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「ボール探しの3分、25秒超過した」失格の裁定は正しかったのか?

戸川景の重箱の隅、つつかせていただきます|第48回

2024/08/01 ゴルフトゥデイ 編集部

「ボール探しの3分、25秒超過した」失格の裁定は正しかったのか?

スイング、ゴルフギア、ルールなどなど…。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。
Text by Hikaru Togawa Illustration by リサオ
GOLF TODAY本誌 No.626/74ページより

ツアー競技の失格事件に理不尽と感じる理由とは?

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6月初旬のショップライトLPGAクラシックで、初日に好発進したはずの畑岡奈紗が、過少申告で失格となった。

初日の最終ホール、2打目をグリーン右のフェスキューに打ち込み、同伴競技者やキャディ、その場にいた関係者らとボールを探し、発見。アンプレヤブルを宣言しながらもパーをセーブし、ラウンド後のアテストも問題なく終えていたはずだった。

ところが翌日、ボールの捜索時間が既定の3分を越えていたという事実が発覚。本来なら紛失球の処置が必要だったが、それを怠って初球でプレーを続行したことで誤所からのプレーとなり、さらにそのことをアテスト時に修正・申告しなかったことで過少申告となってしまったのだ。

この事件、事実発覚の経緯が物議を醸したようだ。このホールで実況していたテレビ中継局のリポーターが、捜索時間を長く感じたことからアテスト後に指摘し、その時のテレビ映像をLPGAに提供。結果、3分25秒かかっていたことが確認されたという。

競技関係者以外からの指摘で失格にしていいのか、一部のプレーヤーだけが対象となる映像を証拠にするのは不公平ではないのか。アテスト前に指摘すれば、失格は免れたのに、悪意があるのでは。

巷ではこういった意見も上がったようだが、私はお門違いだと思っている。レポーターは目の前で見ていて、不自然に感じたから指摘しただけ。最終ホールの出来事をアテスト直前のプレーヤーに告げることは、同伴競技者以外では逆に難しいだろう。

映像がなければ指摘できなかったかもしれないが、それは事実確認の上では本末転倒。確認材料が明確に残っていてよかった、と考えるべきだ。

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それでも、なぜか“理不尽”な裁定と感じてしまうのは否めない。「ボール探しは3分まで」というルールが引っかかっているのだ。25秒でも、1秒でも超過すれば紛失球になるのは受け入れるとしても、失格に結び付けるほどの大きな失態だろうか。

現在、知らなかった罰打を加えずにアテストを終えた場合、翌日にその違反が発覚しても罰打が加算されるだけで失格にはならない。今回のケースでは、誤所からのプレー扱いとして2罰打加算で済ますことはできなかったのだろうか、と考えてみた。

だが、これはアテスト前に、誤所からのプレーと判断、つまりボール探し時間超過の紛失球をプレーしたことがわかっていないと通用しない。

結局、根本的な問題は“ボール探し時間”の範囲の明確化にあると思う。どの時点から捜索が始まり、どの時点で終わったのか。後日、畑岡自身もこの時間計測の在り方について言及していた。

ボールに向かって歩き出しても、捜索開始とはならない。ボールの落下地点付近についてから、捜索の3分は始まる。そのため、キャディがいち早く捜索を開始しようとしても、プレーヤーはそれを止めることができるのだ。

また、同伴競技者などが3分ギリギリで見つけた場合、プレーヤー本人が確認に向かえる合理的な時間として、さらに1分使うことができる。

このことを踏まえると、畑岡の“3分25秒”は本当に時間超過だったのか、と疑いたくなるが、捜索の開始と終了で明確なアピール方法がない限り、裁定は覆らないだろう。

“ボール探し”の理不尽な感覚を払拭する手段としては、暫定球やアンプレヤブルと同様に開始の宣言をすること。そして時間計測を徹底することだろう。それが面倒と感じるなら、捜索は早めの2分以内と割り切って暫定球をプレーするのがベター。さて、ツアープロはどちらを選択するだろうか。

戸川景(とがわ・ひかる)

1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て(株)オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。

重箱の隅、つつかせていただきます

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