ゴルフ初心者向けパターの打ち方の基本とオススメ練習方法
人気プロコーチ・大西翔太がわかりやすく解説!
パターはグリーン上でボールをコロがしてカップに入れるためのクラブ。10メートル以上の長いパットもあれば、1メートル以内の短いパットまでコロがす距離が様々だが、打ち方の基本は一緒。「パッティングがうまいプレーヤーにはいくつかの共通点があります。そのポイントを押さえればパッティングの上達がスピードアップしますよ」と大西翔太コーチ。パターの打ち方の基本をマスターして、パッティングに自信をつけよう。
ゴルフ初心者向けパターの打ち方の基本とオススメ練習方法
初心者向けパターの打ち方の基本とは
パッティングの場合、ボールをコロがす距離によって目的が変わってきます。カップまで遠いロングパットではカップに入れることよりも、カップの近くに寄せることを第一に考えます。アプローチ感覚でストロークするのです。カップまで1〜2メートル以内のショートパットは距離感よりも方向性を重視してカップに入れることを考えましょう。カップまでの距離でストロークの大きさも変わりますが、アドレスの姿勢は基本的には共通です。
そこでパターの打ち方の基本の前に、アドレスのポイントを整理しましょう。
・両手のグリップは手のヒラで握る感覚
・左ヒジから先とパターが真っすぐになるようなアドレスを作る
・両ヒジを真下に向けて、首を長く見せるように構える
・ボールの位置は左目の真下が基準
パターの打ち方の基本をマスターするにはアドレスがとても重要ですから、それぞれのポイントを詳しく解説したいと思います。ドライバーやアイアンなどのショットではフェースの開閉を使いますし、クラブヘッドを走らせる必要があるのでアドレスで手首に角度をつけて構えます。でもパターはボールをコロがすだけ。フェースの開閉を使いませんし、ヘッドスピートを上げる必要もありません。
そこでアドレスがどう変わるかというと、ショットではグリップを指で握るのに対して、パターは手のヒラで握るのです。左手をあまりかぶせないで浅めに握り、パターを吊るし気味に構えましょう。ラインの前方から見ると左ヒジから先とパターが真っすぐ見えるような構えを作るのがポイントです。パッティングがうまい人たちの構えは、左の前腕部とパターがきれいに真っすぐに見えます。
パターを吊るし気味にしてハンドアップに構えると、手首が真っすぐ伸びてストローク中に手首を固定しやすくなります。さらに両肩の力を抜き、両ヒジを両ワキ腹の方に向けて両腕を自然に下げましょう。そうすると首が長く見えるようなアドレスが作れます。両ヒジを左右に張り出した構えや、肩が上がって首が短く見える構えでは上体の動きが硬くなったり、手首が折れたりしやすいので避けましょう。
またボールの位置にも十分に気を配りましょう。初心者のうちはボールから遠くに離れて立ってしまいやすく、それが手首を使いすぎるミスにつながります。逆にボールの近くに立ちすぎても両腕の通り道が極端に狭くなり、ストロークが窮屈です。ボールを左に置きすぎたり、右足寄りに置きすぎたりしてもストロークの軌道が安定しません。アドレスの姿勢を作ったら、ボールを左目から真下に落としてみましょう。ボールの適正ポジションが簡単につかめます。
さてパターの打ち方の基本ですが、一番のポイントは「お腹の回転」を意識してストロークするということ。腕や手は使いません。肩の回転を意識する必要もありません。パターを構えたら、お腹を右にネジってテークバック。そして、お腹を左にネジってフォロースルーへと向かいます。ドライバーやアイアンなどのショットでもお腹の回転を主体にスイングしますが、この原則はパターも一緒。ショットと違って、振り幅がかなり小さいのでお腹の回転量が少ないだけです。そこをカン違いして手先だけでパターを振ろうとすると手首をコネやすく、フェースの向きが大きく変わってミスパットを誘発します。
パッティングは時計の大時計のイメージで、一定のスピードで左右対称に振るのが基本です。ヘッドが等速に動き、テークバックとフォロースルーが等幅というわけです。テークバックが大きすぎてインパクトが緩むとフォロースルーが小さくなってしまいますし、テークバックが小さすぎてはインパクトでパンチが入ってフォロースルーが大きくなりすぎてしまいます。どちらにしてもお腹がスムーズに回転しないで、手先でボールに当てにいってしまうのが等速と等幅で振れなくなる原因です。
