飛距離アップのコツはこれだった!ぜひとも身に付けたいグリッププレッシャーのメリハリ
ベン・ホーガンを先生に!森プロが解説する『アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方』【第2回】
個性を生かす打ち方のアレンジを成功させるには“活きたインパクト”は外せない、と森プロ。
「その盲点になりやすいのがグリッププレッシャー。強く握り締めるのはダメですが、緩すぎてもアウト」ホーガンも悩んだグリップのメリハリとは?
GOLF TODAY本誌 No.603 73〜77ページより
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
取材・構成・文/戸川 景 撮影/圓岡紀夫
“活きたインパクト”は左グリップの緩急が生む
体格以上に飛ばすヒント〝緩めて、締める〟
スイング改造の目的の1つとして外せないのは飛距離アップの要素、と森プロは言う。
「具体的にはヘッドスピードをアップする技術です。アイアンの精度を高めることが最優先事項の場合でも、ヘッドスピードが向上すれば余力を生かしたコントロールが可能になります」
筋力増強以外にヘッドスピードを上げる技術はあるのだろうか。「ホーガンや、私の師匠の陳清波は大柄でもなく筋骨隆々でもありませんが、ロングヒッターでした。ポイントは〝キネティックチェーン(運動連鎖)〟です。全身の筋肉を上手く連動させて、効率よくパワー、ヘッドスピードに変えることができる技術。ホーガンの場合は、左グリップを〝切り返しまで緩めてインパクトエリアで締める〟メリハリのある動きで若いころから実践していました。だから、オーバースイングにもかかわらず、高速で振り切れたんです」
“緩めても抜けない”がホーガングリップの真骨頂
ホーガンが著書『モダン・ゴルフ』で示した左グリップは、小指、薬指、中指で強く握れとは述べていない。
手のヒラの膨らみ(イラスト参照)と人差し指だけでクラブを支えられ、これで振り回してもクラブはスッポ抜けないことを強調。なるべくリキまず、ソフトに握ることを勧めている。
右手2本指を「支点」にすると、左手3本指が「力点」になる
手のヒラ側へのズレ込みを戒めるのは「支点」だから
「スナップ動作は右手首が支点ですが、クラブの動きでは右手の中指、薬指が支えている部分を支点とイメージするとコントロールしやすくなります。
ホーガンも、この部分が手のヒラ側にズレ込まないよう“強く”握るように説いています」
左手の締め込みが“たぐり動作”と一致
「運動連鎖を生かそうと、ダウンのスタートで左足に踏み込みを意識しても振り遅れる人がほとんど。
ホーガンのように、緩めた左手を締め込みながら踏み込めば間に合います。この締め込みが“たぐり動作”になり、ヘッドが走ります」
ヘッドスピードが上がる両手の使い分けとは?
【緩急を覚えるドリル】セパレートグリップで両手の役割をチェック。「右手は支点、左手が力点」を確認する3つの打ち方
(1)手元に支点なし
「両手の間隔を開けたセパレートグリップでアプローチをすると、多くの人は野球のバントのように手首を固めて払い打ちをします。
これではヘッドが加速しづらく、ボールをカツッと弾けないのでスピンがかかりません」
(2)左手3本指が支点
「グリップエンド、左手3本指を支点に右手のスナップで打とうとすると、ザックリの危険性大。
ヘッドが上から入りやすくなり、手元が左に流れてシャンクやトップのミスも出やすい。スナップを使うのが怖くなります」
(3)右手2本指が支点
「右手の中指と薬指を支点に、左手だけでワッグルのようにヘッドを動かしてみると、すごく打点をコントロールしやすいことがわかるはず。ダウンで左手をキュッと締めるだけで、ヘッドが出て打球にスピンが入ります」
右手のスナップ動作は左手の緩急でタッチが出る
左手を緩めると〝たぐり動作〟の理解が深まる
「左グリップを緩める、というと抵抗を感じるゴルファーは多いと思います。巷では、左手3本指をしっかり握れ、というレッスンがほとんどですから。もちろん、グリップをユルユルにして振れ、というのではなく、インパクトでたぐって、キュッと締めたいから、その準備に緩めておくという考え方です。
陳清波の〝ワッグルアプローチ〟は、短い距離を打つほど〝たぐり動作〟の基本が左グリップの緩急にあることを教えてくれます。小さい振り幅で打球を宙に浮かしスピンをかけるには、開いたフェースを左手の締めでキュッと立てる、微細な動きが効きます。
ヘッドの動く幅とスピードを、左手を締め込む力感のメリハリやテンポの違いと結びつけることで、距離感を生み出すフィーリングも養えるでしょう。まずは左グリップを緩めてヘッドを上げてみることから試してください」
1ヤードキャリー成功の秘訣は緩急のメリハリ
右手主体で押し込むと、スピンがかからずランがバラつく
「陳清波が説く“ワッグルアプローチ”の1ヤードキャリーを成功させるには、短い振り幅で打球にスピンをかけるヘッドの入れ方が必須。
見た目ではわかりにくい、左手の締め込みの加減でヘッドを出すことができると、実践できます」
Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
ホーガンアナリスト 森 守洋
ベン・ホーガン(1912~1997)を手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
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