ゴルフ『3大スイング理論』|デビッド・レッドベターの「Aスイング」
''芯に当たる''スイング大改革|あなたに合ったスイング理論を見つけて飛距離アップ!PART2
欧米ツアーで活躍するコーチたちは、常に最新の知識を採り入れ、スイング理論をアップデートすることに余念がない。毎年のように新たな理論がトレンドとなるのはそのため。ツアーで注目を集める、有名プロコーチ3人による、「3大スイング理論」を、吉田洋一郎プロがやさしく解説する。
●''芯に当たる''スイング大改革|あなたに合ったスイング理論を見つけて飛距離アップ!PART2
(1/4):[吉田洋一郎が上手に要約]海外ツアーで話題をさらった『3大スイング理論』の芯喰いポイントいいとこ取り!!
(2/4):デビッド・レッドベターの「Aスイング」
(3/4):2|ピート・コーウェンの「スパイラルスイング」
(4/4):3|クリス・オコネルの「ワンプレーンスイング」
デビッド・レッドベター
David Leadbetter
1990年代に、日本でも「ボディターン」ブームを巻き起こした、世界でもっとも有名なティーチングプロのひとり。「Aスイング」は、生体力学の知識を採り入れ、2015年に発表された理論。
ゴルフ『3大スイング理論』デビッド・レッドベターのAスイングを解説
部分的に採り入れても十分効果が期待できる
D・レッドベターの「Aスイング」は、バイオメカニクス(生体力学)の専門家と協力して作り出したスイング理論で、スイング中の腕と体の回転のシンクロ効率を高めることを最大の目的としている。
「『Aスイング』の特徴は、ヘッドの軌道が常に手元の軌道より外側にある(ヘッドをインサイドに引かない)テークバック、シャフトの角度が大きく変わる切り返し、それと、インパクト後に右手首を手のヒラ側に折る形のフォローの3つです。レッドベターは、主にアマチュアに向けてこのスイングを開発しましたが、プロが採用しても効果があるのは、リディア・コーが証明しています」と、吉田プロ。著書の中でレッドベターは、「全部を採り入れなくても、エッセンスだけで効果がある」とも語っている。
「Aスイング」を実際に採用していたリディア・コー
※2016年「ANAインスピレーション」でのスイング。その後、レッドベターとの師弟関係を解消し、現在はよりオーソドックスなスイングに戻している。
テークバック|ヘッドをほぼ垂直方向に上げていく
シャフトが背骨と平行に上がる
トップまでは、ヘッドが「手元よりも外にある」という関係性を変えずに上げていく。これを忠実に実行すると、テークバック途中でシャフトが背骨と平行になる。
切り返し|切り返しからシャフトが背中側に大きく倒れる
ダウンスイング|クラブを一気にオンプレーンに戻す
「Aスイング」のテークバックだと、トップでクラブが目標より右を向くが、切り返しでクラブを背中側に倒すことでオンプレーンになる。野球のバッターの切り返し動作に近い。
インパクト〜フォロー|体の回転に腕の振りが完全にシンクロする
切り返しでクラブを倒す動作により、下半身リードがうながされ、「手から先に下ろす」ことや、体が先に回りすぎて「振り遅れる」ことが少なくなり、手と体の一体感が増す。
「Aスイング」のポイント① なぜ「ヘッドがずっと外側」なのか
体の回転でクラブを上げていきやすい
「Aスイング」最大の特徴、「ヘッドがずっと外」のテークバックには、どんな効果があるのか?
「スイングの始動でヘッドをインに引くと、体の回転がほぼ起こらず、ほぼ手だけのテークバックになりがちです。ヘッドを手元よりも外側にキープすることで、左ワキを締めながら、体の回転でクラブを上げていくイメージになるので、トップまでに体が十分にネジれ、その後、下半身から切り返しやすくなります」(吉田プロ)。
また、インサイドに引いたものは、反動でアウトサイドから下りやすい(つまり、アウトサイドインになる)のに対して、ヘッドをアウトサイドに保って上げることで、ダウンスイングは逆にインサイドから下ろせるという効果もあるのだ。
ヘッドを手元より外側に保って上げようとすると、自然に左ワキが締まって、体の左サイドで押し上げるようなテークバックになる。それにより、腕だけが動きすぎるのを防げる。
両手の位置関係を変えずに上げる
両手で大きめのボールを持っていると仮定して、左手が上になるように腕を返しながら上げると「手打ち」になりやすい。手の位置関係を変えず、体の回転で上げるようにする。
腕の運動量が多いと芯に当たりにくい
手を返してヘッドをインに引くと、切り返しでは反動で手が前に出て、アウト‐イン軌道になりやすい。腕の運動量に対して体の回転が少なく、一体感に欠けるスイングになる。
「Aスイング」のポイント② なぜ右手首を「手のヒラ側」に折るのか
強く振っても引っかけにくい
もうひとつ、「Aスイング」が従来のスイングと大きく異なる点は、インパクト後に両腕を「返して」、フェースを閉じるのではなく、右手首を「手のヒラ側」に折るようにしてフォローを出していくこと。
「フェースを返す動きは、少しのタイミングのズレでボールが真っすぐ飛ばなくなりますが、右手首を手のヒラ側に折るようにすると、ヘッドの軌道に対してフェースがいつまでもスクエアな状態を保つことになり、それによって、ある程度強く振ってもボールが曲がりにくい(打ち出し方向が安定する)というメリットがあります」と、吉田プロ。
野球で、ショートやサードの選手が、ファーストに向かって送球する際の手首の動きをイメージするとわかりやすい。
ヘッドを手元より外側に保って上げようとすると、自然に左ワキが締まって、体の左サイドで押し上げるようなテークバックになる。それにより、腕だけが動きすぎるのを防げる。
手元を動かしすぎるとフェースが開きやすい
手元を左に振ったり(写真上左)、外に押し出したりすると(写真上右)、スクエアに当てられない。右手首を手のヒラ側に折ることで、スクエアに当てながらリリースもできる。
フォローで左手甲を空に向ける
一般的なスイング理論では、インパクト後は右手が上になり、左手甲が地面方向を向くが、「Aスイング」では、右手首を手のヒラ側に折るので、左手甲が空を向く形になる。
GOLF TODAY本誌 No.571 52〜55ページより
【シリーズ一覧】
PART1:世界一のボールストライカー【モー・ノーマンに学ぶ】 “芯に当たる” ハンマー打法(1/2)
PART1:世界一のボールストライカー【モー・ノーマンに学ぶ】 “芯に当たる” ハンマー打法(2/2)
PART2:海外ツアーで話題!ゴルフ『3大スイング理論』を吉田洋一郎が解説
PART2:ゴルフ『3大スイング理論』|デビッド・レッドベターの「Aスイング」
PART2:ゴルフ『3大スイング理論』|ピート・コーウェンの「スパイラルスイング」
PART2:ゴルフ『3大スイング理論』|クリス・オコネルの「ワンプレーンスイング」
PART3:ベン・ホーガンの『オンプレーン』スイング理論はどう生かせばいい!?
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