今さら聞けない!ゴルフクラブの振動数って何?
【ゴルフトレンドウォッチャー】コヤマカズヒロのYoutubeをチラ見せ!
各種ゴルフメディアはもちろんYoutuberとしても活躍中のゴルフトレンドウォッチャー、コヤマ・カズヒロ氏の人気Youtubeチャンネル「コヤマカズヒロのYoutube【ゴルフトレンドウォッチャー】」を記事化!
ゴルフ業界の旬なネタ、ゴルフ経験値が高まりそうな話、ギア関連のマニアックな話などなど。コヤマ・カズヒロ氏の一人語りをチラッとお見せします!
振動計測器を購入しました!
世間ではガーミンApproach R10が人気沸騰しましたよね。今回、私もそれと同じくらいの価格の<シャフトの硬さを計る計測器>を買いました。
なぜ弾道計測器を買わずに振動計測器を買ったかというと「試打ラボしだるTV」用に試打クラブをメーカーさんからお借りしたりするじゃないですか? そういうのを計るとなにか面白いことが分かるんじゃないかなと思ったから。
市場に出ている同じ純正シャフトでも硬さが違ったりする。10年前の「R」と今の「R」も違う。そういうものを比較すると面白いかなと。
そこで、クラブに詳しい方だったら知っている"ゴルフクラブの振動数って何?"というベーシックな所のお話をしてみたいなと思います。
そもそも振動数とは?
「振動数」とはシャフト硬さを数値化したもの。
みなさんが硬さの目安として使っている「R」「S」「X」といった、シャフトのフレックス表記。言葉は悪いですが、実は結構でたらめというか(笑)。バラバラだということは結構よく知られているかと思います。
例えば、同じ「S」でも、<A社>と<B社>を比べたらA社の方が硬いとか。また同じメーカーの「S」であってもクラブのブランドによって硬さが違うこともありますね。
そういうこともあって、「振動数」という硬さの基準があれば、客観的な指標で管理することができるのです。
そして<短くなるに従って硬くすることによってセットのクラブを振りやすくしようじゃないか>というものが「振動数理論」とか「振動数フロー理論」なんですね。
これは後でちょっと深掘りしてお話しします。
余談ですが、当時(30〜40年前)の「振動数理論」に基づくと、43インチのドライバーを組んだ時に振動数が265CPMだったら6.5、255CPMなら5.5という下二桁を取ったコードになっていました。
振動数 | コード |
---|---|
265CPM | 6.5 |
255CPM | 5.5 |
5.5とか6.0とか6.5とかご存知の方多いですよね?
古くはライフルシャフトとかにもついてましたし、今だとプロジェクトXとかその系列のシャフトには「R」「S」「X」と書いてある横に5.5とか6.0などの数字がカタログには書いてあると思います。それは、当時の振動数理論の名残なんですね。
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話を戻して...同じフレックス表記でも硬さは違う!
話を戻しましょう。同じ「S」でも振動数は全然違うんですよね。
以前調べたのですが、ゼクシオのシャフトを比べるとTHEゼクシオと呼ばれる「5代目」と「ゼクシオ11」では「ゼクシオ11」のほうが、物凄く柔らかくなっていました。それは何を基準にしてるかと言うと「振動数」を基準にして、同じシャフト長さ・ヘッド重量で測った結果です。2フレックスくらい柔らかくなっていました。
一方、しっかりめのシャフトもあります。キャロウェイの「サブゼロドライバー」に入っている純正シャフトや、最近だとテーラーメイドのSIM・SIM2に使用されているTENSEI(テンセイ)シルバーがありますが、あれは同じ「S」の純正シャフトの中だとしっかりしてるシャフト。
これは打ってみて、「あー確かにそうだ!」と思う方も多いんじゃないかと思います。
TENSEI ブルーの「S」とTENSEI シルバーの「S」だとシルバーの方がかなり硬くなる感じ。そしてカスタムシャフトを入れると同じ「S」でもTENSEI シルバーよりもさらに少し硬くなるんです。
そういうことを客観的に調べられるのが今回購入した振動数計なわけですね。
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さらに深堀り!振動数フローについて
「振動数フロー」とは番手が短くなるに従って、徐々に振動数の数値が硬くなること。
綺麗に振動数が揃っているとセットの流れがよくなると言われています。もちろん長さに沿って、重量も揃ってるというのが前提。
さらに、そこに「振動数」が揃っているとクラブを振りやすくなることを「振動数フロー理論」とも言います。先ほど少し説明した言葉ですね。
たとえば、よくあるミスとして「ドライバーはいい物が欲しい」となり 「6S」のカスタムシャフトを買う。すると振動数はどうなるでしょうか? 260強ぐらいCPMがあるんですね。
フェアウェイウッドはそんなに頻繁に使うわけではないので、スプーンは50g台の純正シャフトを買うとしましょう。
そうするとね、"振動数"が大きく逆転するんです!