パターの打ち方の基本をマスターするには、パターのグリップエンドをお腹に向けたら、グリップエンドとお腹が向き合うように、お腹を左右に小さく回転するイメージを持つのがいいと思います。グリップエンドとお腹が紐でつながっている感じで連動させるのです。下半身も手首も動かさないで、お腹だけを動かす。ここがパッティングの肝です。お腹が止まったままでは、グリップエンドがお腹から外れて両ワキがあいたり、手首が折れたりしてしまいます。
グリップエンドとお腹を連動させれば、パターヘッドが緩やかな円軌道を描くことがわかるでしょう。テークバックでフェースを開き、フォロースルーではフェースを閉じるように見えますが、実際は緩やかな円軌道に対してフェース面を真っすぐにキープしているのです。ストロークの軌道はストレートではなくて、緩やかなインサイド・インが正解。ショートパットは振り幅が小さいため、ほとんどストレートに振っているように見えますが、感覚としては振り幅が大きいロングパットと同じです。これを正しく理解すればストロークの軌道が安定して、パッティングがどんどん上達します。
〈パットストロークのポイント〉
・腕や手を使わず、お腹の回転だけでストロークする
・振り子のイメージで一定のスピードで振る
・テークバックとフォロースルーは左右対称
・パターヘッドは緩やかな円軌道を描くが、フェースはスクエアに保たれる
初心者向け オススメのパター練習方法
次にパターの基本が早く身につくオススメ練習方法を紹介しましょう。初心者の方には次の2つがオススメです。
・ラインと平行にクラブを置き、1〜2メートルの距離を真っすぐ入れる練習
・縦に並べた2個のボールを同時に打ち、真っすぐコロがす練習
カップまで1〜2メートルのストレートラインの場所を選び、ラインに対して平行となるようにクラブを地面に置きます。ラインと平行に構え、パターをクラブと平行に振ってボールをカップインさせましょう。お腹の回転を使って振ればクラブを平行に振るイメージでも実際には緩やかなインサイド・イン軌道で振れます。結果、スクエアフェースでヒットでき、カップに入る確率がアップします。パターを真っすぐ振る意識が強すぎるとテークバックやフォロースルーでパターヘッドがクラブに当たったり、インパクトでフェースが開いたりしてカップを外しやすくなります。
もう一つの2個のボールを打つ練習も1〜2メートルのストレートラインを選びましょう。ボールを縦にそろえてフェースをカップに真っすぐ向けて構えたら、2個を同時に打ちます。トゥ寄りにセットしたボールが先行しますが、2個とも真っすぐコロがり、時間差でカップに入れば合格。インパクトでフェースが開いたり閉じたりすると2個のボールのコロがりがそろいません。初心者にとってはややレベルが高い練習法ですが、自分の上達の度合いをテストする意味で楽しくできる練習だと思います。
大西翔太のパッティング
パッティングの基本は、お腹の回転を使って左右対称にストロークすること!
※動画はショット音が流れますので音量にご注意ください。
取材・文/三代 崇
写真/渡辺義孝
協力/船橋カントリークラブ
大西翔太
大西・翔太/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会公認A級の資格を取得。現在はジュニアの育成に尽力する一方で、青木瀬令奈のコーチもつとめる。メンタルやフィジカルの知識も豊富。女子ツアープロの大西葵は実妹。
【シリーズ一覧】人気プロコーチ・大西翔太がわかりやすく解説 season2
■アイアン編:アイアンの飛距離を伸ばす打ち方のコツとポイント
■アイアン編:アイアンの飛距離が出ない原因と対策方法
大西翔太がわかりやすく解説シリーズ
season1<打ち方の基本とオススメ練習方法>
●ドライバー編:ゴルフ初心者向けドライバーの打ち方の基本とオススメ練習方法
●フェアウェイウッド編:ゴルフ初心者向けフェアウェイウッドの打ち方の基本とオススメ練習方法
●アイアン編:ゴルフ初心者向けアイアンの打ち方の基本とオススメ練習方法
●ウェッジ編:ゴルフ初心者向けウェッジの打ち方の基本とオススメ練習方法
●パター編:ゴルフ初心者向けパターの打ち方の基本とオススメ練習方法