ゴルフ初心者向けフェアウェイウッドの打ち方の基本とオススメ練習方法
人気プロコーチ・大西翔太がわかりやすく解説!
フェアウェイウッドはフェアウェイからのロングショットで用いるクラブ。ロングホールや距離の長いミドルホールのセカンドショットなど使いたい場面は結構多い。初心者でもうまく打てるようになれば気分は最高。スコアだってまとまるようになる。そこで大西翔太コーチがフェアウェイウッドの打ち方の基本とオススメ練習法のアドバイスしてくれた。
ゴルフ初心者向けフェアウェイウッドの打ち方の基本とオススメ練習方法
初心者向け フェアウェイウッドの打ち方の基本とは
フェアウェイウッドはボールをティアップして打つドライバーと違い、フェアウェイの上のボールをヒットするクラブです。ドライバーよりはシャフトが少し短くて、クラブヘッドが小さくロフト角が多めですが、慣れないうちは難しく感じられるでしょう。フェアウェイウッドには3番ウッド(ロフト角15〜16度前後)、5番ウッド(ロフト角19〜20度前後)、7番ウッド(ロフト角22〜23度前後)があり、ロフト角が多めでボールが上がりやすい5番や7番を使って練習をすることをオススメします。
アドレスでは次のポイントに気を配りましょう。
・ボールを左カカト内側の延長線上よりもボール1個分内側にセットする
・お腹を引き締めて力を溜めておく感じで構える
ボールをティアップして打つドライバーは左カカト内側の延長線上にセットし、7番アイアンはスタンスの中央付近にセットするのが基本です。フェアウェイウッドのボールの位置はドライバーと7番アイアンの中間となります。時計盤にたとえればドライバーの場合は頭が11時でボールは5時、7番アイアンは頭が12時、ボールは6時というイメージ。そしてフェアウェイウッドは頭が11時半、ボールは5時半となります。つまり顔とボールが真っすぐ向き合うような構えを作るのです。
アドレスでお腹を引き締めておくのはバランスのいい前傾姿勢を作り、スイングの軸を安定させるため。上体をラクにして下半身を踏ん張るのはいいことですが、下半身を固めすぎるのはよくありません。上体と下半身を分けて考えないで、中間の部分であるお腹を意識することで上体が自然とリラックスでき、下半身とのバランスが整いやすくなります。
打ち方のポイントとしては、手や腕の動き、肩の回転、足の動きなどはあまり考えないで、「お腹の回転」を意識することです。バックスイングではお腹を右に90度くらい回しながらクラブを上げていき、左肩をアゴにつけるイメージでトップの位置へ導きます。そしてダウンスイングではお腹を目標方向に向けるイメージでフォロースルー、フィニッシュへと向かってカラダを回転しましょう。結果的に下半身もしっかりついてきて、正しい回転運動ができるようになります。お腹の回転を意識するだけで上と下の動きのバランスが整い、スイングがとてもシンプルになります。
初心者の多くは「ボールにちゃんと当たらない」と嘆きますが、これはインパクトで上体が起きてしまうのが一番の原因。アドレスでお腹を引き締めていても、インパクトでお腹が緩むと腰が前に出て、上体が起きてしまいます。そうなるとダウンスイングの軌道を大きく狂わせてしまい、クラブヘッドが正しい位置に戻ってこないのです。アドレスの前傾角度をインパクトで再現することがグッドショットの絶対条件。お腹にグッと力を溜めておくことでアドレスの前傾角度をキープしやすく、ミート率がアップするのです。両手で重いものを抱え持つような姿勢を作り、お腹を左右に回して正しい回転のイメージをつかんでください。
