令和のゴルフブームは永遠に続く?
ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が現場で感じたゴルフエッセイ【毒ゴルフ・薬ゴルフ】第19回
ゴルフの虜になってもうすぐ半世紀。年間試打ラウンド数は50回。四六時中ゴルフのことばかりを考えてしまうロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、コースや色々な現場で見聞きし、感じたことを書いたのが【毒ゴルフ・薬ゴルフ】です。大量に飲めば死んでしまう毒も、少量なら薬になることは、ゴルフにも通じるのです。
撮影/篠原嗣典
ゴルフブームはどこから来るのか?
ゴルフブームという言葉が頻繁に交わされるのは、50代以上のゴルフ関係者の間だけのような気がします。
日本の高度成長期に子供時代を過ごし、モノを所有することで幸せを具現化しながら大人になったのが50代の世代です。バブルの頃は、若者でした。
「次はこれを買いなさい。みんな、持っていますよ。そのために働いて、家族で幸せになりましょう!」
いわゆる『ブームなキャンペーン』が張られるたびに、みんなでブームに乗って、競ってアイテムを充実させることに夢中になったのが、戦後の日本の社会であり、家族だったのです。
その中で生きてきて、次々に起きるブームのど真ん中にいたのが、現在の50代と60代なのです。
ゴルフブームについても、何を基準にするのかが曖昧なのですが、一つの基準として、ゴルフコースの新規オープンの数が急激に増える期間だとするのが正解というのがセオリーになっています。
ゴルフコースが足りないから増やすという関係が、成り立つのがブームの深層だったのです。
1957年のゴルフワールドカップが日本で開催されて、初めてテレビ中継があったのが、第一次ゴルフブームの始まりだと言われています。
1966年にも、再びワールドカップが日本で開催されて、第二次ゴルフブームが起きます。諸説ありますが、このゴルフブームが、オイルショックまで長く続いたと考えるのが説得力があります。
この時期は、日本だけのブームではなく、アメリカにて、ジャック・クラウスが登場して、A・パーマー、G・プレーヤーのビックスリーがテレビ中継でも盛り上がるエンターテーメントのゴルフを確立したことも影響しています。
日本では1980年代からバブル崩壊まで、再度、ゴルフブームが来ます。(このブームを第二次ゴルフブームと定義する考え方もあります)
ジャンボ尾崎、青木功、中嶋常幸の3人が日本だけではなく、世界を股にかけて大活躍しました。女子でも岡本綾子が、アメリカで賞金女王になったりもしました。
このときのゴルフコースの数が、日本のゴルフ史上、最大です。
バブル崩壊以後、新規オープンするコースは片手で数えられるのに、廃業するコースは両手では数えられない年が続き、この傾向は現在も継続しています。
○○ゴルフクラブは太陽光発電所に変更、という文字を見るたび、馬鹿馬鹿しくて哀しくなります。
国土面積や、山林が多い事情などを考慮すると、ゴルフコースを作るのが可能な場所には、全てゴルフコースがあり、これ以上は増やしようがないので、ゴルフコースの増設をブームの基準にする時代は終わったといわれています。
とにかく、ブームというお祭り気分で安心したいオジさんが(50代、60代は、若者からするとおじいちゃんかもしれないが、わかりやすくするために)、合言葉のように言うのです。
「ゴルフブームが、来るよね!!」
若者ゴルファーの増大、休眠ゴルファーの再開という流れは、新型コロナウィルスへの対策としてゴルフが注目されたことで、ブームといえるほどの大きさになったは事実です。
つまり、ゴルフブームは将来ではなく、来ているのです。
残念ながら、オジさんゴルファーたちがゴルフをしているシーンの中に、若者ゴルファーがいないので、実感が湧かないのです。
練習場に行ってみても、ゴルフメーカーのホームページを見ても、若者ゴルファ向けのサービスやアイテムが増加しています。そういう部分を冷静に分析できるおじさんゴルファーは、姿は見えずとも、ゴルフブームを実感しています。
お利口さんのフリが得意なだけで、本当はお馬鹿さんで、分析が苦手なオジさんゴルファーが多いので、自分だけがゴルフブームに乗り遅れるのは嫌だと、「ゴルフブームは、目の前まで来ているよね?」という質問をしてくるというわけです。
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ゴルフブームの寿命について考える
「今年は、過去の2年とは、ちょっと違う気がするのですが……」
若者ゴルファーを上手に取り込んで、過去最高の売り上げや利益を上げて、ガッツポーズをしているゴルフコース関係者の間で、2022年の春になって、異変を感じているという声を耳にするようになっています。
“石の上にも三年”、“商い三年”、“三年目の浮気”等々。
3年というのは、統計的にも、遺伝子的にも、区切りになるスパンのようです。
若者ゴルファーは、3年目の春を迎えて、ゴルフに飽きてしまったのかもしれません。
先程、日本のゴルフブームの話で、強いて、定説とは異なる区切りにして、僕なりの考え方を説得力があると紹介したのは、過去のゴルフブームは、景気の急激な悪化で終焉を迎えていることを明確にしたかったからです。
そういう意味で、この令和のゴルフブームは、どうなのでしょうか?
