたリズムで打つとナイスショットが増えた。
アプローチでは、グリーンの外からでも積極的にコロがしを選択。不思議なことに、ヒッコリーシャフトのパターはグリーンの外からでもよく寄ってくれた。普段のラウンドでもパターは、ヒッコリーを使用しようかと真剣に検討中である。
今回はレディスティからラウンドして距離が短かったこともあり、スコアは普段のラウンドとあまり変わらなかった。「もしかしたらヒッコリーゴルフの才能があるのでは?」と新たな希望を見出した。ちなみに、ヒッコリーゴルフを始めてから1年も経たずに世界チャンピオンになった方もいるそうだ。太平洋クラブ八千代コースでは、毎月ヒッコリー月例を開催。ヒッコリーのレンタルクラブもあり誰でも参加可能だ。
重さが200gもあったヒッコリーシャフトの時代のヘッドは今よりも軽かった
「スイングバランス理論」はシャフト重量が揃ったスチール時代のもののはず。ところがその基準は球聖ボビー・ジョーンズのヒ...
北村 収
1968年東京都生まれ。ゴルフ雑誌(ALBA)編集部、ゴルフダイジェスト・オンラインメディア部門に所属後、2011年に株式会社ナインバリューズを設立。ゴルフ分野を中心に、取材・執筆・編集からソーシャルメディア、web、Eコマースの企画運営まで総合プロデュースを手掛ける。
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