ゴルフ初心者向けウェッジの打ち方の基本とオススメ練習方法
人気プロコーチ・大西翔太がわかりやすく解説!
ウェッジは主としてピンまで100ヤード以内のショットや、グリーン周りからのアプローチで用いるクラブ。ドライバーと違って距離を出す必要はなく、左右の方向のブレを少なく抑えて、縦の距離感を合わせることが一番の目的だ。「ウェッジのショットに自信がつくとスコアがどんどんよくなりますよ」と大西翔太コーチは言う。ウェッジのショットの基本をマスターするコツと上達練習法を教えてもらおう。
ゴルフ初心者向けウェッジの打ち方の基本とオススメ練習方法
初心者向け ウェッジの打ち方の基本とは
ウェッジにはピッチングウェッジ(ロフト角46度前後)アプローチウェッジ(ロフト角52度前後)サンドウェッジ(ロフト角56〜58度)の3つがあります。基本的にピッチングウェッジはアイアンとセットになっていて、100〜110ヤードくらいのフルショットで多用されています。状況次第ではグリーン周りからのランニングアプローチでも使われます。
アプローチウェッジやサンドウェッジはピンまで50〜70ヤードといった場面でスイングの大きさを加減して打ちたいコントロールショットや、ピンまで30ヤードくらいのアプローチショットなどで活躍するクラブです。このようにウェッジの用途はとても広いですから、しっかり練習を積んで基本をマスターしてください。
ウェッジの打ち方の基本ですが、まずアドレスから説明しましょう。
・両足を肩幅か、それよりもやや狭いくらいに広げて体重を左右均等に乗せる。
・ボールの位置はスタンスの中央が基本。
・両手をカラダの中心線上よりやや左モモのツケ根寄りにセットし、両腕とクラブが小文字のy字に見えるように構える。
・ボールと目標を結ぶ飛球線に対して肩や腰、スタンスを平行にセットする。
ウェッジの打ち方の基本としては、腕やクラブを振ることよりも、お腹の回転を主体にしてスイングすることがとても重要です。初心者の方はカラダを回さないで、腕を一生懸命に振ろうとします。お腹が回転しないと腕がネジれてインパクトで手首をコネてしまい、ボールを正確にヒットできず、方向性も距離感も狂わせてしまう結果に。アドレスしたら、お腹を右に回してバックスイング。ダウンスイングからインパクト、フォロースルーにかけてお腹が目標を指すまで回しましょう。グリップエンドとお腹が向き合うように構え、グリップエンドとお腹の間隔を変えないでスイングするというイメージです。お腹の回転に腕とクラブがついてくるものと考えてください。
ウェッジのショットではピンまでの距離に応じてスイングをコントロールする必要があります。ピンが近い状況では小さい振り幅でボールをヒットし、ピンが遠くなるほど振り幅を大きくしていくという違いはあっても、お腹の回転を主体にスイングするというウェッジのショットの基本は共通。とくにピンが近いときはお腹を回すことを忘れて、手先の動きでボールに当てにいってしまいやすいので注意しましょう。
またボールをすくい上げようとして、上体が起きてしまうのもダメ。腕や手は使わないといっても、手首やヒジを固めてはスイングが硬くなってしまいますから、両手にクラブの重さを感じたままでお腹を左右に回しましょう。お腹の回転を意識すれば、スイングがとてもシンプルに感じられるはず。腕や手を使おうとするほどスイングが複雑になることを初心者のうちから理解しておくとウェッジのショットがどんどん上達します。
ウェッジのショットでは方向性の安定も大事ですが、イメージどおりの距離を打つことがより重要となります。プロたちがよく口にする「縦の距離感」です。スイングの大きさをコントロールして距離を加減しますが、ボクの場合は「足踏み」の感覚で距離感を出すようにしています。歩くときも歩幅が小さいときは腕をあまり大きく振りませんよね。でも大股で歩くときはだれでも腕を大きく振るはず。この足踏みの出力をウェッジのショットに応用しているのです。
ピンが近いときは小さい足踏みをすれば、腕の振りも小さくなります。そしてピンまでの距離が遠くなるほど足踏みも大きくしていく。足踏みの出力でお腹の回転量が変わる。足踏みが大きくなれば骨盤だって回転する。左右の重心移動も働き、スイングも自然と大きくなり、イメージどおりの距離が打ちやすくなるのです。ピンまで30ヤードくらいのアプローチだって足踏み感覚は絶対に必要です。下半身を止めて腕を振ろうとするとお腹が回転しなくなるのでNGです。また両足を軽く足踏みしながらお腹を回せばスイングにリズム感が生まれて、クラブヘッドの軌道が安定しやすくなります。