フェアウェイウッドの打ち方の基本として、ボールを横から払うのがいいのか、それともアイアンのように上から打ち込むのがいいのかという質問をよく受けますが、ボクはボールを横から払い打つイメージでスイングするのがいいと思います。上から鋭角に打ち込むとインパクトが詰まってクラブがスムーズに振り抜けないからです。かといってボールをすくい上げる動きもNGです。クラブヘッドを鈍角な軌道で振り下ろし、ボールの少し手前からクラブヘッドのソールを滑らせて、低く真っすぐ振り抜いていくようにスイングするのがコツです。
飛行機の着陸のように緩やかな角度から下降し、滑走路の上を少しだけ真っすぐ走り、そこから飛行機の離陸のように緩やかな角度で上昇していくというイメージです。フェアウェイウッドはアイアンと違ってソールが幅広く造られています。このソールの部分を芝の上で滑らせるのです。フェース面をボールに当てるよりも、ソールを使って打つ意識を持つのがいいと思います。落ち葉をホウキで掃くような感覚のスイングというわけです。ショット前の素振りでも腰くらいの高さのスイングで、ソールで芝を軽くこする素振りを数回繰り返し、ソールを使って打つ感覚をチェックしましょう。
〈スイングのポイント〉
・お腹の回転を意識し、アドレスの前傾角度をキープする
・ソールを滑らせるイメージでボールを横から払い打つ
・ショット前にソールを芝の上で軽くこする素振りを繰り返す
初心者向け オススメのフェアウェイウッド練習方法
次にフェアウェイウッドの基本が早く身につくオススメ練習方法を紹介しましょう。初心者の方には次の2つがオススメです。
・両手を5〜10センチほど離してクラブを持ち、両手の返しを使って打つ感覚をマスターする
・ティアップをうんと高くし、ボールをクリーンヒットする練習
両手を離してクラブを持つ練習をスプリットハンドドリルといって、プロたちも実践しています。これはグリップエンドを支点にして自然なローテーションを入れる感覚のマスターに大きな効果あります。ホウキで落ち葉を払うような腕使いが身につき、ソールの滑りをうまく利用して打てるようになります。フォロースルーで左ヒジが引けるためにスムーズに振り抜けない人にも、スイング修正法として役立ちます。
ハイティアップの練習法はクラブヘッドをボールの高さまで浮かせて構え、ボールだけをヒットします。練習場ならLLのような高いゴムティを使いましょう。クラブヘッドが下から入っても、上から入ってもいけません。クラブヘッドをボールの下のティに当てないように、ボールを横から払い打つのがポイント。これができたら澄んだ音が出て、ボールが気持ちよく飛んでいきます。初心者には難しいとは思いますが、この練習を積むとクラブヘッドの入射角が安定し、上達がスピードアップします。
大西翔太のフェアウェイウッドショット
フェアウェイウッドの打ち方の基本は「ボールを横から払い打つ」イメージでスイング!
※動画はショット音が流れますので音量にご注意ください。
取材・文/三代 崇
写真/渡辺義孝
協力/船橋カントリークラブ
大西翔太
大西・翔太/1992年6月20日生まれ、千葉県出身。水城高校ゴルフ部を経てティーチングプロの道に進む。日本プロゴルフ協会公認A級の資格を取得。現在はジュニアの育成に尽力する一方で、青木瀬令奈のコーチもつとめる。メンタルやフィジカルの知識も豊富。女子ツアープロの大西葵は実妹。
【シリーズ一覧】人気プロコーチ・大西翔太がわかりやすく解説 season2
■アイアン編:アイアンの飛距離を伸ばす打ち方のコツとポイント
■アイアン編:アイアンの飛距離が出ない原因と対策方法
大西翔太がわかりやすく解説シリーズ
season1<打ち方の基本とオススメ練習方法>
●ドライバー編:ゴルフ初心者向けドライバーの打ち方の基本とオススメ練習方法
●フェアウェイウッド編:ゴルフ初心者向けフェアウェイウッドの打ち方の基本とオススメ練習方法
●アイアン編:ゴルフ初心者向けアイアンの打ち方の基本とオススメ練習方法
●ウェッジ編:ゴルフ初心者向けウェッジの打ち方の基本とオススメ練習方法
●パター編:ゴルフ初心者向けパターの打ち方の基本とオススメ練習方法