ウェッジの本数を減らしたら、アプローチが寄らなくなった

知り合いのアベレージゴルファーから、ウェッジのセッティングについてこういう相談を持ちかけられました。

「前まではPW(45度)から下は、48度→54度→58度と並べてました。そのときは100ヤード以内のアプローチで、ピンに近づく確率が今より高かった気がします。でも今は、PW(45度)の下を50度→56度にしました。そのほうが迷わなくてシンプルになると思って。そうしたら極端に、100ヤード以内でグリーンに乗る確率やピンに寄る確率が下がっちゃったんです。これってどういうことですか?」
結論から言うと“下”のクラブを減らすと、そういうことになります。

ウェッジのロフトが多くあれば“飛距離の階段”ができるし“球の高さが違うクラブ”がたくさんできることに。「コロがしたいな」と思ったらロフトが立ったウェッジで打てばいいし、「球を上げたいな」と思ったらロフトが寝たウェッジに持ち替えればいい。ゴルフがシンプルになりますね。

ウェッジの本数を減らすということは、そういうことを自分で打ち分けなきゃいけなくなるからミスが出やすくなるんです。

1本のウェッジで小細工をすると、エラーが起こりやすい

私がそのように説明すると、アマチュアはこう続けました。
「そうなんです。58度でハーフスイングをして、30ヤードが打てる練習をしていました。でも今は、56度でそう打ったら、40~45ヤードまで行っちゃうんです。しまいには30ヤードの打ち方も迷路にハマってしまい……」

同じ打ち方で球の高さと距離が変わるクラブが4本あるのか、2本あるのか。後者の場合は“倍”のことを自分でやんなきゃいけません。つまりこの人は、ウェッジの本数を減らすことによって、使うクラブがシンプルになっただけで、やることが複雑になっちゃった、というパターンですね。

例えば、手前に切ってあるピンまで20ヤード、ボールからフロントエッジが15ヤードでフロントエッジからピンが5ヤードというときに、56度を持って手前からコロがすか、フェースを開いてロブを打つか、しかありません。でも60度があれば、普通に打っても止まる(笑)。小細工をしなくていいんです。

上がって止まる60度を使わない手はない

このケースで私からの提案として理想形を言うと、PW(45度)→48度→52度→56度→60度というセッティング。そこからロフトを±して、ウェッジを3本にするのはアリかもしれません。いずれにしても、その本数があったら適正だと思うところを半分にしたということは、自分がやることを増やしてしまいました。

聞くところによると、このアマチュアももっと以前は60度を入れていたようです。ところが、周りのゴルファーから「60度って難しいクラブなのに、なんで下手なキミが入れてるの?」なんて言われて、本人にとってはやさしく感じていたのに、60度を泣く泣く手放したんだとか。とてももったいないですね(苦笑)。

確かにPGAツアーで60度台のLWを入れるプレーヤーは多いですが、アマチュアが60度を入れるのも全然アリです。ナゼなら、グリーンの手前にバンカーなどがあっても「球が上がって越えられる」という安心感を持って打てるし、誰が打ってもスピンがかかるから。スピンをかけるにはどうすればいいかというと、ロフトを増やすのが一番手っ取り早いんです。アマチュアも食わず嫌いにならず、60度を試してみましょう。

鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。