ひと目でわかる!状況別アプローチ|テクニック落とし所と球筋を決めればグリーン周りからピンに寄る!
80台で回るスコアメイクをしたいなら小技を磨く! Part2
状況に応じた考え方やスイングのポイントだからすぐ実践できる!コツがわかる!
グリーン周りからのアプローチでは状況判断やクラブ選択などの対応力が要求される。「本来なら3本のウェッジを使い分けたいところですが、私の見た限りではほとんどのアマチュアはAWをキャディバッグに入れていないんですよ」と中井学。そこでPWとSWの使い分けのコツがわかる状況別アプローチの打ち方をレッスン。
◎レッスン
中井 学
なかい・がく
1972年生まれ、大阪府出身。03年からプロコーチとして活動し、数多くのツアープロの初優勝に貢献。40歳を過ぎてからプロテスト合格を果たしてトーナメント出場。数多くのメディアでも活躍中。UUUM所属。
AWがない人でも安心!PWとSWの2本を使い分けてシンプルに寄せるコツを中井学がレクチャー!
PWとSWの使い分け方がわかればAWも欲しくなる
アプローチは「ピンが手前なら上げる、ピンが奥のときは転がす」というのが基本的な考え方。グリーンの面を使えるか使えないかでクラブを使い分ける。大半のアマチュアはPWとSWの2本しか入れていないが、アプローチが上手くなると46~50度のウェッジの必要性もわかってくる。
プロのクラブセッティング
プロは使うクラブをロフト角で選ぶ
男子プロの多くは46度、54度、60度の3本のウェッジを好んで使う。距離をコントロールしたり、様々な状況に対応しやすくするためでPWやAW、SWといった番手で選ぶ発想がない。女子プロは46度、52度、56度の3本のウェッジを使う人が多い。
アマチュアのクラブセッティング
アマチュアは番手でクラブを選んでいる
多くのアマチュアはロフト角を考えず、番手で使うクラブを決めている。しかもPWのロフト角は中井学の9I(42度)に近い44度、SWも54度くらいのストロングロフトのクラブを使っていて、46~50度のウェッジは入れていない人はほとんどだ。
case1[フェアウェイからの50ヤード]グリーンエッジまで40Yピンまで50Y|使用クラブPW
高く上げるよりも手前から低く転がすのが確率は高い
乗る確率が高い作戦を選択しよう
ボールがフェアウェイの絶好のポジションにあり、ピンまでは残り50ヤード。でもピンがグリーンの手前側に立っているとグリーンの面が使えないのでピンの近くに寄せるのは難しい。
本当はピンの奥でもいいと割り切って打つのが一番ですが、SWで高い球を打とうとすると中途半端な距離だけにダフリやトップ、シャンクなどのミスが生じやすいリスクがあります。
ここはPWで低く転がす作戦を立てましょう。腰くらいの高さのスイングで低いライナーを打ち、グリーンの手前に落としてランを利用してグリーンに届かせるのです。多くのアマチュアは上げようと考えるとミスが出やすいけれど、転がそうと思えばきちんと打てます。実際に試して効果を確認してください。
ピンが手前側なら手前から転がして乗せる作戦がいい
フェアウェイの平らな場所にワンクッションさせる
case2[バンカー越えのアプローチ]グリーンエッジまで17Yピンまで35Y|使用クラブPW
ピンが真ん中よりも奥ならピッチエンドランでOK!
バンカーよりもピンの位置を見る
バンカー越えのアプローチは多くのアマチュアゴルファーが苦手とする場面です。どうしてミスしやすいかというと、「バンカーに入れたくない」という心理からヘッドアップが生じやすいから。バンカーに入れないことよりも、ピンの位置がどこなのか、ピンの手前のグリーンの面を広く使えるのかなどの確認作業が大切です。
「バンカーを越えるにはSWで高い球を打たないといけない」といった先入観も捨ててください。この場合はピンが奥なので、ボールを低く打ち出して転がすピッチエンドランでも十分に対応できます。高く上げる必要がないと思うだけでダフリやトップなどのミスを回避できます。ピンが手前ならピンの奥に乗ってもいいと考えましょう。
「バンカー越え=高い球」の概念を捨てよう
グリーンの面が使えるのならピッチエンドラン
case3[ラフからピンが遠めのアプローチ]グリーンエッジまで10Yピンまで30Y|使用クラブSW
クラブを短く持てばシンプルに打てる
グリップのシャフトに近い部分を握ろう
ボールが深いラフにあり、ピンまでは30ヤード。こんなときはSWを選択し、クラブを極端に短く持ってボールの近くに立って構えましょう。あとはピンに向かってクラブを真っすぐ振るだけ。クラブを短く持てば手首を固定しやすく、フェースの開閉を使わずにスイングできます。難しいことを何もしなければシンプルに打てて、深いラフからでもビックリするほど簡単に脱出できます。