自分の距離感を作るには腰くらいの高さのスイング、胸くらいの高さのスイング、耳くらいの高さのスイングという具合に振り幅を3段階に変えて、キャリーがどのくらい出るかを練習で把握しておきましょう。アマチュアゴルファーなら、ピッチングウェッジで打った場合、腰の高さで50ヤード、胸の高さで75ヤード、耳の高さで100ヤードくらいが目安ではないでしょうか。アプローチウェッジならそれぞれ40ヤード、60ヤード、80ヤード、サンドウェッジではそれぞれ30ヤード、50ヤード、70ヤードという具合に距離が変化します。これはあくまでも目安ですから、自分で打って自分の距離感をつかんでおかないといけません。ウェッジのショットで、できるだけ遠くに飛ばそうなんて考えないこと。何発打ってもできるだけ同じくらいの距離が打てるようになるのが理想です。そのためにはフルスイングでも耳くらいの高さで止めるのがベストと考えましょう。最後の動画のスイングは耳の高さで振っているイメージです。クラブヘッドの遠心力が働くため、実際は耳の高さよりも振り幅が自然と大きくなります。
〈スイングのポイント〉
・スイングの大きさに関係なく、お腹の回転主体でクラブを振る。
・足踏みの出力でスイングをコントロールし、距離感を調整する。
・小さいスイングでも足踏みの感覚が絶対に必要。
・腰の高さ、胸の高さ、耳の高さと3段階の大きさでスイングし、各ウェッジのキャリーをつかんでおく。
初心者向け オススメのアイアン練習方法
次にウェッジの基本が早く身につくオススメ練習方法を紹介しましょう。初心者の方には次の2つがオススメです。
・右手でクラブを持ち、左手で右ワキを押さえて右手打ちの練習
・左手でクラブを持ち、右手で左ワキを押さえて左手打ちの練習
クラブを短く持ち、右手打ちと左手打ちの両方をやりましょう。どちらも構えたときの手首の角度をキープし、腕や手を使わずに、お腹の回転でボールを正確にとらえるのが目的です。慣れないうちはスイング中にワキがあいて手首をコネやすいので、右手打ちの場合は左手で右ワキを固定し、右ワキを締めたままでスイングするのがオススメ。左手打ちも左ワキがあかないように、右手で左ワキを押さえておくのがいいでしょう。
クラブはどのウェッジでもOK。小さいスイングから打ち始めて、徐々にスイングを大きくしていきましょう。足踏みの感覚とお腹の回転をリンクさせて、リズムとタイミングをそろえるときちんと打てるようになります。また右手打ちと左手打ちの両方をやることで自分の苦手もつかめます。右手打ちがうまく打てない人は右手の使いすぎが考えられますし、左手打ちが当たらないという人は左手首が折れているのが原因と疑ってみてください。何故当たらないかを実際に体感し、両方とも正しい動きが身についたら両手でクラブを持ってスイングしてみましょう。きっと完璧なウェッジショットが打てますよ。
大西翔太のウェッジショット
ウェッジの打ち方の基本は、足踏みの感覚とお腹の回転をリンクさせること!
※動画はショット音が流れますので音量にご注意ください。
取材・文/三代 崇
写真/渡辺義孝
協力/船橋カントリークラブ
大西翔太
大西・翔太/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会公認A級の資格を取得。現在はジュニアの育成に尽力する一方で、青木瀬令奈のコーチもつとめる。メンタルやフィジカルの知識も豊富。女子ツアープロの大西葵は実妹。
【シリーズ一覧】人気プロコーチ・大西翔太がわかりやすく解説 season2
■アイアン編:アイアンの飛距離を伸ばす打ち方のコツとポイント
■アイアン編:アイアンの飛距離が出ない原因と対策方法
大西翔太がわかりやすく解説シリーズ
season1<打ち方の基本とオススメ練習方法>
●ドライバー編:ゴルフ初心者向けドライバーの打ち方の基本とオススメ練習方法
●フェアウェイウッド編:ゴルフ初心者向けフェアウェイウッドの打ち方の基本とオススメ練習方法
●アイアン編:ゴルフ初心者向けアイアンの打ち方の基本とオススメ練習方法
●ウェッジ編:ゴルフ初心者向けウェッジの打ち方の基本とオススメ練習方法
●パター編:ゴルフ初心者向けパターの打ち方の基本とオススメ練習方法