世界一のボールストライカー【モー・ノーマンに学ぶ】 “芯に当たる” ハンマー打法(2/2)
''芯に当たる''スイング大改革|あなたに合ったスイング理論を見つけて飛距離アップ!PART1
あのタイガー・ウッズをして「彼ほどスイングをコントロールして真っすぐ飛ばせたゴルファーはいない」と言わしめた男、モー・ノーマン。
ハンマー打法やシングルプレーンと後世に呼ばれたメソッドは、彼が世を去った今でも多くのプロが絶賛する。カリスマコーチの森守洋もその一人。
そればかりか「年齢を感じ始めたアマチュアゴルファーには最適です」と太鼓判を押す。温故知新。伝説の名手のスイング遺伝子から芯喰いのエッセンスをいただこう!
●世界一のボールストライカー【モー・ノーマンに学ぶ】 “芯に当たる” ハンマー打法
(1/2):セットアップ/バックスイング&切り返し
(2/2):ダウンスイング&インパクト/フィニッシュ
解説 森 守洋
もり・もりひろ
1977年生まれ。1995年に渡米、サンディエゴでミニツアーを転戦するなどして腕を磨く。帰国後は陳清波に師事、その後「東京ゴルフスタジオ」を立ち上げコーチ活動を始める。現在は原江里菜、福田真未、香妻陣一郎らを指導。本誌連載「教えてホーガン先生!」でお馴染みのスイングアナリストでもある。
ダウンスイング&インパクト|左に水平移動しながら右手メインで腕を振る
最大のポイントは右手でヨコに釘を打つ動作。この動きがヘッドスピードアップの7割を握るとノーマン。ここに水平移動がジョイントする。
スイングの円弧が大きくインパクトゾーンがとてつもなく長い
ノーマンが驚異的に真っすぐ飛ばせたのはスイング中に前傾が崩れず円弧が安定しプレーンがたわまなかったから。加齢で体が回らなくなってもそれができたのは腕をしっかり振っていたから。ノーマン自身も「腕の振りと手首の稼動がヘッドスピードの7割を決める」と言っています。ダウンスイングで腕を振るのは絶対条件。釘を打つ形になった右手をメインにボールを叩きに行きます。
もう一つの特徴はバンプ。腰を左に押し込む動きです。ただ、ノーマンのバンプは、腰が右から左にほぼ水平移動する感じ。本人にも回転の意識はほとんどないと思います。とはいえ、前傾角度を保つには回転が絶対必要ですから回ってはいるのです。
この結果、スイングの円弧が大きくなってインパクトゾーンがとてつもない長さになる。ここに真っすぐ飛ばせる物理的な理由があります。
腕を振って右手首のコックをほどくだけ
ボールを右から叩くように右手首を使いながら腕を振る。右手を下から握っているので、そのままコックをほどけばハンマーを使うように動かせる
フォローで右手はしっかり返る
真っすぐ飛ばすからといってフェースを真っすぐ押し出すことはない。インパクト~フォローで右手はしっかり返っている。
こんな感じで打つ!
ノーマンのスイングはアイスホッケーのスティックなど重いものを効率よく振る動作だ。
平行移動でインパクトゾーンが長くなる
ダウンスイングでは体の回転を意識せず右から左へ腰を平行移動。それでも体は勝手に回ってインパクトゾーンが長くなる。
ベタ足で右から左に体重を移動する
ダウンスイングでは体重が右から左へ大きく移動。腰が平行移動しているので、右足の外側がまず地面から離れる。右カカトが上がるのは打ったあとだけ。
6時間にわたって1500発以上のボールを打った!?
シニアになると、打っては語り、語っては打つデモンストレーションが人気を博したノーマン。打つボールはすべて30ヤードの幅に収まっていたと言われる。6時間にわたって1500発以上のボールを打ったことも。効率的なスイングの証といえど、ここまでくると常人の域を脱している。
フィニッシュ|打ったら終わり。フィニッシュは 超成り行き
フィニッシュはスイングの結果だが、ノーマンのフィニッシュと歳をとったレジェンド達のフィニッシュは酷似している。さて、その理由とは。
少ない回転量でクラブが正しく動くと高いフィニッシュになる
天才的ボールストライカーと言われるノーマンですが、やっていることはいたってシンプル。右手でハンマーを持つようにクラブを持ち、ヨコから釘を打つように振っているだけです。
僕がこの企画の扉ページでやっているように、杵でインパクトバッグを右から叩くのと同じ動作。杵は重いので叩いたらそこで終わり。つまり、モノを叩くという本能に近い動きをしているわけです。
その一つの表れがフィニッシュでクラブが高い位置にあること。体の回転量が少ない中でクラブが正しく動くとこのカタチになります。これは力が向かっている方向にクラブが動いている証拠で、ジャック・ニクラス、ゲーリー・プレーヤーなどレジェンドはみんなこう。フィニッシュが低い位置にくるのは体がよく回っているから。無理に低い位置にするから出力方向が狂うのです。
体の可動域が狭まって回転が少なくなると打って終わりのスイングになるが、クラブが高い位置に収まってくれば問題はない。
インパクトで叩いたらあとは惰性
インパクトは右から叩く動作。ノーマン式に動ければ打った後は関係なし。右肩がしっかり入るのでスイングプレーンに対しフェース面をスクエアにキープできる。
胸が目標方向を向けばOK
フィニッシュでは最低限、胸が目標方向を向けばいい。
可動域が広く体がクルクル回るとクラブが左に振れて低いフィニッシュになる。
ツアープレーヤーもモー・ノーマンを意識?
日本ツアーにもノーマンの雰囲気を漂わせるプレーヤーがいる。小平智の場合はセットアップ。ハンドアップして腕をクラブを一直線に近づけるところが似ており、インパクトで手の位置も低い。グローブ不要の堀川未来夢も雰囲気あり。ワンプレーンに近いイメージでスイングしている。
インパクトで手が浮かない。フォローで右手をしっかり返す。
モー・ノーマンのスイング再現
極端に言うとコッキングだけしてひっぱたくスイング。特に体が動かなくなってきた人にはもオススメ。ワイドスタンスだと骨盤も回らないので、正面で打って終わりでいい。
取材協力/東京ゴルフスタジオ
GOLF TODAY本誌 No.571 46〜49ページより
【シリーズ一覧】
PART1:世界一のボールストライカー【モー・ノーマンに学ぶ】 “芯に当たる” ハンマー打法(1/2)
PART1:世界一のボールストライカー【モー・ノーマンに学ぶ】 “芯に当たる” ハンマー打法(2/2)
PART2:海外ツアーで話題!ゴルフ『3大スイング理論』を吉田洋一郎が解説
PART2:ゴルフ『3大スイング理論』|デビッド・レッドベターの「Aスイング」
PART2:ゴルフ『3大スイング理論』|ピート・コーウェンの「スパイラルスイング」
PART2:ゴルフ『3大スイング理論』|クリス・オコネルの「ワンプレーンスイング」
PART3:ベン・ホーガンの『オンプレーン』スイング理論はどう生かせばいい!?