ブームを支えた好景気の内容は、新型コロナウィルスの自粛ブームで、遊びで使う予算が余っていたとか、給付金の使い道としてゴルフを選べたというふうにも考えられます。
経済活動を完全に元に戻そうとしている昨今。ゴルフブームにとっては、マイナスのような気がしてきます。
とはいえ、ゴルフブームが終わってしまうような景気の急激な悪化とまでは、ならないように思います。
僕なりに調べてみると、若者ゴルファーが激減しているわけではないようです。
昨年も、若者ゴルファーが急増した時期は、春の終わりで、気温などの状況が、かなり夏っぽくなってきてからでした。
つまり、彼らは半袖の季節を待っているのだと考えると、納得がいくのです。
ゴルフブームを永遠にする方法がある
以前、休眠して復活したゴルファーは、信頼できない、と書きました。
ブームのたびに、思いだしたようにゴルフを再開しては、気まぐれに休眠するイメージがあるからです。
例えば、こんな例もあります。
僕の友人で、休眠ゴルファーになって四半世紀という男がいます。5年以上前から、ゴルフを再開せよ、と熱心に誘っていましたが、腰痛の持病があるから、もうゴルフは出来ない、と頑なに拒否し続けていました。
しかし、少し前に、彼のSNSの投稿を見て、ビックリしました。
満面の笑みで、ゴルフコースを背景に、最新のドライバーを手にした彼がいたからです。
よく画像を見て、少し納得しました。彼の好みにドンピシャの若い女性が横に立っているのです。
「腰痛の心配はなくなったようですね。おめでとうございます!」とコメントをすると、数時間後に、電話がかかってきました。
知り合いの女性にゴルフの相談をされて、調子に乗って、というか、無理矢理に、というか、ゴルフを再開することになった、と言い訳をしながら、何度も、ごめん、と謝っていました。
僕らの世代の男友達なんてそんなものです。
令和のゴルフブームが長く続くことを祈るのは、一人のゴルファーとして当たり前ですが、実は、ブームが終わることに悲しまなくとも良い方法があります。
ゴルフブームがどうなろうと、ゴルフを生活の一部にして続けるように啓蒙すれば良いのです。
春と秋に、1回ずつでも良いので、コンペに参加するとか、仲間との繋がりを切らないようにすれば、ゴルフブームがどうなろうとゴルフを続けられます。ゴルフを生活の一部にするというのは、文字にすると重いですが、やってみると簡単です。
オールドゴルファーも、年に数回のゴルフ、というのが圧倒的に多いのです。
ゴルフの魅力のかなりの部分を占めているのは、社交術としての面白さです。
コミュニケーションの方法として、ゴルフほど短時間で、ディープにお互いを知ることが出来るものを僕は知りません。
もちろん、ゲームとしての面白さもゴルフの最大の魅力です。
一昔前までは、最大の足枷だった継続する費用も、令和時代のゴルフでは、工夫次第で微々たるものにできます。
やめてしまって無駄になるものと、継続する負担のどちらが、コストパフォーマンスが良いかは、一目瞭然です。
仲間がいることで、ゴルフは永遠になります。
若者ゴルファーの最大の強みは、仲間の繋がりが強いことです。
だから、令和のゴルフブームは、終わらないのです。
篠原嗣典。ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてデビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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