練習場でいい球が打てるのは「いい球が打てる作り」になっているから!コースで本当に役立つ練習をしよう
100切りなんて簡単だ!エージシューターの極意 第21回(最終回)
100切りを目指すビギナーから、つねに80台前半で回りたいと思うアベレージまで、ゴルフが上手くなりたい人は必見!エージシューターがやっている練習法や体調管理、スコアメイク術からホール攻略法まで詳しく紹介します。
コースでは上手く打てないのは、「振り方」の練習ばかりで「当て方」が分かっていないから
ゴルフスイングには「振り方」と「当て方」があるということは、本連載の読者なら、すでにご存じと思います。
皆さんが練習場で一生懸命真っ直ぐ飛ばす「ナイスショット」の練習をしているのは、単純に「振り方」の練習なのです。
「練習場ではいいボールが打てるのに、コースに出るとダメなんだよな」と嘆いている人がいたら、それは「振り方」の練習だけで、「当て方」がわかっていないからです。
練習場は本来、いいショットが打てるように作られています。フラットなライで、方向を示す白線が描かれ、ダフってもヘッドが刺さらないように人工マットがひかれています。いわば自由にのびのびと気持ちよく振れるように作られているのが練習場なのです。
対してコースは、さまざまな傾斜やアンジュレーションがあるうえ、OB杭や池やバンカーがわざと目につくように作られています。右にOB杭が見えたら誰だって緊張するし、無意識のうちに右に対する警戒心が湧き、気持ちよく振れないでしょう。
気持ちよく振れないところで、練習場と同じように振ったら、そりゃあミスも出ますよね。
コースにいるときに感じられるはずの「右がダメ」の感覚。それがわかったら、事前に「右に行かない」準備をして臨むことが必要ですよね。
● 「右に行かない」準備
①スタンスを右に向けてアドレスに入る
②ボール位置を左足寄りにセットしてアドレスに入る
③フェース面を、やや右に向けてセットする
このうちの①と②は、スイング軌道が本来のターゲットラインよりアウトインの軌道になるので「振り方」の範疇に入ります。対して③は、スイング軌道はいじらずに、フェースの向きを変えることによってドローを飛ばす打ち方になるので「当て方」になります。
コースにおけるスコアメイクには、こうした事前の準備が欠かせません。練習場における、真っ直ぐな球を打つだけのスイングでコースに出たとき、なかなかいいスコアが出ない原因の1つは、そこを意識して臨んでいるかどうか、ということになるでしょう。
「当て方」が最も重視されるアプローチのポイント
さて、そうした「当て方」が最も重視される場面がアプローチです。前回、私はランニングアプローチ、つまり転がしの「当て方」を詳しく説明しました。
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もう一度おさらいすると、下記の4点がポイントです。
<転がしの「当て方」>
①ボールは右足の外(1足分くらい)
②ロフトを立てて構える
③フェースの向きをターゲット方向に向けたまま
④イン―アウトの軌道で振る
この4点を意識して「当てる」と、打球にフック回転がかかるので、「足の長い」ランニングアプローチができます。
フック回転は、俗にいうオーバースピンのかかったボールです。だから、上りのラインでも芝の抵抗を受けずに転がっていきます。
強い受けグリーンや逆目の上りのラインのとき、あるいは2段グリーンの奥にカップが切ってあるときなどで、手前から寄せたい場合に面白いように寄ってくれます。ぜひ練習して、あなたの武器にしてください。
では、それとはまったく逆のとき、つまり「上げて止める」ピッチショットのときは、どういう「当て方」をするとよいのでしょうか?
一般的に考えればフック回転をかけるアプローチとは逆の「当て方」をすればよさそうですよね。その通りです。ただし、真逆にやればよいかというと、そうではありません。やはり多少のコツがいります。
理由は、フック回転をかける「イン-アウト」の軌道は、自分の体を中心にして振る(自分の体という「基準」がある)のに対し、スライス回転をかける「アウト-イン」の振り方は、ヘッドを自分の体から離して引き寄せる(手が体から離れる)動作を伴うために、その勘どころを覚える必要があるからです。そのことを念頭に置いたうえで、おおまかなポイントを紹介します。
<「上げて止める」ピッチショットの「当て方」>
①ボール位置は左足前
②フェースは思い切り開く
③ストロークの軌道は、ターゲットラインよりもややアウト―インに振る
④リーディングエッジをボールの赤道より下のタスマニア島あたりに当てる
この4点を意識して「カット打ち」すると、打球にスライス回転がかかり「上げて止める」ボールになります。
ここで大事ないくつかのコツを紹介
ボール位置を左足の前に置いた場合、グリップを左太ももの内側にセットすると、リーディングエッジは浮き上がり、そのまま振るとハーフトップしかねません。
そこで、グリップ位置は左太ももの外にくるようにして構え、リーディングエッジが軽く地面に触れるようにします。また、重心は8対2で左足に置きます。
- フェースは思い切り開いてセットするけれども、ハンドファーストの度合いを少なめにして、リーディングエッジが浮き上がらないように構える。
これが第1のコツです。スタンスは、さほどオープンにする必要はありません。
- ストローク中のヘッド軌道は、ターゲットラインより「ややアウト―イン」
これが第2のコツです。あえていえば、ヘッドが「低く、低く」移動するようにストロークします。
前項で「ややハンドファースト」に構えると伝えましたが、このハンドファースト度を強くして、極端にアウト―インに振ると、バックスイングのトップでヘッドが空中高く上がります。そこからダウンスイングに入るとヘッドが地面に刺さって「チャックリ」になる恐れがあります。
カット打ちの軌道は、ボールがフェース面の左下から右上にかけて触れていくイメージでストロークします。そうすれば気持ちよくバックスピンがかかって「上げて止まる」ボールになります。
決してヘッドを「ドン!」と振り下ろすのではなく、インパクトエリアでバウンスが芝生を掃くイメージで「低く、低く」ストロークしましょう。
以上が「上げて止める」ショットの「当て方」です。どうですか?同じアプローチでも、「当て方」によってランの出るアプローチもあれば、キュキュッと球足が急激に死んで止まるアプローチもあります。
改めて強調しますが、練習場はナイスショットを繰り返し打つ場所ではなく、ショットの目的、どういう球を打ちたいかという意図によって、どの軌道で、どれくらいフェース面を開いて、どう「当てる」と、どういう球質のボールが飛び出すか、を検証する場所と考えましょう。
そういう練習なら、たとえ2、3時間やっても飽きずに練習できるはずです。
さて、長い間ご愛読いただいた「エージシュートの極意」は今回が最終回です。またどこかでお会いしましょう。ありがとうございました。
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高橋健二
ノンフィクションライター。1948年生まれ。
企業ものノンフィクション「スーパーファミコン任天堂の陰謀」などを多数執筆。趣味はゴルフ。エイジシュート達成者(エージシューター)を100人以上取材し、自身も68歳のとき1度達成している。
なお、エージシューターとは1ラウンド(18ホール)のゴルフで自分の年齢以下のスコアを出したゴルファーのこと。生涯で達成できるゴルファーは非常に少なく、ゴルファーにとっての究極の目標でもある。
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