1. TOP メニュー
  2. テクニックに効く
  3. スイング作り
  4. トップで両手が両肩のライン上に来る?右肩の真上に来る?タテ振りとヨコ振りのメリット・デメリットを検証

トップで両手が両肩のライン上に来る?右肩の真上に来る?タテ振りとヨコ振りのメリット・デメリットを検証

ベン・ホーガンを先生に!森プロが解説する『アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方』【第9回】

2023/03/26 ゴルフサプリ編集部

ゴルフ グリーン

ホーガンと言えばオンプレーン提唱の元祖。「でも、プレーンの角度は振り方で人それぞれ」と森プロ。「ホーガンもフラット寄りと見なされることが多いですが、アップライト寄り、フラット寄りにするポイントはどこにあるのか、理解しておく必要があります」

GOLF TODAY本誌 No.610 81〜85ページより
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
取材・構成・文/戸川 景 撮影/圓岡紀夫

スイングのタテ、ヨコ感覚はプレーンの傾き具合ではない

プレーン感覚は腕の使い方でほとんど決まる

森 守洋

スイングプレーンはアップライトフラットと大別されやすいが、身長や腕の長さなどで単純に決まるものではない、と森プロ。

森プロ「たとえば、身長が160cm台の倉本昌弘はアップライトでしたし、190cm台のニック・ファルドはフラット。ですが、実は2人のプレーンの傾斜角度はほとんど変わらなかったのです。

というのも、倉本は前傾角度が30度以下と浅いのに対し、ファルドは40度以上。だから、実際のプレーンの傾き具合でアップライトとかフラットとか論じても、スイング動作の解析にはなりません。検討すべきは、身体の回転軸に対してクラブヘッドのプレーンの角度をどう組み合わせるか、です」

この角度は、腕をタテに振るか、ヨコに振るかで変わるという。

森プロ「目安としては、トップで両手が両肩のライン上に来るのがヨコ振りの限界で、右肩の真上に来るのがタテ振りの限界です」

タテ振りでも前傾は深くない!

帝王ニクラスの前傾角度も約30度

ジャック・ニクラス

タテ振りの代表格と言える、メジャー18勝のジャック・ニクラス。天を突くようなトップをイメージしたというが、前傾角度は30度程度。インパクトでは右腰が入り、さらに浅くなっていた。

両手のポジションが右肩の上か後ろか

タテ振りでもフットワークで深い捻転を促し力強いトップに

ジャック・ニクラス

右ヒジが後方へ大きく引かれる“フライングエルボー”が特徴的だったニクラス。

森プロ「両手を高く突き上げようとすると身体の捻転が浅くなりがちですが、大きなニーアクションで深いターンを実現。右肩の真上より後方の、力強いポジションに両手が上がっています」

ベン・ホーガン

ホーガンも前傾は浅めだが、右ヒジを低く抑えているため、両手の位置は右肩の後方。

下半身は上体の動きに従うだけで、十分な身体の捻転が得られている。

タテ振り、ヨコ振りのイメージと動作の違いとは?

【動作が変わる決め手】シャフトの立て方、寝かせ方を意識する

タテ振り、ヨコ振りのイメージと動作の違い

立てるほどにクラブは軽く感じる

森プロ「シャフトを立てて上げると、クラブ全体が軽く感じられます。逆に寝かせるほど重く感じやすい。トップで間を取りやすいのがタテ上げ=タテ振り、切り返しでループしやすいのがヨコ振りとも言えます」

タテ振り、ヨコ振りのイメージと動作の違い

森プロ「タテ振りでは、手元を下に引き下げることでヘッドを前に出していく感覚。身体の捻転が浅いと左に打ち出したり、トゥヒットが出やすくなります」

タテ振り、ヨコ振りのイメージと動作の違い

森プロ「ヘッドを背面に落とすように手元を前に引き下ろすのがヨコ振り。たぐり動作ができていないと、シャンクやスライスが出やすくなります」

右肩より下から前へ振り出すのがホーガン流

身体の軸に直交に近いほうが効率よくパワーが伝わる

身体の軸に直交に近いほうが効率よくパワーが伝わる

森プロ「腕をタテに振るほど、身体の回転の動きとのタイミングやバランス調整が必要になります。

ホーガンのようにサイドスローのイメージで腕をヨコに振り、右肩より下からクラブが振り出されれば、身体のターン動作とシンクロしやすく、より効率よくパワーを伝えることができます」

クラブが身体に巻き付くようなタメが生まれる

クラブが身体に巻き付くようなタメが生まれる

森プロ「ダウンで右肩より低いプレーンにシャフトを通そうとすると、運動連鎖が生じて身体のターンに遅れるクラブが右肩に巻き付くような切り返しになります。

大きなタメが生まれ、飛距離アップの可能性が高まります」

タテ振りよりもヨコ振りのほうが身体にやさしい

森プロ「タテ振りやアップライトスイングのメリットは、方向性の良さが上げられがちですが、ヨコ振り、フラットスイングでもホーガンやリー・トレビノのように正確無比なショットメーカーになれます。
また、高いトップはクラブの位置エネルギーが高まり、ヘッドスピードが上がるという説もありますが、これはナンセンスです」

半面、タテ振りには故障するデメリットが大きいという。

森プロ「タテ振りのニクラスやトム・ワトソンは元々脚力や体幹が強いという身体能力の高さがありました。それでも股関節やヒザを傷めて手術を受けています。腕のタテ振りと身体の軸回転のズレは、身体には大きな負担になると思います」

では、ヨコ振りは身体にやさしく、メリットだらけなのだろうか。

森プロ正しいたぐり動作ができないと、球のつかまり具合やフェースコントロールが難しくなります。ここがヨコ振りのメリットを享受できるかどうかの分かれ道です」

Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)

アメリカ・テキサス州出身。身長173cm、体重68kg。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。

ホーガンアナリスト 森 守洋

森 守洋

ベン・ホーガン(1912~1997)を手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。


【アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方】
←シンプルで効果的なフットワークで、腰を痛めず回転力アップ!
相性の悪いグリップもあるので要注意です…!シャットフェースの技術を上手に生かすコツをマスター→

第8回(前回)を読む 第10回(次回)を読む

シリーズ一覧へ

スイングは「ヨコ回転」と「タテ振り」のマッチング【ゴルフ初心者レッスン】ゴルフスイングの基本

YouTube番組「KOTAROゴルフTV」とのコラボレーション企画の第7回。「たくさん練習すれば何とかなる」とばかりに漫然とボール...

あわせて読みたい

憧れの藤田寛之プロにインタビュー!「スイングの基本は小さい動きから」プロも重視するアプローチの30ヤード

こんにちは。逆上がりのできないティーチングプロ 名取確(なとり・たしか)です。 なんと、藤田寛之プロに単独インタビュー...

あわせて読みたい

堀琴音のドライバースイング連続写真(アース・モンダミンカップ 2022)

堀琴音のドライバースイング連続写真。 2022年「Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」で、JLPGAツアー2勝目を獲得。メルセ...

あわせて読みたい