2フレックス以上くらいかな? スプーンの方が柔らかく、ドライバーの方が硬くなることになります。ドライバーよりスプーンのほうが短いため、振りづらく「スプーンだけ当たりが悪い…」みたいなことが起きるわけです。
実際、そのせいでフェアウェイウッドが苦手な人も多い。しかし、フェアウェイウッドのシャフトをドライバーと同じ、もしくは重くしたりすると「あれ? なんか格段に振りやすくなったよ!」というお話をよく聞きます。
このように、セット内のシャフトの硬さを揃える指標として「振動数フロー理論」は有用な考え方なんですね。
結論、ゴルフクラブは「重さ」以外を計測することがほぼできない。
ここまで話してきたように、素晴らしい「振動数」。
では、なぜメーカーは統一したり、カタログに振動数を記載しないのでしょうか?
メーカーさんに直接伺ったことはないですが、考えられる理由としては「誤差」ですね。振動数計に乗せるときの向きでも変わるほどです。
そして、重要な予備知識として知っていて欲しいことをお話しします。
シャフトって真っ直ぐ並行ではないですよね? 先端に向かって細くなっている。先端は「チップ」、根元は「バット」と呼ばれます。シャフトはチップ側が柔らかくてバット側の方が硬い、それは全てのシャフトに言えることです。
昨今、多くのシャフトはその剛性に差をつけていますよね。先端をより硬くしたり、手元側を硬く、もしくは柔らかくしたりしてシャフトの特性に変化をつけることで、各ゴルファーにマッチするように設計してしています。
たとえば、グラファイトデザインの「ツアーAD PT」は素直な挙動のシャフト。松山英樹選手が使っている「ツアーAD DI」は先端がより硬く、手元側が柔らかくしなるように感じるシャフト。このように、特性が異なる2種類のシャフトがあったとします。
それらを振動数計に乗せて計ると同じ振動数、例えば200CPMだった場合、それは同じ硬さと言えるのでしょうか?。
結論から言うと、手元調子と言われる、手元の剛性が緩いシャフトの方が振動数が柔らかく出る傾向があります。すなわち「PT」と「DI」の比較では「DI」の方が柔らかく感じやすく、振動数的にもその数値が出やすいのです。
それはなぜか? 振動数計で振動を決める位置に伝わる振動の波の差せい。そうなると「PT」と「DI」で同じ数値が出たとすれば「DI」の方がシャフト全体的にはかなり硬い可能性があるわけですよね。
要するに、同じしなりポイントなら比較しやすいのですが、現代のドライバーシャフトとかは、かなり複雑に剛性分布を変えているので、同じように計測して同じ数値が出ても、同じ硬さにはならないわけなんです。ややこしいけど、なんとなくわかりますよね。
このように、ゴルフクラブって特殊な道具なので、計測するのが難しいんですよね。ロフト角はもちろん、長さですら統一基準がなく、同じ「45.5インチ」であっても、メーカーによって長さがまちまちみたいなことが起きます。それは計測する方法も違うし、計測する場所もメーカーによって異なるから。
2017年にゴルフ用品協会が「こういう基準でやりましょう」というのを定めたことがありますが、採用メーカーが少なく2社しかなかったらしいです…。
そんなこともあり、「俺は45インチがいいんだ!」って言っても、いろんなメーカーで45インチを買って比べてみると「長さが違う!?」みたいなことがあります。
そんなことで、事実上ゴルフクラブの指標で、統一の基準で比較できるものは「重さ」ぐらいしかないんじゃないですかね? 計りに置いて計って、重さはさすがに、誤差とかメーカーによって基準が違うとかはないと思いますが、統一基準はないと思ったほうがいいんです。
これは知ってしまうと、納得して形にしたくなるので、知らないほうが幸せといえば幸せ(笑)僕はあんまり気にしないようしつつ、自分のクラブはこだわっている感じです。きっちり統一基準で計るのは難しいですよ。
なのでね、数字は目安にはいいですけど、とらわれすぎない方がいいかもしれませんね。
今日はそんなお話でした。
振動数で硬さを管理したシャフトを日本で初めて使ったのはジャンボ尾崎さんだった!
動画で紹介していますのでぜひご覧ください!
詳しくは▼下の動画でチェック!
コヤマカズヒロ
児山和弘。1974年生まれ。学生時代には富士桜カントリークラブなどでアルバイトを経験。中古ゴルフFCチェーン「ゴルフパートナー」の立ち上げに参加、以後、ゴルフ業界に。2005年に「39ゴルフ」(アーリーバードゴルフ)設立。用品販売を行いつつ、オリジナルブランド製品を開発。2012年、フリーに転身し、ゴルフ用品からツアー情報まで、幅広く執筆するゴルフライターとしてゴルフトゥデイやゴルフサプリといった各種ゴルフメディアなどを通じて活動を開始。2013年、オウンドメディアの運営代行業を主業務とするメディアライトを設立。2018年にはYoutubeチャンネル「試打ラボ しだるTV」を開設。
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