ゴルフ初心者向けアイアンの打ち方の基本とオススメ練習方法
人気プロコーチ・大西翔太がわかりやすく解説!
アイアンはフェアウェイからグリーンを狙うときに使うクラブ。初心者のうちは芝の上のボールにきちんと当てるのは結構難しいが、大西翔太コーチは「大丈夫です! ちょっとしたコツでグッドショットの回数が増えますから」と言う。早速アイアンの打ち方の基本とオススメ練習法をレクチャーしてもらうとしよう。プロのようなカッコいいアイアンショットが打てるようになれば満足度もマックスだ!
ゴルフ初心者向けアイアンの打ち方の基本とオススメ練習方法
初心者向け アイアンの打ち方の基本とは
昔は3〜4番のロングアイアンもありましたが、今では難しいロングアイアンの代わりにユーティリティクラブが使われるようになり、アイアンに限っていえば5〜6番から9番、それにピッチングウェッジとアプローチウェッジ、サンドウェッジを加えたセッティングとなっています。アイアンの打ち方の基本をマスターするには、使用頻度がもっとも多い7番アイアンを中心に練習するのがオススメです。
アドレスでは次のポイントに気を配りましょう。
・両足を自分の肩幅くらいに広げて、体重を左右均等に乗せる
・両腕を自然に下げて、首を長く見せるイメージで構える
・ボールと目標を結ぶターゲットラインに対して肩や腰、スタンスを平行にセット
・ボールをスタンスの中央付近か1個分左に置き、両腕とクラブが大文字のY字に見えるように構える
時計盤にたとえるなら頭は12時で、ボールは6時の位置にセットするというイメージ。上体を左右に傾けないで、ボールを真上から見るように構えましょう。アドレスの姿勢を真正面から見れば、背骨とクラブが地面に対して真っすぐになるのがベストです。両肩の力を抜いて両肩をストンと落とすようにすれば、自然体に近い体勢で構えられます。
「アイアンはダウンブローに打つ」。初心者の方はそんな風に教えられてきたことと思います。ダウンブローとはボールに対してクラブヘッドが下降する軌道でとらえることですが、今のアイアンはそんなにダウンブローに打たなくてもボールが上がりやすくなっているので、意図的に上から鋭角に打ち込む必要はありません。
大事にしてもらいたいのは、構えたときよりもクラブのロフトを立てて打つイメージでスイングすること。アドレスでは体重を左右均等に乗せますが、インパクトでは体重の7割近くが左足に乗り、カラダの回転と連動して両手の位置が左モモの前に移動します。結果としてボールよりもグリップが前に出る「ハンドファースト」の形が作られます。このハンドファーストインパクトが正確なアイアンショットを生み出す一番のポイントです。
初心者の多くは腕や手だけでクラブを振ろうとします。バックスイングでカラダの回転が不足し、クラブを上からドンと当てにいってしまう人もよく見ますが、どちらかといえばボールをすくい上げようとしてダウンスイングで手首が早くほどけたり、右肩が下がったりする人が多数派といえます。そうするとフェース面とボールが互いに真正面からぶつかり合うようなパワー効率のいいインパクトが作れず、ボールの方向が左右に散らばって、飛距離も出ないということになるのです。
アイアンの打ち方の基本のマスター法として一番のカギとなるのは、左手の甲を目標方向に向けてインパクトすること。左手甲とフェース面をリンクさせてボールヒットするイメージです。ボールを上げようとすると、インパクトで左手甲が上を向いてしまいます。フェースが開いて当たり、ボールが右にすっぽ抜けたり、ダフリやトップなどのミスに。体重を左足にしっかり乗せて、左手甲を目標に向けて打つイメージならハンドファーストインパクトが作られて、初心者ゴルファーでもショットの安定性がかなりアップします。
