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ゴルファーにとって最高の栄誉「グランドスラム」の歴史とは?日本初のグランドスラマーは誰?

なんとなくで聞き流していませんか?ゴルフツアーの用語をわかりやすく解説

2023/05/16 ゴルフサプリ編集部 宮井善一

原英莉花

原英莉花(写真/相田克己)

男子メジャーの今季第2戦「全米プロ」が近づいてきました。日本勢の奮闘が期待されますが、もうひとつの注目点はジョーダン・スピース(米国)がグランドスラムを達成するかどうか。“王手”をかけてからすでに7年目ですが、一時の低迷からこのところ調子を上げてきており、期待がかかります。では、グランドスラムとは具体的にどのようなもので、どんな選手が成し遂げているのでしょうか。分かりやすく解説します。

[目次]

グランドスラムとは?

もともとは、トランプゲームのコントラクトブリッジで全勝を宣言してプレーし、宣言どおりに全勝することを指す言葉です。グランドスラムの達成は非常に難しく、称賛に価すること。そこから転じてゴルフやテニスなどで主要競技を完全制覇する快挙に使われるようになり、野球では満塁ホームランをグランドスラムと呼ぶことがあります。

ゴルフにおける主要競技とは、一般的にはプロツアーにおけるメジャーのことです。しかしながら、ゴルフの世界にグランドスラムの名を最初の広めたのは1人のアマチュア選手でした。

そのアマチュア選手とは、今から100年ほど前に活躍したボビー・ジョーンズ(米国)です。アマチュアのジョーンズにとってのメジャーとは、全米アマと全英アマ、そしてアマチュアも出場できる全米オープンと全英オープンの4大会でした。

アマチュアながらすでに全米オープン3勝、全英オープン2勝を挙げ、全米アマには4回勝っていたジョーンズは28歳になった1930年に主要4大会すべてで勝つことを目標に掲げました。

まず、英国に渡って未勝利だった全英アマを制し、続いて全英オープンでも優勝します。米国に戻ると7月に全米オープンで4勝目を飾りました。最後の関門は9月の全米アマ。マッチプレーを勝ち上がり、決勝では8アンド7と大勝して空前絶後の年間グランドスラムを成し遂げたのです。人気が高かったジョーンズの快挙にゴルフ界は沸き立ちました。

グランドスラムはゴルファーにとって最高の栄誉といえるもの。これまでグランドスラマーの称号を手に入れることができた選手はほんの一握りなのです。

次に、プロの世界でグランドスラムを達成している選手を紹介しましょう。

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米男子ツアー

メジャー4大会(マスターズ、全米プロ、全米オープン、全英オープン)を最初に制したのはジーン・サラゼン(米国)です。サラゼンは1935年の第2回マスターズに勝ってグランドスラムを達成。この時、15番パー5で達成したアルバトロスはゴルフ史に残る1打として刻まれています。

2人目はベン・ホーガン(米国)。マスターズ、全米プロ、全米オープンに勝っていたホーガンは1953年に初めて全英オープンに参戦すると、見事に優勝してグランドスラムを成し遂げました。ちなみにホーガンが全英オープンでプレーしたのはこの年だけでした。

1960年代にゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)ジャック・ニクラウス(米国)が続きます。以降、しばらく達成者が現れませんでしたが、2000年にタイガー・ウッズ(米国)が24歳の最年少でグランドスラマーの仲間入りを果たしました。現在はこの5人です。

50歳以下の選手で“王手”をかけているのは、スピースのほかにマスターズを残しているローリー・マキロイ(英国)がいます。

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米女子ツアー

メジャーが5大会(シェブロン選手権、全米女子プロ、全米女子オープン、エビアン選手権、全英女子オープン)もある米女子ツアーは、4大会に勝てばグランドスラムで、5大会すべてを制した場合はスーパーグランドスラムと定義しています。

エビアン選手権がメジャーに昇格して5大会制となったのは、2013年とまだ歴史が浅く、5冠、すなわちスーパーグランドスラムを達成しているのはカリー・ウェブ(オーストラリア)ただ1人です。

4冠は6人いて、達成順にルイーズ・サッグス(米国)、ミッキー・ライト(米国)、パット・ブラドリー(米国)、ジュリ・インクスター(米国)、アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、パク・インビ(韓国)という面々です。

日本男子ツアー

現在の主要競技といえるのは日本ゴルフツアー選手権、日本プロ、日本オープン、日本シリーズの4大会。日本ゴルフツアー選手権は2000年に創設された大会で、2003年まで行われていた日本プロマッチプレーも、グランドスラムを構成する主要競技に数えられています。

1975年に、村上隆が主要4大会をすべて制する日本版の年間グランドスラムをやってのけました。これが現行のグランドスラム第1号です。

以降、達成順に青木功、中嶋常幸、尾崎将司、尾崎直道、片山晋呉がグランドスラマーとなっています。

余談になるかもしれませんが古くは日本プロ、日本オープンと関東プロ、関東オープン、関西プロ、関西オープンが6大競技と呼ばれていた時代がありました。

「関東」「関西」と名のつく大会は、それぞれの地区の選手のみが出場できるもので、関東の選手なら日本プロ、日本オープン、関東プロ、関東オープンに勝てばグランドスラムという感覚でした。1939年には、関西の戸田藤一郎が年間グランドスラムを達成しています。

日本女子ツアー

2008年にワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップがメジャーになるまでは3大会制(日本女子プロ、日本女子オープン、ツアーチャンピオンシップリコーカップ)で、大迫たつ子、森口祐子、涂阿玉(台湾)、塩谷育代、肥後かおり、不動裕理の6人が3冠すべてを制していました。ただ、4大会制となってからはまだグランドスラム達成者は現れていません。

現在3冠に到達しているのは、上記の6人に加え福嶋晃子、諸見里しのぶ、テレサ・ルー(台湾)、申ジエ(韓国)の計10人。この中でメルセデス・ランキングによる今季のシード選手はテレサ・ルーと申ジエの2人だけです。

若手での2冠達成者は畑岡奈紗、原英莉花、山下美夢有の3人。誰が最初に4冠のグランドスラムを手にするのか、楽しみです。

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文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。

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