ニューカーボン時代の到来を告げるテーラーメイド「ステルス」ドライバー
2022ニューモデルを関浩太郎が試打インプレッションVol.4
スイングコーチ兼クラブフィッターの関浩太郎が今回試打したのは話題沸騰中のドライバー、テーラーメイドの「ステルス」。新機軸のカーボンフェースは、かつてメタルウッドが起こした変革を起こすのか? 試打インプレッションから推測してみたい。
飛びの秘密は44%軽くなったカーボンフェース
「ステルス」には“こっそり行う”という意味がある。なぜドライバーにそんな名がついたかといえば、20年以上の長きにわたって極秘裏に開発されてきた経緯があるからだ。練習場専用だったメタルウッドを実戦配備できるまでに昇華し、ドライバーの潮流を変えたテーラーメイドが満を持して世に送り出した第2の矢と言えよう。
その新機軸はズバリ、カーボンフェース。軽さと強さが売りカーボン素材をフェースに使えば金属フェースに比べてヘッドの全体重量が格段に軽くなる。事実、フェースに採用されている60層のカーボンフェースは24g。チタンフェースと比べて44%も軽くなっている(テーラーメイド調べ。同サイズのチタンフェースとの比較)。
その余った重量はヘッドの重量設計に落とし込まれている。すなわち、ヘッドのさらなる低重心化によって高慣性モーメントを実現。飛距離と寛容性を極限までアップさせているというのだ。
「常識を置き去りにし、ドライバーの新たな時代を切り拓く」と銘打ち、新たな”カーボンウッド時代”に向けてヴェールを脱いだ「ステルス」。さっそく、そのふり心地と打ち心地を存分に語ってもらおう。
黒X赤の配色とツヤ消し黒のコントラストが秀逸
まずはヘッドの見た目。当たりそうなイメージが湧くかは結構重要な要素。ドライバーの容姿にはとりわけウルさい関だが……。
「フェース面の赤色は珍しくアメリカ独特のセンスだと思いますが、これが意外といい。構えた時に赤がチラッと見えて戦闘モードに入る感じになりますよ。また、ボディの黒はツヤ消しとツヤ出しを組み合わせていて、そのコントラストがすごくカッコいいですね。
形状はトゥサイドが幾分ボリュームアップされ、ヒールサイドがシェイプアップされた洋梨型のイメージで、ボールがつかまりやすい印象がある。ソールした際のヘッドの座りも良くて、ポンと置いてもフェースが右を向かずに真っすぐ向く。これはアマチュアゴルファーでも構えやすいでしょう」
と褒めまくり。スタートは上々だ。
続いて試打へ移ると、開口一番「予想外に打感がいい」と口にした。
「カーボンフェースは金属じゃないので“ボコッ”という音がするかと思いきや、パキッと弾けたような金属音がする。ボールが潰れた感じがあって柔らかめの打感ですが悪くありませんね!」
打感はクラブ選びの大事な要素で、打音にも大きく影響される。聞けばテーラーメイドのサウンドエンジニアリングチームが入念な分析を重ねて追求した音響性能ということ。しっかり結実しているといったところか。
強振しなくても260ヤード超えを連発
ドライバーは飛んでナンボ。肝心の飛距離はというと、
「飛びます。間違いなく飛ぶ。まず感じるのは、ちょっとスイートエリアを外れてトゥ側やヒール側でヒットしてもグリップがもっていかれる感じが少ないこと。スイートエリアが広く方向性が安定しているので飛距離ロスがないんですよ。もちろん、これまで多くのクラブがこの手法を用いてきたわけですが、ステルスに関しては世界中のゴルフメーカーの中で群を抜いた感じがあります」
実際、強振することなく打っても楽々260ヤード超えを連発。ボール初速は60m/sを超えていた。ちなみにこの日の装着シャフトはテンセイの50g台。しなりが少ないピーキーなタイプの典型的な“軽硬”シャフトだったが、しなり戻りをしっかり感じてヘッドスピードが出てたという。
「フェースが柔らかい感じがあるのにコンスタントに260ヤードを超えるのはちょっと予想外。シャフトをカウンターバランスにして全体的なバランスをとることで振りやすくしているんでしょうね」
関が言うのはスイングバランスのこと。ヘッド側全体の重量が約200g。シャフトの長さが45.75インチだと計算上スイングバランスはD1より重くなるはずだが、計測してみるとD1で抑えられていたのだ。
ドローもフェードも曲がりすぎない安定性
最後に操作性もテスト。インテンショナルにドローとフェードを打ち、クラブの守備範囲を確認してみると。
「ドローは思った通りの左回転がかかります。シャフトがピーキーなこともあって、つかまりすぎるかと思いましたが、意外と繊細にコントロールできる。とっつきにくさは感じないので、プロでもすんなり使えそうな気がしますね。フェードも全然合格です。思った通り、思った方向に飛びました。そもそも直進性が高いキャラクターなので、ドローにしろ、フェードにしろ、心配なく打ち分けられますよ」
ということで、曲げづらい中でも高い操作性が実証された。
「ドライバーの開発は、いかに重心深度を深くするかの争い。カーボンを使い、フェースの強度を落とすことなく軽量化できたことで、今では不可能なほどの余剰重量ができた。テーラーさんは教えてくれませんが、おそらくヘッドの後ろ側を重くして重心深度を深くし、より曲がらない構造になったのでしょう。近年まれに見るお宝ですよ、これは」
とシメた関。プロが使うクラブでさえ、とことん直進安定性を高くするのがアメリカ。すなわち、これが世界のトレンド。「ステルス」は真っすぐ遠くに飛ばす世界の潮流を実感できる一本と言えそうだ。
試打解説/関浩太郎
(せき こうたろう)1974年生まれ、茨城県出身。アメリカで最新のゴルフ理論を学びながら、ミニツアーを転戦。帰国後、クラフト技術を学んだ後、「SEKI GOLF CLUB目黒」を主宰。多くのアマチュアゴルファーのサポートを行い、さまざまなゴルフメディアでも活躍している。
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