飛ばしたいなら、体重移動は使わずおヘソを回してバックスイング!!
三塚優子がレクチャーする「ドライバーの飛ばしテク」VOL.4 飛ばしのバックスイング
2011年の日本女子プロなどツアー通算4勝。屈指のロングヒッターとしても知られた三塚優子がドライバーの飛ばしのテクニックを親切レッスン。飛距離が出なくて悩んでいるゴルファーにとって最高のクスリとなること請け合いだ。第4回は飛ばしのパワーをしっかり蓄えるバックスイングのレッスン。
三塚優子
みつか・ゆうこ/1984年9月21日生まれ、茨城県出身。172センチ。埼玉栄高校ゴルフ部を経て2007年プロ転向。11年の日本女子プロなど通算4勝。現在は水戸市の『東野ジャンボゴルフレンジ』で多くのアマチュアゴルファーを指導している。
お腹の回転を使ってクラブを大きく上げれば飛ばしのパワーが蓄えられる
バックスイングはおヘソを回して大きな捻転を作るだけで体重移動は使わない!
ゴルフのスイングをわかりやすくいうと、バックスイングは「貯蓄」で、インパクトは「解放」です。つまり、バックスイングは飛ばしのパワーを蓄える動作であって、パワーをどれだけ溜められるかが勝負なんです。
私がバックスイングでカラダのどこを意識しているかといえば「おヘソ」です。アドレスの姿勢を作ったら、おヘソの力でカラダの回転をスタートさせます。腕や手は使わないで、おヘソを回して上体とクラブを丸ごと回してトップのポジションへとクラブを上げていくのです。
「バックスイングでは左肩を回せとよく聞くけど…」と反論したくなる人も多いでしょうね。でも実際は左肩を一所懸命に回そうとするほど、バックスイングの動きが硬くなりやすいと思いませんか? 左肩を意識するから上体が力みやすく、かえって左肩の稼働域が制限されてしまうんです。
その点、おヘソを中心に、お腹をしっかり回す意識持てば、上体がリラックスして左肩がスムーズに回転します。左肩がアゴの真下におさまって捻転が深くなり、大きなパワーが溜められます。
バックスイングで体重を右足に乗せる意識はありません。バックスイングでお腹を右に回せばカラダの重心が右に移動するから、体重が自然と右足に多く乗ってくるだけという感覚です。簡単にいえば、アドレスの位置のままでお腹をクルッと回すだけ。カラダの軸を構えた位置にキープして回転する「一軸スイング」です。
飛距離を伸ばすにはバックスイングで体重を右足に乗せて、ダウンスイングで左足に体重を移動させてグイッと踏み込んでボールを打つというやり方もあります。左右の体重移動を使う「ニ軸スイング」ですが、大きなパワーを生み出しやすい反面、ミート率が低下しやすいのがマイナスです。私はミート率を重視したいので、右足への体重移動の意識がないわけです。
それに、「バックスイングで右ヒザをアドレスの位置のままにキープしましょう」とよくいいますけど、お腹でバックスイングすればスエーしようがないから、そんなこと考えなくていいんですよ。スエーしてしまうのはカラダを横移動しようとするからで、おヘソをクルッと回しながらクラブを上げていけば右ヒザは動きにくくなります。「バックスイングではとにかくお腹を回さないとダメ」というのが私の持論ですし、バックスイングがうまくいかないという人には、お腹の回転を推奨しています。
大きな円を描くつもりでクラブを上げれば捻転が深くなる
飛ばしのバックスイングでもう一つ注意して頂きたいのは、クラブヘッドで大きな円を描くイメージでクラブを上げていくということです。
アドレスの両肩と両腕の三角形をキープするイメージですが、要は構えたときの両腕の長さをできるだけ変えないでクラブを上げていくんです。バックスイングで両腕が縮こまってしまうとクラブヘッドで大きな円が描けませんし、上体の捻転も浅くなって飛ばしのパワーが生まれません。両腕を伸ばしたままではカラダが回りにくくて窮屈に感じる人は、両ヒジを無理に突っ張らなくても結構ですが、なるべく両腕を伸ばしておくようにしましょう。
また、「バックスイングでは背中が目標を指すまでカラダを回す」という教えもありますよね。お腹の代わりに背中を意識するのもいいと思いますし、左肩を頑張って回すよりは背中をクルッと回すイメージのほうが回転がスムーズで、感覚的に合っている人も多いことでしょう。
でも背中を一所懸命に回そうとするとバックスイング中に頭が目標方向に動きやすく、トップが左足体重となるギッタンバッタンのスイングになりやすいので注意が必要です。
バックスイングではクラブをどの方向に上げたらいいのか、カラダをどう動かせばいいのかなど細かく考える人も結構多くて、難しく考えすぎるためにスイングを複雑にしてしまっているように思います。バックスイングのチェックポイントをあえてあげるなら、ハーフウェイバックのポジションでクラブをちょっと止めてみてください。
ハーフウェイバックとは両手が右腰の高さまで上がり、クラブが地面とほぼ平行になった位置のことです。その位置でクラブが飛球線に対してもほぼ平行で、左手の親指がグリップの真上に乗っていればOK。チェックはこれだけで十分ですし、それ以外の動きや形はどうでもいいのです。
お腹の回転を意識してバックスイングすれば、動きがとてもシンプルになります。細かいことを考えなくても、クラブを気持ちよくトップのポジションへと上げられます。私がお腹の回転を強調したいのは、これだけのメリットがあるからなんです。
最後に動画でチェック!
お腹をしっかり回してクラブを大きく上げよう
取材・文・写真/三代 崇
協力/サザンヤードカントリークラブ
【シリーズ一覧】
VOL.1:左手小指側の3本が緩まないようにクラブを短く持つことが重要です!
VOL.2:アゴを上げて高く構えれば、飛ばせるアドレスが作れる!
VOL.3:飛ばしたいならテークバックは「おヘソの回転」で始動!
VOL.4:飛ばしたいなら、体重移動は使わずおヘソを回してテークバック!!
VOL.5:もっと飛ばしたいなら、トップの位置を安定させるべし!!
VOL.6:切り返しでは体重を左足内側の母趾球に乗せよう!
VOL.7:飛ばしたいならインパクトまで前傾角度を徹底キープ!!
VOL.8:ハンマー投げのようなフォロースルーがビッグドライブのお手本!!
VOL.9:フィニッシュは左足だけでも立つ! これなら安定して飛ばせる!!
VOL.10:カラダが柔軟な人は「一軸」、カラダが硬い人は「ニ軸」が飛ばしのカギ。
VOL.11:フェースターンは手の動作ではない! 下半身の動きが最大の肝!!
VOL.12:ヘッドスピードが格段にアップする「マックス素振り」を伝授!!
VOL.13:「クロスハンド&歩き打ち」ドリルで、飛んで曲がらない球が手に入る!!