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Jacobs 3Dが解明!効率的なゴルフスイング&クラブコントロール

クラブはグリップエンド方向に引き続けるが超効率的

2020/05/05 ゴルフサプリ編集部

スイングとはクラブの重心をコントロールすること。これがわかったところでプロのスイングをお手本にその実態をチェックしてみよう。

解説
マツモト・タスク

国際金融マンからゴルフリサーチャーに転身。「Jacobs3DGolf」アドバイザリーメンバーにして国内ただ一人のアンバサダー。USGTF(全米ゴルフ教師連盟)、TP(Iタイトリストパフォーマンスインスティチュート)のライセンスも保持。

松山英樹のスイング&クラブコントロールのポイント

長いインパクトゾーンを確保しながらヘッドをボールに向かわせる

松山英樹(レクサス)1992年2月25日生まれ。愛媛県出身。日本ツアー8勝、米ツアー5勝。勝利数にとどまらず同試合2連覇、世界選手権優勝など、今季で7年目を迎える米ツアーで日本人プレーヤーの記録を更新中。

グリップエンドを自分の体に引きつけない
左腕が地面と平行になる付近でグリップ内にキャスティングをさせるαフォースを発生させヘッドを飛球線後方へ放り出し円弧を大きくする。

日本人としてアメリカで唯一安定的な実績を出しているのは、目視でもグローバルレベルのスイングといえる顕著なポイントがあるから。

「タメながら下ろす」では得られないクラブの挙動

欧米の一流プロは例外なく、切り返しでグリップに与えるフォース(直線運動エネルギー)を、飛球線後方と上空へバランスよく与えています。その間には体側でも切り返し動作が行われ、その過程でクラブヘッドが飛球線後方へ放り出されます。さらに、ダウンスイング時に左腕が地面と平行になる付近では、釣りのキャスティングのような腕のアクションが入る。その結果、クラブヘッドが描く円弧が飛球線後方へ極大化、ヘッドはその長い移動距離分のエネルギーを蓄え、しかもシャローで長いインパクトゾーンを確保しながらボールに向かいます。松山のスイングもまさにこれ。これまで日本で言われてきた「タメながら下ろす」、「レベルに回転する」では得られないクラブの挙動を体現しています。プレーヤー的にはアーリーリリースと感じさせるような動きになっていますが問題ありません。

ジョン・ラームのスイング&クラブコントロールのポイント

切り返しからインパクトまでが短いアスリートスイング

ジョン・ラーム(スペイン)1994年11月10日生まれ。2016年プロ転向。米ツアー3勝、その他でも6勝。昨年は欧州ツアーで年間3勝を挙げて初の年間王者になった。今季の米ツアーでは5試合中4試合でトップ10。世界ランク2位。

効率的だが強靭なフィジカルが必要
切り返しからインパクトまでの時間が短い。クラブの余計な動きを排除できるが強靭な体力が不可欠。

クラブの重心と体の重心との距離が離れた場所で切り返す

昨年の米ツアーで、全てのパー4とパー5ホールのティショットの貢献度を示すストロークゲインド・オフ・ザ・ティのスタッツが5位とティショットが安定している。

ラームの安定度の秘密はコンパクトなトップからの強力な切り返しです。キネティクス分析で明言できるのは、切り返し時点からグリップエンド方向へクラブを引き続けられるポジションを常に維持し、ビハインド・ザ・ボールで頸椎付近に支点を維持しながらグリップエンドへのフォースを極大化していくこと。これによりヘッドの描く円弧の急激な拡大化とシャローアタックを実現しています。

この切り返しの特徴はインパクトまでの時間が短いことで、プレーヤーが与えがちな余分なローテーションやトルク成分を排除でき、シャフトの捻りも効率的に使えます。

ただし、クラブの重心と体の重心との距離が離れた場所で切り返すため、その時点でかなりの負荷が一気に体にかかる。そのまま正しい方向へグリップエンドを引き続けられる位置を維持するには、強靭なフィジカルが必要です。

ゲーリー・ ウッドランドのスイング&クラブコントロール

インパクト時の余計な重力負荷や体の負担が少ない

ゲーリー・ ウッドランド (アメリカ) 1894年5月21日生まれ。2007年プロ転向。2011年に米ツアーで初優 勝し通算4勝。昨年は「全米オープン」を制してメジャーホルダーに名を連ねた。ドライバーの平均飛距離300ヤード超えの飛ばし屋。

