スイングのクセが直らない方へ!新しい打ち方をマスターするための「逆オーバードゥ」してますか?
ベン・ホーガンを先生に!森プロが解説する『アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方』【第4回】
一度身に着いたスイングのクセは、なかなか直らない。「スイングをアレンジするには、思い切りが大切。普段の振り方とはまったく違うことを試すべき」と森プロ。今までと逆の方法をオーバードゥ(やりすぎ)してみるのが新しい打ち方をマスターする突破口になるという。
GOLF TODAY本誌 No.605 81〜85ページより
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
取材・構成・文/戸川 景 撮影/圓岡紀夫
自分なりの基本動作を逆オーバードゥで見直す
アレンジには思い切った変更が必要
新しいことに取り組む場合、微調整感覚で行うと上手くいかない、と森プロは言う。
「たとえば、トップで手の位置を高さ1つ分下げてフラットにしようとする場合、最初は右肩より低くするつもり、オーバードゥ(やりすぎ)で練習しないと、なかなか下がりません。中途半端に下げたつもりでは、結局元の慣れ親しんだ形に戻ってしまいます。
真逆と思えるくらい極端なポジションをイメージして練習し、その違和感から元のポジションとの違いを明確にすることで、ようやくアレンジができます」
また、普段心がけていることと逆の、間違いと思っていることも一度は試してみたほうがいい。「グリップを強く握り締める、オーバースイングをしてみる、左ヒジを曲げてみる。逆説をオーバードゥしてみると、新しい感覚がつかめます。今までのやり方を見直すきっかけにもなります」
シャフトは立てる?寝かせる?
ホーガン流は寝かせる意識
ホーガンは普段からシャフトを寝かせてフェースを開き、ヘッドを遅らせるダウンのイメージのシャドースイングを繰り返していた。
インパクトに振り遅れない技術があったからだ。
寝かせると左手の緩急が必要になる
ダウンでシャフトを立てると、スナップ動作がなくても球はつかまるが、寝かせたシャローポジションにした場合、左手の締めがないとヘッドが落ちてしまう。
この締めの緩急で効率よくテコが利いたスナップ動作につながる。
試行錯誤の正解はラフが教えてくれる
ラフは強いインパクトのバロメーターに使える
「逆オーバードゥや練習を繰り返すうちに、迷いは生じてくるもの。その場合、最大の目標であるインパクトの強さを確認することです。方法としては、ラフからのショットがしっかり打ち抜けるかどうか。
主にスナップ動作を支える左腕のパーツと右手の“たぐり”をそのアレンジと上手く合わせられるか、確認します」
具体的な逆オーバードゥの取り組み方とは?
【個性を生かすヒント】1ヤードキャリーのコツをつかむトライ
トライ(1)あえて右手首を固める
右手首の動きを抑えた状態で、左手の緩急のイメージで打つ。払い打ちに近い感覚。
トライ(2)グリップを右にたぐる
インパクトでグリップエンドを右にたぐり込むとヘッドが強く出る。すくい打ちの感覚。
トライ(3)左ヒジを曲げてたぐる
グリップエンドを引き抜くように左腕をたわめてヒット。手元が流れずピシッと打てる。
極端なトライから“自分のベスト”を探す。
1ヤードキャリーのアプローチは、ボールをいかにポンと打球を浮かすかがポイント。固めた右手首のバネで弾く、すくい打ち感覚でヘッドを滑り込ませる、手元を流さずヘッドを出す。どの感覚が合うかを確認したら、通常の打ち方にその感覚だけ取り込んでいく。
左手を締めて、離すと緩急の理解が深まる
インパクトで左手を離すのは難しい
「ハーフスイングで、インパクトで左手を離してみる。ダウンでの左手の緩急を覚えると、フォローが出なくなる人がいますが、それは間違い。インパクトでたぐったら、左手はまた脱力していい。そのコツをつかむためのオーバードゥですが、慣れないと結構難しいと思います」
フェースは返す?返さない?
「左手の緩→急→緩が理解できると、フォローのフェースの向きはその結果、つまりどちらでもいいことがわかります。自分の緩急の感覚に応じたフェースの向きになっているはずなので、その目安にはなります」
加齢や体調の変化に合わせる調整とは別物
オーバードゥは、今までの感覚を見直す必要があるスイングアレンジには欠かせないが、加齢や体調の変化に対応するためのスイング調整には必要ない、と森プロ。「ホーガンの自動車事故後のスイング改造は、アレンジではないと思います。事故後の体調に合わせてスイングがコンパクトになっただけで、インパクトの感覚、求める弾道に変化はなかった。
シニア入りしてスイングがおとなしくなったプロと同様でしょう。スイングアレンジとは、たとえばニック・ファルドや室田淳のように、スイング軌道からインパクトまでガラリと変えて、求める弾道を変えてくることです。
2人ともスイングアレンジ前からスナップ動作の達人でしたが、アレンジ後、ファルドはメジャーに勝てる安定性、室田は飛距離アップを手に入れました」スイング調整とアレンジは、分けて考える必要があるのだ。
Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173cm、体重68kg。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
ホーガンアナリスト 森 守洋
ベン・ホーガン(1912~1997)を手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
【アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方】
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