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外重・内軽パターの違いは?スパイダーXとストロークラボTENを比較

気になるギア|これからのグローバルスタンダードはこの形!?

2020/02/15 ゴルフサプリ編集部

オデッセイ ストロークラボTEN パターは、テーラーメイド スパイダーX パターと形状がそっくり。なぜ、この形なのか?両パターの違いは?調べてみるとこの形が新しいグローバルスタンダードとなる可能性が見えてきた。

オデッセイ ストロークラボTEN パターとテーラーメイド スパイダーX パターを比較

サイズも構造もソックリ!どこが違う?気になる2本を実物大で比較

キャロウェイゴルフ|オデッセイ・ストローク ラボ ブラックシリーズTEN パター(2019)

  • ヘッド重量:365g
  • ライ角:70度
  • ヘッド素材:ステンレス、ABS樹脂
  • ロフト:3度
  • オフセット:
    ベンドシャフト=FULL SHAFT
    ショートスラント=3/4SHAFT
    センターシャフト=NONE

フェースには樹脂に金属をコンポジットした、ホワイト・ホット・マイクロヒンジ★インサートを装着。

ウイング部には、交換可能なウェイトネジを装着。
ヘッドのコアにはABS樹脂を使用、軽量化と振動吸収性を高めている。

ずっと使っているホワイトホットインサートに近い打感です。構えやすくターゲットに向けやすい顔ですね。(上田桃子)

今までのオデッセイパターの中で一番座りがいい。そのせいか、ミスヒットしてもばらつきが少ないですね。(柏原明日香)

テストでは、座りのよさと、構えやすさ、コロがりを評価
ストロークラボ ブラックシリーズTENを発売前に多くのプロがテストしていた。

テーラーメイド ゴルフ|スパイダーX パター(2019)

  • ヘッド重量:355g
  • ライ角:70度
  • ヘッド素材:ステンレス(304 SS)、グラファイト
  • ロフト:3度
  • オフセット:
    ベンドシャフト=FULL SHAFT
    ショートスラント=3/4SHAFT
  • ※初代モデルは2008年

アイオノマーにアルミニウムパウダーを混ぜ込んだ(アイオノマー80%、アルミニウムパウダー20%)素材を採用。斜め45度に刻まれた溝がボールに順回転を与えて直進性を高めるピュアロールインサート。

ウイング部先端にはウェイトを装着。慣性モーメントを高めている。
コアにはカーボンをコンポジット、軽量化と振動吸収性を高めている。

ダスティン・ジョンソン、ジェイソン・デイ、ローリー・マキロイら世界のビッグネームたちが愛用。セルヒオ・ガルシアが悲願のマスターズを制したのもスパイダーだ。

スパイダーは世界のビッグネーム達がパフォーマンスの高さを証明。

ストローク ラボ ブラックシリーズTEN パター開発者インタビュー

外重内軽・形状・サイズ見た目も構造もそっくりなのには、こんな理由があった!

ストローク ラボ ブラックシリーズTEN 開発担当者
オーテスィ・ローリンソン氏
三井住友VISA太平洋マスターズ会場で来日中のローリンソン氏に直撃。なぜ競合他社のモデルにソックリなのか?オデッセイの開発担当者に聞いた。

慣性モーメントの拡大を目指して開発をスタート

ゴルフトゥデイ(以下GT) :ストロークラボブラックシリーズTENの開発のスタート地点はどこだったんですか?

オースティ:慣性モーメントの大きなパターを開発したかった。そこがスタート地点でした。皆さんもご存知のとおり、形状は他社にもある“見慣れた形状”だと思いますけど、我々は、その形状により慣性モーメントを高めるためのエッセンスを盛り込んでいます。

ソール側の真ん中の素材には、比重の軽いものを選んでいます。

慣性モーメントを大きくするために、ヘッド中央をいかに軽くするか、そして軽くなった分をいかにして外側に広げていくかという考え方をしました。その結果、あのパターと比較して10〜15%ほど慣性モーメントが大きくなっています。

GT : これまでのストロークラボとはインサートが少し違うように見えますが。

オースティ : 「ホワイトホットマイクロヒンジスターインサート」と言います。もともと「ホワイトホットマイクロヒンジインサート」というのがありましたが、大きな違いとしては、蝶番(ヒンジ)のところに入れていた溝をなくして真っ平らにしています。溝をなくしたことで、打った時の打球音が高くなりました。

真っ平らになっても、今までどおりトップスピンをかけられる構造になっていますし、むしろそのスピンが安定して出るようになりました。高くなった打球音と、安定性を増したトップスピンというのが、新しくなったインサートの特徴で、何度打っても同じ距離感が出せるということですね。

GT : デザインはスパイダーにそっくりですが、カラーリングは「クモ(Spider)を食べてしまうハチ(Bee)」を想起させるものですが、これは狙ってデザインされたんですか?

