超簡単!飛距離がもっと伸びるヒジとヒザの使い方|「1軸打法」のススメ!
ドライバーの飛距離アップを実現!「1軸打法」スイングをマスターしよう【後編】
ドライバーの飛距離アップを目指すなら、ハードな筋トレを積んでパワーをつけないと無理。あなたがもしそう思い込んでいたとしたら大きな勘違いです。「今の筋力のままで無理なく飛ばせるスイングがあります。それが1軸打法です」と言うのは小暮博則。年齢とともに飛ばなくなったという人も飛距離がすぐに蘇るというから早速取り入れてみよう。
レッスン=小暮博則
(こぐれ・ひろのり)
1971年11月27日生まれ。明大ゴルフ部を経て2004年プロ入会。レッツゴルフ銀座でレッスン、企業コーチのほかオンラインレッスンも展開中。
1軸の腕使いを覚えて飛距離を伸ばそう
正しい腕の使い方を覚えると上達が早い
ゴルフを始めてから経験の浅い人がどうすれば早く上手くなれるかを考えた場合、下半身よりも上半身の使い方を先にマスターしたほうが上達は早いといえます。
ボールをある程度きちんと打てるようになるまでに、下半身のリードとか体重移動など下半身の使い方ばかりを教わっていると上達が遅れてしまいます。
なかなか90のスコアを切れない人も、壁に突き当たって伸び悩んでいる人も、上半身の使い方への意識がおろそかになっていませんか?
上半身の使い方のカギとなるのはワキとヒジです。ポイントを整理しましょう。
・両ワキの締まりを感じておく
・両ヒジを水平にキープ
・両腕をネジらない
アドレスでは両ワキにほどよい締まりを感じておきましょう。バックスイングでは左ワキの締まりをキープし、右ヒジをたたんでいきます。左ワキが締まっていれば、右ワキは多少あいてもOKです。
そしてインパクトを通過し、右ワキが締まったところで左ヒジをたたんでフィニッシュへと向かいます。この場合も右ワキが締まったままで、左ワキが徐々にあいてきます。
スイングに両手を返す動きはいらない
注意していただきたいのは、両ヒジをできるだけ水平にキープしておくこと。腕の回旋が多い人はフェースターンが大きく、インパクトの打点が安定しません。
そこで椅子に腰かけて素振りし、正しい腕の使い方をマスターする練習をしましょう。まずクラブを体の正面で真っすぐ立てます。
バックスイングではクラブを立てたままで、両ヒジを水平にキープしましょう。右ヒジをゆっくりたたんでいくと肩がスムーズに回転します。
そこから手元を少し下げて、クラブを立てたままで上体を左に回していきましょう。フォロースルーでも左ヒジをたたんで肩の回転を促します。
バックスイングやフォロースルーで腕をネジってクラブが寝てしまうのはNGです。
両ヒジを水平に保ち、クラブを立てたままでスイングするのがツボで、実際のスイングもこの感覚でクラブを振りましょう。ボールを正確にヒットでき、飛距離がアップします。
まず椅子に腰かけてクラブを真っすぐ立てる。
バックスイングで右ヒジをたたむ。両ヒジを水平にキープし、クラブを真っすぐ立てておくことが大切。
1軸のヒザ使いで飛距離が確実にアップ
ヒザが前後に動けば体の回転がスムーズ
上半身の使い方をマスターすればボールを正確に打てるようになりますが、下半身がうまく連動しないと飛距離は出せません。
下半身は上半身の約3倍の力を出せるほどの筋力がありますから、下半身のパワーを効率よく引き出すことを考えましょう。
ポイントとなるのは両ヒザの動きです。整理すると次の3つとなります。
・両ヒザは前後に動く
・体重移動は使わない
・自体重を利用する
1軸のスイングでは両ヒザを前後に動かします。バックスイングでは左ヒザが前に出て、右ヒザは伸ばしていきます。そうすれば右腰がスムーズに回転し、肩が90度近く回転した深いトップが作れます。
バックスイングでは左ヒザを右ヒザのほうに近づけたり、右足に体重を乗せたりしないことが大切です。
体重移動を使うより自分の体重をフルに利用するのが合理的
そしてバックスイングで曲げていた左ヒザをインパクトで伸ばしていきます。さらにインパクトの瞬間では右ヒザも一緒に伸ばして、両足をツマ先立てて飛び上がるような姿勢を作りましょう。
わかりやすくいうと、スキーのジャンパーのイメージです。
両ヒザを積極的に伸ばすことで「自体重による反作用」のエネルギーが得られて、大きなパワーが生まれるのです。
飛ばしに体重移動はいりません。バックスイングで体重を右足に乗せて、ダウンスイングの始動で体重を左足に移動させようとするゴルファーが多くいますが、左右の動きを意識すると体の軸ブレが起こりやすく、スムーズに回転しにくくなります。
両ヒザを前後に動かすことと、インパクトで両ヒザをしっかり伸ばすことが大切なポイントです。
1軸の手首使いで飛距離がもっと伸びる