アイアンの打ち方の基本を早くマスターするコツをもう一つ。アドレスの姿勢を作ったらお腹を少し左にネジり、体重を左足に乗せてインパクトの形を作りましょう。そしてインパクトの形からテークバックを開始。お腹をいったん左にネジったら、お腹を右に90度くらい回すつもりでトップへとクラブを上げていくのです。腕や手でクラブを上げようと思わないこと。お腹をグイッと回せば腕や手、クラブが勝手にトップの位置まで上がっていくものだと考えてください。ダウンスイングでもお腹を左にグイッと回してインパクト、フォロースルーへと向かいます。
アドレス完成後にいったんインパクトの形を作るのはプロやシングルゴルファーたちがよくやっている仕草ですが、インパクトをリハーサルすることで正しいスイングをイメージしやすく、グッドショットの確率がアップ。お腹の回転を意識すれば上体と下半身の動きのバランスが整い、特別に意識しなくてもクラブヘッドが適正の角度から下りてきてボールをダウンブローにとらえやすくなります。
〈スイングのポイント〉
・構えたときよりもロフトを立てるイメージでインパクト
・インパクトで左手甲を目標に向ける
・いったんインパクトの形を作ってからテークバックをスタート
初心者向け オススメのアイアン練習方法
次にアイアンの基本が早く身につくオススメ練習方法を紹介しましょう。初心者ゴルファーには次の2つがオススメです。
・左ワキにヘッドカバーをはさんで練習。ボールを打っても、素振りだけでもいい
・左手でクラブを真っすぐ立てて、右手の片手スイングでボールを打つ「杖立て打ちドリル」
左ワキにヘッドカバーをはさむスイング練習は腕や手だけでボールを打ちにいってしまうのを防ぎ、カラダの回転でボールをしっかりとらえる感覚をマスターするのが一番の目的。手打ちになるとインパクトで左ワキがあいて、ハンドファーストの形が作れず、ヘッドカバーがすぐに落ちてしまいます。フォロースルーで両手が左肩の高さくらいまで上がったらヘッドカバーは落ちても構いませんが、左腰くらいの高さに振り抜くまではヘッドカバーを絶対に落とさないこと。これができるようになればハンドファーストのインパクトが作れて、ボールをダウンブローにとらえられます。
杖立て打ちドリルは左手で5〜6番アイアンなど長めのクラブを垂直に立てて固定し、右手は8〜9番アイアンなど短めのクラブを右手に持って、ボールを打つ練習です。これも素振りでも構いません。ポイントはお腹に力をためておき、アドレスの前傾角度をインパクトまでキープすること。インパクトでお腹が緩むと上体が起きて、左手で固定したクラブが地面から離れてしまいます。左手でクラブを立てたまま、アドレスの前傾角度をキープしてボールを打ち抜く感覚をつかんでください。
大西翔太のアイアンショット
アイアンはアドレスよりもロフトを立てて打つのが基本!
※動画はショット音が流れますので音量にご注意ください。
取材・文/三代 崇
写真/渡辺義孝
協力/船橋カントリークラブ
大西翔太
大西・翔太/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会公認A級の資格を取得。現在はジュニアの育成に尽力する一方で、青木瀬令奈のコーチもつとめる。メンタルやフィジカルの知識も豊富。女子ツアープロの大西葵は実妹。
【シリーズ一覧】人気プロコーチ・大西翔太がわかりやすく解説 season2
■アイアン編:アイアンの飛距離を伸ばす打ち方のコツとポイント
■アイアン編:アイアンの飛距離が出ない原因と対策方法
大西翔太がわかりやすく解説シリーズ
season1<打ち方の基本とオススメ練習方法>
●ドライバー編:ゴルフ初心者向けドライバーの打ち方の基本とオススメ練習方法
●フェアウェイウッド編:ゴルフ初心者向けフェアウェイウッドの打ち方の基本とオススメ練習方法
●アイアン編:ゴルフ初心者向けアイアンの打ち方の基本とオススメ練習方法
●ウェッジ編:ゴルフ初心者向けウェッジの打ち方の基本とオススメ練習方法
●パター編:ゴルフ初心者向けパターの打ち方の基本とオススメ練習方法