オースティ : ハハハハ(笑)偶然ですよ。ただ、名前は「ホーネット」にしようという考えもあったんですが、登録商標等の関係で使用することができなかったんです。そこで、「TEN」というシリーズの中で最も大きな数字を示す名前にしたんです。

ストローク ラボ ブラックシリーズTEN パターのネック形状の種類と違い

ストロークラボTENには、ベンドネック、ショートスラント、センターシャフトが、スパイダーXには、ベンドネック、ショートスラントが用意されているが、その違いでゴルファーのストロークタイプに対応している。

《ベンドシャフト・センターシャフト》

フェースの開閉が少ないストレートなストロークタイプの人に合う。また、センターシャフトはつかまり控えめになる。

《ショートスラント》

フェースの開閉を使いながらストロークするタイプの人に合う。ピン型の使用者が違和感なくスイッチしやすい。

スパイダー型パターは、ピン型パターの次のグローバルスタンダードになる!?

パーシモン、メタル、チタンヘッドとドライバーヘッドは慣性モーメント拡大の歴史をたどってきたが、実はパターヘッドの歴史も同様だった。

解説
遠藤仁史
(えんどう・ひとし)
東京都千代田区のゴルフスタジオ「ACTECGOLF」代表。最新の計測機器を駆使し、科学的なフィッティングを行っている。JGAハンディキャップ+1.8、ゴルフギア好きに人気のwebサイト「ANSERFREAK」の主催者としてパター&ギアオタクの顔も持つ。

パターヘッドはスパイダー型といわれる日が来る!?

パターヘッドの変遷を振り返ると、ヒッコリーシャフト時代からL字とT字までは、ヘッドの慣性モーメントを意識したデザインではない。1959年にピンの創始者であるカーステン・ソルハイムが“慣性モーメント”という概念を取り入れた「1‐A」、さらには1966年には「アンサー」を発売したことによって、今ではピン型がパター界のグローバルスタンダードとなっています。

その後も、より大きな慣性モーメントを求め、さまざまなサイズや形状が生まれ、2008年に初代「スパイダー」が誕生します。そして2019年“そっくりさん”が登場し、この形が大型マレットの“答え”となりそうな気配です。

ただし、今でもL字が無くならないのは、ショットと同じ感覚でパターを打ちたいという需要があるからだと考えています。フェースの開閉を使いながら打ちやすいのがL字。フェースの開閉を使わずにストレートに打ちやすいのがスパイダー型、ピン型はその中間。

しばらくは、これらのタイプが混在すると考えられますが、最近ではドライバーやアイアンでフェースローテションを抑えて打つスイングが主流となりつつあります。だとすれば、スパイダー型がマジョリティになる日は遠くないかも知れません。

この頃のパターヘッドは、アイアンやウッドと同じ形状だった。

L字
製造技術が上がり、洗練された外観となったL字に加え、T字型のパターが誕生。

T字

ピン 1-A
カーステン・ソルハイムが“慣性モーメント”をヘッドの設計に導入した初のパター。
この時、高慣性モーメントヘッドの歴史が始まった。

ピン アンサー
クランクネックを持った“ピン型”が誕生。アンサーの名前の通りに、パターヘッドの一つの答えとなる。

ゼブラ
大型のマレットの原点。ベンドシャフトによる“フェースバランス”を世に広めたモデル。

マグレガー レスポンス ZT-640
ピン型ヘッドを大型化し慣性モーメントを高めた。1986年にジャック・ニクラスがマスターズ優勝時に使用。

オデッセイ・2ボール
大型マレットを定着させた大ヒット商品。慣性モーメントの拡大よりは、アライメントを意識したデザイン。

スコッティ・キャメロン・フューチュラ
スコッティ・キャメロンが設計。慣性モーメントの拡大を狙った革新的形状。スパイダー形状と同じ設計思想。
フューチュラの馬蹄形ウェイトの向きを反転し、フレームを加えると、スパイダー形状になる。

ピン ユードレイニアム DOC17
巨大化で慣性モーメントの拡大を狙ったモデル。フェースの長さ17㎝という驚異的なサイズだった。

初代スパイダー ロッサ・モンザ・スパイダー
ミッドサイズと大きな慣性モーメントを両立したモデル。その機能と形状は多くのプロに受け入れられた。

ストローク ラボ TEN
スパイダー形状を持ったパターが競合他社から続々と発売された。

ファントムX12
スコッティ・キャメロンもこの形を発売。

スパイダーX パターとストロークラボTEN パターの違いを試打比較

見た目の通り打ち味もソックリ。一番の違いは“音”

ヘッドの座りがいい。ストレートにストロークしやすい。ミスヒットに強い。球のコロがりがいい。両者を打ち比べてもスパイダーXとストロークラボTENの差はほとんど感じません。

明らかに違うのは“打球音”。ストロークラボの方が低めの“コッ”という音で、スパイダーXは少し高めの“カッ”という感じです。ボールに例えればウレタンカバーとサーリンカバーの違いといった音ですが“打感”の差は感じません。スパイダーは曲線、ストロークラボは直線で構成されているので、音と形の好みで選べばいいでしょう。

●テーラーメイド ゴルフ スパイダーX パター

長さ33、34インチ
ライ角70度
ロフト角3度
価格4万円+税

●キャロウェイゴルフ オデッセイ・ストローク ラボ ブラックシリーズ TEN パター

長さ33、34、35インチ
ライ角70度(センターシャフトは71度)
ロフト角3度
価格3万8000円+税

取材トーナメント/三井住友VISAマスターズ、富士通レディース2019

GOLF TODAY本誌 No.572 159〜163ページより

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