手首の使いすぎはミート率の低下につながる
「リストワーク」というと手首を積極的に使うことを連想しがちですが、世界の超一流プレーヤーたちは手首の角度をキープして腕を速く振っています。
インパクトの正確性を上げるには手首を過剰に使うのはマイナスで、手首の角度をしっかりと保っておく意識が必要です。
といっても最初から手首をガチガチに固めておくわけではありません。
飛距離アップに直結する手首使いのポイントを整理すると次の3つとなります。
・フックグリップに握る
・コッキングを使う
・手首の角度をキープ
まず両手を軽いフックグリップに握りましょう。左手の人差し指と中指の2つのナックルが見える程度に左手をかぶせます。そして右手のヒラと左手甲の向きをそろえて握ります。左手の親指を少し詰めるようにして握れば左手をかぶせやすくなります。
そうすると自分から見て左手の親指をグリップの右斜め上に乗せるよう形となることがわかるでしょう。
コッキングした手首の角度をキープして打つ
1軸の伸張反射で飛距離を伸ばそう
筋肉の伸張反射を利用して最大のパワーを生み出す
筋肉を伸ばしたり縮めたりすることを屈曲伸展といいますが、筋肉の縮んでいる部分を伸ばして大きなパワーを生み出すのが「伸張反射」です。
たとえば、立ち幅跳びをイメージしてください。できるだけ遠くまで跳ぶには、両ヒザを深く曲げてしゃがむような姿勢をつくり、それから両腕を大きく前に振って両ヒザを一気に伸ばしてジャンプしますよね。
その視点で考えていれば、クラブをいかに速く振るかのイメージがつかみやすいでしょう。
伸張反射のポイントを整理すると次の3つとなります。
・筋肉の伸縮をフル活用
・背中と胸の屈曲伸展
・両ヒザの屈曲伸展
ゴルフのスイングで伸張反射を意識する部分は背中と胸、両ヒザ、体側です。
バックスイングでは胸郭が開いて背中が縮みます。そしてダウンスイングでは胸郭が縮んで背中が伸びます。
この屈曲伸展と連動してバックスイングでは体の左サイドが縮み、右サイドが伸びます。細かくいえば左ワキ腹が縮んで、右ヒザと右ワキ腹が伸びるということです。
ダウンスイング以降はこの反対で右ワキが縮み、左ワキ腹と左ワキが伸びるのです。
筋肉を曲げて伸ばすイメージを持とう
飛距離の出ない人は筋肉を曲げて伸ばすイメージが欠落しています。筋肉を最初から伸ばしたままでは伸張反射は起こりません。「曲げて伸ばす」という意識を持つことで大きなパワーが生まれるのです。
筋肉を伸ばせば伸ばすほど元に戻ろうとする力が作用しますが、注意したいのは限度を越えるほど伸ばさないようにすること。ケガにつながりますから無理は禁物です。
1軸のスイングは体重移動を使いませんから、筋肉の屈曲伸展を上手に利用する意識を持って飛ばすコツをマスターしてください。
1軸打法のドリルで飛距離アップが完璧
効率のいい動きを覚えれば飛距離が自然に伸びる
1軸のスイングを完全にマスターし、飛距離アップをすぐに実現させる練習法を紹介しましょう。スイングの動きやパワー効率のいい動きがわからなくなったときなどのチェック法としても役立ちます。
私が皆さんにオススメしたいドリルは次の3つです。
・ヒップフロント
・アームスルー
・ヒップスライド
ヒップフロントはお尻やモモの裏側、ふくらはぎなどの筋肉を総動員させて強いインパクトを迎える感覚をつかむのが目的です。
両足を前後に広げた体勢から、左足の上に腰を一気に乗せる動作を繰り返しましょう。ジャンプするようなイメージで左ヒザを伸ばしていくのがポイントです。
アームスルーは体重を左足に乗せて体を開かずに腕を振る練習です。腕を体の正面を早く通過させるイメージでスイングしましょう。肩や腰が開いた状態で腕を振るのはNGです。
スイングの肝は、インパクト前に腰を開かないこと
最後にヒップスライドの練習です。1軸打法は基本的には左足体重でスイングしますが、体重移動をまったく使わないわけではありません。
ボールをしっかりとつかまえてパワーを効率よく伝えて飛ばすには、トップで胸が右を向いた体勢のままで腰を左にスライドさせる動きが絶対に欠かせません。
右足体重では腰が引けてしまいますし、腰が左に移動しながら開くのも間違った動きです。正しい腰の動きがなかなかできない人が多いですから、ヒップスライドの練習もしっかり積んでください。
これらのドリルでマスターして頂きたい一番のポイントは、インパクト前に腰を絶対に開かないこと。3つ動きを覚え、うまく連動させればパワフルなインパクトを生み出すことができます。
取材・文/三代崇
撮影/富士溪和春
協力/久邇カントリークラブ
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