五感を磨け!弾道計測器への過信は禁物!!

プロゴルフトーナメントの練習場に登場して久しいのが「Track Man」(259万500円〜)に代表されるいくつかの弾道計測器。ヘッドスピードやスピン量、スイング軌道や入射角など、ゴルファーにとってありがたい情報を瞬時に提供してくれるスグレモノだ。今や日本のプロたちも、個人で購入しトーナメント会場に持参しているから、目にしたファンも多いはず。

この弾道計測器、前述のようにプロユースのモデルが「軽自動車1台分」という値段がネックだったが、今や28万5000円(税別)の「MEVO+2023」や、税込み8万8800円という驚きの値段で登場した「ApproachR10」など、手の届く値段でプロユースのものに迫るデータをはじき出してくれるものも登場してきた。

こうした弾道計測器を打席に導入したドライビングレンジも増え、一般ゴルファーにとってもすでに身近なものになりつつある。

では、ジュニアゴルファーたちにとっては、どうなのか。あるトップジュニアの父親に現状を聞いてみると、驚きの答えが返ってきた。

ジャンボ邸で弾道計測器の使用は?

ジャンボは最新機器について肯定はするが、自分の感触や、実際に見た球筋の感覚を重要視するという見解だ。

ーー「子供のために『TrackMan4』を購入している親は、確かにいますよ。子どもが上達していく上で、数値の裏付けは欲しいですから。最近は『TrackMan』より『GCクワッド』(207万円〜)の方が使いやすいという声もよく聞きます。

ジュニアたちが指導を仰ぐインストラクターも弾道計測器をしっかり使いこなして指導をする方で、なおかつ実績を上げている人に人気が集まっています」

と、すでにジュニアたちも弾道計測器の使用は当たり前で、それを使いこなせるインストラクターに人気が集まる時代に入っているようだ。

ただここで注目したいのは、ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーでは、弾道計測器の使用を見送っていること。その理由について、ジャンボのマネージャーを務める宮下修氏はこう明かす。

ーー「ウチに来ている女子プロゴルファーも試合会場では使っているでしょうが、ここ(ジャンボ邸)では使いません。うちはレンジの奥行きもあってボールの落ち際まで見えますから、あえて弾道計測器を使う必要はない」

ジャンボの愛弟子である金子柱憲も「ジャンボは(弾道計測器の)否定派ではないと思う」と前置きしたうえで、こう続けた。

金子の独白  「よくジャンボが口にするのは『ボールが上がる角度と、落ちる角度がなるべく変わらない球筋がいい』という言葉。そういう球筋が、風にも影響を受けにくいのは確かです」。

数字ばかりに捉われてはいけない

昨年のZOZOチャンピオンシップの練習場。多くの選手が弾道測定器や小物などを使用してスイングを分析し確認作業をしているのが印象的だった。

その球筋を自ら確認できるのが、ジャンボ邸のドライビングレンジ。恵まれた環境の中、自らの感触など五感を研ぎ澄ますことを優先させる練習の重要性を、金子は説く。

金子の独白  「ゴルフのスイングは、体中の、数えきれないほどの筋肉を使って行うもの。体の硬さも人それぞれで、その日によって体調も違う。だからこそ、計測器を1回や2回使ったくらいの数字から答えを導き出すべきではないのです。

たとえば、感触、球筋が良かったのに、数字が良くなかった、いい感触でデータが悪かったということは、機械と自分の感覚との間に何らかの誤差が生じているということ。

機械ばかりを信用してしまうと「あれ?今良かったのに、なんで機械のデータが悪いのだろう」となる。でもある程度ゴルフをやっている選手であれば、そこにズレが生じても、自分の感触や実際に球筋を見た感覚を第一に考えます。

使い始めから数字ばかりを見て一喜一憂していたら、頭の中が混乱してしまう。自分のスイング動画もスマホで簡単に撮れて、すぐに再生できるようになりましたが、スマホも、スイング解析器も、所詮は道具だということ。使い方次第では便利なものになりますが、間違った使い方をすると、当然マイナス面も出てくる」。

計測器の有効活用方法

松山英樹やコリン・モリカワもトラックマンでスイングの内容をチェックしていた。

では、どう使えばいいのか。金子の言を聞こう。

金子の独白  「まず、計測器のデータを、ある程度長期的に取ることです。そうすれば自分の傾向が分かってくる。調子のいい時の傾向を数値と照らし合わせて、それに近づける練習をしていけば、効果は上がると思います」。

また、効果を数値化できるのが、筋力トレーニング。体を鍛えることでヘッドスピードが上がったことは、解析器で確認できる。ヘッドスピードが上がれば、飛距離アップにもつながっていく。

それがさらなるトレーニングのモチベーションになれば、計測器を使った甲斐があるというもの。

有効な使い方ができるかどうかは、使うゴルファーの意識の持ち方次第といえそうだ。

金子プロからジュニアへのワンポイントアドバイス

スマホでスイング動画を撮ったり、合わせて弾道測定器の数値を見るプロが増えているといえる。

僕もクラブフィッティングの時に計測器を良く使いますが、基本的にチェックするのはボールの回転数と発射角。2000回転程度で13度から14度になるドライバーを選びます。

これも人によって個人差があり、340、350ヤードと飛ぶローリー・マキロイのような選手は球筋も高い分、回転数も低いと聞いています。

ジュニアの皆さんも、自分が一番飛ぶ回転数と発射角を知っておくことは、新しいクラブを選ぶ時に役立つはず。そのためにもやはり、十分なデータを蓄積しておくことが大切です。


金子柱憲(かねこ・よしのり)
1961年3月4日生まれ。東京都出身。日大卒。
14歳でゴルフを始め、アマチュア時代は日本オープンベストアマ、関東学生優勝。1982年の韓国オープンではプロを抑えて優勝。1983年プロ入り後、ジャンボ軍団入り。91年に関東オープンで初優勝。ツアー通算6勝。


ジャンボに聞け! ジュニアゴルファーの育て方

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