ダウンでグリップとクラブの重心が近い
切り返しからダウンスイングでグリップとヘッドの曲率中心が近いので抵抗が少なくサラッと打てる。

アマチュアの参考になる体にやさしい効率的スイング

大きすぎでも小さすぎでもないトップ、体側に抵抗を受けない適度な切り返しポジションからグリップエンドは理想的な位置関係を維持して引き続けられます。ヘッドを返さないスイングとよく言われますが、シャフトの軸回旋はしっかり入っています。

ウッドランドのキネティクスは極めて効率的に解析できると思います。全体的にはさらりとクラブを扱っているのでインパクト時の余計な重力負荷や体側の負担が少ない。非常に効率的で、年齢を重ねても続けられるスイングです。

「Jacobs3D」では、プレーヤーがスイングで発生させる仕事量の60~70%は直線運動エネルギーによるものと解析されています。そしてそれは、クラブを物理的に円運動させるグリップエンド方向への加速度がもたらします。プレーヤーにとって最も効率的にクラブを扱うにはクラブを引き続けることが有効で、その意味でウッドランドのスイングはアマチュアにはとても参考になります。

ポイント&レッスン「引き続ける」ってどういうこと?

では、どうやったらクラブを引き続けられるのか?最大のポイントはダウンスイングでグリップエンドをボールに向けないことだ。

指導
三觜喜一

みつはし・よしかず 
1974年生まれ。PGAティーチングプロ。日本で唯一ジェイコブス3Dシステムが使える「三觜ゴルフアカデミー」(大箱根CC)を主宰。YouTube登録者は21万人超え

切り返したら、釣竿のようにキャスティング

「クラブを引く」という視点でプロとアマチュアのスイングを比べた場合、一番違うのはダウンスイング時のクラブの動き。プロがグリップエンドを飛球線と反対方向に引くのに対し、アマチュアはボール方向に引きます。ダウンスイングで体が先行しても、手で下ろしても同じこと。クラブのベクトルが大きく変わり、全く違った結果をもたらします。

クラブをうまく使うには、切り返しからダウンスイングで自分の右方向にグリップエンドを引くこと。こうするとヘッドが投げ出されるように動いて遠回りしてくる。クラブを寝かせて下ろすことでシャローに下ろせます。

イメージは釣りのキャスティング。リストを使って竿の先端を振り出したら間髪入れずに再び引きます。最後に引く動作がスイングで言うところのインパクト。クラブは最後まで引き続けるのです。

飛球線と反対方向にクラブをリリース

ダウンスイングでクラブは立たない

クラブが正しいベクトルに乗るとダウンスイングで立つことはない。寝たクラブがシャローに下りるのがクラブ的には自然な形。

引き続けた結果ハンドファーストインパクトになる

クラブを引き続けると重心をコントロールできる。アイアンのインパクトがハンドファーストになるのはその結果だ。

トップから右方向にクラブを振り出す

トップから右にクラブを振り出すのが正しいベクトル。体を切り返すことでヘッドが遠回りし大きな円を描く。

雫を払うように手を振る

手についた水の雫を振り払うようなイメージで振ってもOKだ。
  • リリースするベクトルが違ってもうまく下ろせない。

  • グリップエンドをボールに向けて下ろすのはNG。

クラブを引きながら打てるようになる、とっておきドリル

クラブの正しい動きを引き出せるようになる厳選ドリルをご紹介。多くのゴルファーがこのドリルでプロになった。

ドリル① ボールカゴドリル|カゴの動きに合わせて重心をコントロール

ある程度の重みを感じるくらい、底にボールを残したボールカゴを振るドリル。カゴの重さを利用しつつ体を連動させる。ポイントはどのタイミングでもカゴの中でボールが暴れないこと。振っている途中でガザっと音がしたらアウト。カゴの動きに合わせて自分の重心をコントロールできるようにもなる。

カゴに振られるようにダイナミックに動く

カゴの重さと体が引っぱり合う形になると音がしない。

ボールの音がしたらダメ!

うまく動けるようになると遠心力でボールが底にへばりつくため、振り終わるまでボールの音が出なくなる。

ドリル② アップターンドリル|バックスイングでヘッドがやや遅れる

クラブを右回りに振るドリル。アドレスしたら上体を起こし、胸の前にグリップがあってクラブが真っすぐ立った体勢をとる。そこからバックスイングをスタートしたら一気に振り抜いてボールをヒットする。バックスイングのタイミングで少しヘッドが遅れることで、右回りのスイングになる。

助走なし。クラブの力でヒットする

このスイングは言わば助走なしのスイング。クラブの動きをうまく利用しないと振り抜けずボールも打てない。

右回りを意識

バックスイングからダウンスイングで手元を右回りさせるイメージをもつとクラブが正しく使える。

GOLF TODAY本誌 No.575 28〜35ページより

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