フロントティからの成功体験が上達を促す「パーを取る楽しさ、喜び」を覚えよう
100切りなんて簡単だ!エージシューターの極意 第12回
100切りを目指すビギナーから、つねに80台前半で回りたいと思うアベレージまで、ゴルフが上手くなりたい人は必見!! エイジシューターがやっている練習法や体調管理、スコアメイク術からホール攻略法まで詳しく紹介します。
距離の短いところで「パープレー」を体験しておく
ゴルフの難易度を決める一番の要素はディスタンス、つまり距離だそうです。歳を取るとスコアメイクが難しくなるのは、まさにドライバーの飛距離が落ちるからだといえます。
でも、それは60代や70代の人の話で、エージシュートを狙う人にとっては別問題です。
たとえば85歳が85で回ろうと思えば、全ホール、ボギーで回ってハーフで2個と3個のパーを取れば、43・42で達成できます。これは100を切りたい、90を切りたい、という人にも言えることです。そして全ホール、ボギーペースで回ろうと思えば、ドライバーの飛距離は170ヤードも飛べばOKです。
どうですか?そんなに難しいことではないでしょう。
ただし、これにはいくつかの条件が付きます。85歳まで18ホールをちゃんと回れる体力をキープできれば、の話です。同時に、素ダボを叩かないことも必須条件です。そのためには残り30ヤードを3回に1回は寄せワンでパーを取るアプローチ技術を身に付けることも大切でしょう。
そうしたもろもろの課題をクリアするにはどうしたらよいのでしょうか。
エージシュートを目指す多くのシニアゴルファーは、飛距離が落ちるのをなんとか食い止めようと、ジョギングをして足腰を鍛錬したり、スイングを改造したり、クラブを買い替えたりします。そういう努力、創意工夫は無駄とは言いませんが、私はその前にやることがあるような気がしています。
1度、距離の短いところで「パープレー」を体験しておくのです。
たとえば、ダボペースのスコアなのに、バックティから回りたがるゴルファーがいます。ダボペースで回って、ダボになりそうなところをボギーで切り抜けて「今日は粘りのゴルフができている」と自慢気に言うのですが、そんなことを自慢するより、もっとパーを取ることに執着したらどうか、というのが今回の提案です。
あなたがもし、ドライバーの飛距離が落ちてパーを取るのが厳しくなっているのだとしたら、バックティの人はレギュラーティで、レギュラーティの人はシルバーティで、と思い切ってティマークの位置を前に出して挑戦してみましょう。
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ジュニアゴルファーはパーやバーディを取る楽しさを覚えるために前のティを使用する
ご存じだと思いますが、小学生などが出場するジュニアゴルフ大会で、優勝スコアがアンダーになっているのは、ティマークを前に出して、2打目でパーオンできるところからドライバーを打っているからです。だから3アンダーとか4アンダーの優勝スコアになっている。ジュニアゴルファーは、そうやってまず「パーやバーディを取る楽しさ」を覚え、しかる後に、中学、高校と進んで体格が伸び、体力がアップしてドライバーの飛距離が伸びたら、それに合わせてティマークを後ろに下げていく。
これが、ジュニア出身のゴルファーのスコアメイク術なのです。それと同じことを、エイジシュートを狙うゴルファーも実践してみたらどうかと提案したいのです。もちろん、90や100を切れない人もやってみるべきです。
実際にやってみると、スコアがまとまらない原因は、ドライバーの飛距離だけなのかがはっきりします。つまりスコアメイクできない自分の本当の課題が見つかります。
一方で、短い距離からやってもしパープレーできたとしたら、目標がより明確になります。
私は68歳のときに68で回ってエージシュートを達成しましたが、じつは55歳のときも3度エージシュートを達成しています。パー56のショートコースを1~2アンダーで回っているのです。ショートコースなのでグリーンが小さく、オンするとバーディチャンス。グリーンを外しても寄せワンでパーが取れます。
ショートコースとは言え、パーやバーディを取るのが「当たり前」という経験は、エージシュートを身近に感じると同時に、パープレーが決して手の届かないものではないことを教えてくれました。
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河川敷コースでエージシュート300回を記録したエージシューター
実際に距離の短い河川敷コースをホームコースにしてエージシュート300回を記録したエージシューターもいます。仙台市の大久保和男さん(88)がそうです。大久保さんは60歳のときに心臓病の手術を受け、医者に「心臓手術のリハビリはとにかく歩くこと」と言われ、週に2回、パー68の河川敷コースに通い始めました。結果、68歳のときに河川敷コースでパープレイしてエージシュートを達成。「距離の短い河川敷コースだから」と言われながらも通い続けた結果、72歳のときにはパー72のチャンピオンコースでもエージシュートを達成しました。そして、のちに私の取材に対して「エージシュート慣れしていたのがよかった」と語っています。
いまはどうかわかりせんが、かつては、バックティ使用はメンバーの特権で、ビジターはレギュラーティからしか回れませんでした。だからダボペースでもバックティを選択する人がいるのでしょうが、それよりもまず「パーを取る楽しさ、喜び」を覚えましょう。パーやバーディをもっと身近にする。それが案外、エイジシュートやスコア80台への近道なのかもしれません。
高橋健二/ノンフィクションライター。1948年生まれ。企業ものノンフィクション「スーパーファミコン任天堂の陰謀」などを多数執筆。趣味はゴルフ。エイジシュート達成者(エージシューター)を100人以上取材し、自身も68歳のとき1度達成している。
なお、エージシューターとは1ラウンド(18ホール)のゴルフで 自分の年齢以下のスコアを出したゴルファーのこと。生涯で達成できるゴルファーは非常に少なく、ゴルファーにとっての究極の目標でもある。
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