バックスイングをインサイドに引くと同時に体を沈み込ませていた
Sさんは50代前半、キャリア20年弱のゴルファーで、平均スコアは90~100といったところ。スイングの症状としてはダフりやトップが多く、スライスよりはフックに悩まされていました。
そのスイングはかなり複雑でした。まず、テークバックは手だけで引く。文字通り、手と腕だけが動いて体が動きません。続くバックスイングではクラブがインサイドに動きます。手でインサイドに引く感じで体が引っ張られて動き出していました。おまけにこのタイミングでヒザを曲げて体を沈み込ませるクセがありました。
沈み込むことで体が回っていると思い込んでしまうせいか、トップにかけては体が回らず、手でクラブを上げていきます。そのため本人はそう思っていなくても、トップで沈んだ体が若干伸び上がる感じになります。
切り返しからダウンスイングの動きはここまでの逆で、ダウンスイングからインパクトにかけてのプロセスで体が沈み込みますが、ボールを打ちに行く動きが入るので上体が突っ込みます。そのままだとダフり。ダフりを防ごうと伸び上がるとトップする。おおむねこれを繰り返す格好になっていました。ボールに当てに行く動きが入るとダウンスイングでのリリースも早まりますが、これが原因でダフりやトップを引き起こす傾向も見られました。
沈み込まないと当たらないようヘッドを浮かせたアドレスから始動
修正法としてはまず上下動を抑えていただきました。バックスイング時の沈み込む動きで、体が回った感覚になっているフシがあったので、アドレスでボールのところにヘッドを置かず、ヘッドを少し浮かせた状態で構えていただきました。
地面にソールしていたアドレスからヘッドを浮かせるアドレスに変更。若干上体が起きてアップライトな構えにした
こうすると沈み込まないことにはボールに当たりません。S さんの場合、インパクトで体が沈んだり伸びたりするのが当たらない原因だったので、あえて沈み込まないと当たらないようにセットアップにしていただいたわけです。さすがにそれ以上伸び上がるとトップするのはわかりますし、相当突っ込まない限りダフりません。多少沈んでもいい状態を作ってダフりとトップを抑えたのです。
ヘッドを浮かせて振る利点はもうひとつあって、以前より前傾角度が浅いアドレスになること。ややアップライトな構えになり、手首とクラブでできる角度が小さくなるため、テークバックを手で上げづらくなります。直立して野球のバットを振るようなイメージで体が回りやすくなると考えていただけばいいでしょう。手を使わなければクラブをインサイドにも引けなくなるので、スイングの始動からクラブを正しい軌道に導けるようになります。実は私もアドレスではソールしないタイプ。クラブの重さも感じられて、クラブに振られる感覚もわかります。
勝又優美
かつまた・ゆみ JLPGAティーチングプロA級。就職したホテルが所有するゴルフ場勤務となりゴルフをスタート。ゴルフを楽しむ人々にふれ、日本の大人たちを笑顔にしたいとティーチングプロの道に。2010年に認定ティーチングプロとなり13年には A級ライセンス取得。やさしくてきめ細やかな女性らしいレッスンで大人気。堀尾研仁氏主宰の「KEN HORIO GOLF ACADEMY」に所属。