ボールの近くに立つ
フェースの開閉を使わないで打つ
フェースはスクエア
case4[ラフからピンが近いアプローチ]グリーンエッジまで6Yピンまで10Y|使用クラブSW
スクエアに構えてパットの要領で打つ
アドレスはすべてスクエアがいい
ケース3と同じ深いラフですが、この場合はピンまで10ヤードの至近距離。こんなときはボールが飛びすぎないようにフェースを開いて、オープンスタンスに構えようとしがちですが、難しいことをやるとかえってミスしやすいのです。ケース3と同様、SWを極端に短く持ち、ボールの近くに立ちましょう。フェースもスタンスもスクエア。振り幅を小さく抑えて打つだけでいいのです。
ピンが近いほど短く持とう
パット感覚でスイング
スクエアに構える
フェースは開かない
case5[ツマ先上がりのアプローチ]グリーンエッジまで20Yピンまで30Y|使用クラブSW
両ツマ先を開けばスムーズに振れる
フェースの開閉を抑えてスイング
ツマ先上がりのアプローチの場合、通常のアドレスで構えるとインパクトが窮屈で案外スムーズに振り抜きにくいもの。そこでクラブを短めに持ち、両ツマ先を開いてボールのやや近くに立って構えましょう。傾斜に対してバランスよく立てる上に、下半身を固定したままでスムーズに振れるようになります。フェースの開閉も抑えられますからピンに対して真っすぐ打てるのです。
両ツマ先を開いて構える
両ツマ先を開けば下半身が動かない
ピンに対してスクエア
case6[ツマ先下がりのアプローチ]グリーンエッジまで18Yピンまで32Y|使用クラブSW
フェースをかぶせて構えるのがコツ
球が右に飛びやすい点に注意しよう
ツマ先下がりのアプローチではフェースをピンに真っすぐ向けたつもりでも、実際はフェースがピンの右を向きます。スイング中はフェースの開閉を使わないで打つのが基本なので、当然ボールは右に飛びやすい。その点を計算してフェースをかぶせて構えましょう。フェースを開くのは苦手でも、フェースをかぶせるのは平気というゴルファーがほとんど。これだけですぐに対応できるはずです。
フェースをかぶせる
振り子感覚でスイング
この場合もスクエア
case7[奥からの左足下がりのアプローチ]グリーンエッジまで18Yピンまで35Y|使用クラブSW
コックを使ってボールをすくい打つのがオススメ
左手の小指側を緩く握っておこう
グリーン奥からの、左足下がりからのアプローチ。フェアウェイや花道と違ってラフとなるケースがほとんどです。こんな場面でもボールが飛びすぎないようにフェースを開いたり、極端なくらいオープンスタンスに構えたりしがちですが、難しいことをやろうとするほど大失敗に終わりやすい。傾斜に沿ってクラブを振ろうとしても体が突っ込んでしまいがちです。
ここはアプローチではタブーの「コック打ち」でいきましょう。フェースもスタンスもスクエア。リストを積極的に使えるように左手の小指側を緩く握り、下半身を固定したままで、手首を支点にしてクラブを丸く振ります。ボールをすくい打つ感覚となりますが、やってみると案外うまくいくものです。
ボールの落とし場所はカラーの上
キャリーが出すぎないようにクラブを短く持つ
case8[奥からの逆目のアプローチ]グリーンエッジまで15Yピンまで35Y|使用クラブPW
鋭角に打ち込むとザックリ。横から払い打つのが正解
パットスイングでボールを払い打とう
グリーンをオーバーしてボールはラフに入ってしまった。ラフの芝が倒れていて、その上にボールが乗っていると「打ちやすそうだな」と思いがちですが、油断は禁物です。奥側のラフはゴルファーたちの通り道となることが多く、大抵はグリーンに向かって逆目となります。
打つ前にボールの近くで素振りを繰り返してみればわかりますが、SWを持つとハンドファーストに構えて上から鋭角に入れたくなります。するとインパクトでラフの芝がめくれてクラブヘッドが詰まってしまうのです。この状況ではPWを上から少し吊るすように構え、ボールを横から払うイメージでスイングしましょう。パターと同じグリップで握ると、パット感覚で
高く上げるよりも低く転がすのが確実
素振りで感じをつかんでおく
パットと同じ握り方がいい
取材協力/こだまゴルフクラブ
GOLF TODAY本誌 No.580 23,32〜39ページより
【シリーズ一覧】
●Part1:花道からのチャックリ、トップにさようなら!誰でもやさしく乗せられる吊り子アプローチのススメ
●Part2:ひと目でわかる!状況別アプローチ|テクニック落とし所と球筋を決めればグリーン周りからピンに寄る!
●Part3:スピンが効いてキュキュッと止まるカッコいいアプローチをマスターしよう!!
●Part4:傾斜はナロースタンスで打つ!凡ミスで乗らない人も寄るようになる