一度は悩む「手首のスナップ動作」最も効率よく「ボールにパンチ」できる方法とは?
ベン・ホーガンを先生に!森プロが解説する『アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方』【第3回】
弾道重視のスイングのアレンジを進めるには、“ワッグルアプローチ”のスナップ動作をベースに“パンチショット”の練習が効果的、と森プロ。「強いパンチの入れ方を覚えることで、改めてコントロールの仕方を理解できます」
GOLF TODAY本誌 No.604 73〜77ページより
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
取材・構成・文/戸川 景 撮影/圓岡紀夫
「ヘッドでパンチを加える」=「手元を流さない」を覚える
右手支点ならヘッド軌道がブレずに当たる
左手の緩急を生かした〝ワッグルアプローチ〟でボールを弾けるようになったら、次のステップは振り幅を広げた〝パンチショット〟に取り組むのが、どんなスイングアレンジにも合う〝厚いインパクト作り〟に有効、と森プロは言う。
「スイングをコンパクトに抑えつつ、フルショット並みの強弾道を打つのが〝パンチショット〟です。
スリークォーターやハーフスイングで飛距離を出すため、パンチを入れる。スナップ動作を覚えれば、意外とカンタンです」
誤解しやすいのは、右手でパンチを加えようとすること。「右手ではなく、左手の緩急でたぐるのが一番の秘訣です。右手はしなやかにスナップ動作を利かせるだけで、前方や下には突き出さず、ボールとの間隔を一定にキープ。その中指と薬指を支点にして、左手でグリップエンド側を力点としてたぐる。すると作用点のヘッドで強いパンチが出せるのです」
「左手支点、右手でパンチ」は打点ズレのミスを生じやすい
ザックリ
左手3本指をキッチリ締めて支点にして、右手でヘッドを振り上げると軌道が安定しない。パンチを入れようと叩くほど、ザックリやトップのミスにつながる。
シャンク
左手でハンドファーストを意識すると手元が左に流れやすく、右手で叩こうとするとフェースが開いたまま戻らずシャンクやプッシュが止まらなくなる。
パンチショットの正解は「右手支点、左手でたぐる」
バンカーショットにエッセンスがある
「ホーガンもそうですが、バンカーでは砂の抵抗に負けないよう、手元を流さずに左手のたぐりでヘッドのリリースを促す動きが顕著にみられます。
フォローで左ヒジがたわみ、左手首が甲側に折れていますが、グリップエンドを引きつけた結果の形です」
左手3本指を開きながらグリップエンドを下げる
「右手の支点を意識するには、バックスイングで左手3本指を開きながら、グリップエンドを下げることでヘッドを振り上げます。開いた3本指を締めることでヘッドを下ろすようにすると、右手の位置がブレず、打点が安定する感覚がつかめます」
左手の緩急をメインにするたぐり動作とは?
【左手で入れるパンチ】締め方を覚えるにはまず思い切り緩める。左手3本指を開いて振り上げ、締めて下ろす
右手中指と薬指の2本を支点と意識しつつ、左手3本指を開きながら左手首を押し込んで、グリップエンドを下げるようにしてヘッドを振り上げる。
切り返しで左手3指を締めながらグリップエンドを左腰に向けるよう引きつけてヘッドをリリースしていく。
右手の支点を左に流さず、グリップエンドをたぐることでヘッドが出る。
左手3本指を締めつつ、左ヒジと左手首をたわめるつもりで引きつける動きを強調すると、パンチが入る感覚がつかめる。
ダウンで左手3本指を締めても、グリップエンドを左に引っ張ってしまうとヘッドはリリースできない。
“緩めて、締める”力加減と助走距離の感覚をつかむ
ホーガン流“振り遅れない”オーバースイング
トップでの左手の緩みを戒めてから勝てるようになったというホーガン。「でも、この左手の緩急を生かしていたからこそ、オーバースイングでも左腰のターンに遅れずに叩けてロングヒッターになれたし、プロになるショット力も身についたと言えます」
緩め具合と締め具合を調整していく
左手の緩急に対し、右手の支点2本指は、スイング中に締めると右手首の動きが悪くなり、スナップ動作が鈍くなるので、握る強さを変えないのがベター。
「ただし、左手がたぐり始めると、ヘッドとグリップエンドのテコの動きの〝圧〟が支点2本指にかかってきます。それを押さえながらインパクトを迎えるので〝右手で叩いた〟フィーリングになる、ということもあります」
左手を緩めてから締める感覚がつかめたら、いろいろ試そう。「最初、10緩めて10締めていたら、次は5緩めて5締めるとか、3緩めて6締めるとか。グリップの形を変えず、力加減や振り幅の中で、緩め方や締め方を変えてみるんです。
また、切り返しからジワーッと締めるとか、ダウンの途中からグッと締めるとか、締めるまでの〝助走距離〟を調整してみるのもアリです。最も効率よくパンチできる方法を探してみてください」
右手はサイドスローのイメージを変えない
「最も効率よくパンチを入れられるたぐり動作は、個人差があります。振り幅を徐々に広げていく際、アドレスから切り返しまでの左手の緩め方、ダウンでの締め方は、いろいろなパターンを試してみてください」
Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
ホーガンアナリスト 森 守洋
ベン・ホーガン(1912~1997)を手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
【アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方】
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