トッププロのスイングは皆違えど、下半身の使い方は共通 重要なのは「下半身のダウンブロー」
ジャンボに聞け!ジュニアゴルファーの育て方 VOL.17
今回はアイアンのスイングづくりについて、掘り下げてみよう。1990年代、日本の男子ツアーを完全に制圧した感のあるジャンボ軍団。才能豊かな選手たちが切磋琢磨した結果とは言え、その圧倒的なドライバーの飛距離ばかりが注目されがちだが、アイアンの精度もまた定評があった。ピンを突き刺す、正確無比なアイアンショットはいかにして生まれたのか。ジャンボの愛弟子・金子柱憲がその秘密を明かす。
GOLF TODAY本誌 No.617/118〜119ページより
取材・構成/日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗
撮影/相田克己
良いアイアンショットは「トン」
悪い角度で打つと「サッ」とホウキで掃いたような音がする
ドライバーとアイアン。クラブの性質は違えど、スイングづくりに関して言えば、大きな違いはないという。
金子のアドバイスを聞いておこう。
金子の独白 「アイアンのスイング作りといっても、基本的には他のショットとスイングは変わりはありません。特に下半身の使い方はほとんど同じと言っていいでしょう。基本的にすべてのスイングの動きはダウンブローなんです」
ダウンブローとは、クラブヘッドが最下点に達する前、あるいは下降している段階でボールにコンタクトすることであるのは、ご存知の通り。
「ここで重要なことは『下半身の動きがダウンブロー』ということです。上半身だけでダウンブローをイメージしてしまうと、いろいろな弊害をもたらします。下半身さえダウンブローの動きをしていれば、後は上半身の使い方で、低い球や高い球を打ち分けることができます」
ではなぜ下半身の動きで、ダウンブローをイメージしなければならないのか。金子が解説する。
金子の独白 「実はこの動きがインパクト時にボールを押し込む動作に繋がり、フェースの開閉度合いが少なくなるからです」。(1)〜(3)までの写真を見ていただこう。
注目してほしいのは(1)のトップから(2)の切り返しで腰が飛球線方向に、平行にスライドしていること。この動きにより、下半身が先行し、上半身と引っ張り合う動きが生じていることが見て取れるはずだ。
この動きが結果として何をもたらすのか。金子はアイアンのブレを抑制することにつながるという。「これによりインパクト時のフェースの開閉度合いが少なくなります。フェースの開閉が少なければ、方向性も安定するわけです」
クラブヘッドが下りてきてからインパクトを迎え、その後もスクエアな状態が持続する。フェースの向きを長く持続するために必要なのが、ダウンブローをイメージした写真のような下半身の動きであるわけだ。
実はこれ、一流選手に共通する動きでもあるという。
金子の独白 「トッププロのスイングを見ると、スイングは皆違います。でもインパクト前後の下半身の使い方は、共通しています。緊張感の中でボールをコントロールするためには、この下半身の動きが必ず必要になってくるからです」
いいスイングを身につけるためには、じっくりとスイングづくりと向き合う時期も必要
逆にこの、左に腰が平行にスライドしないとどうなるのか。
金子の独白 「体重を右に残したまま、腰を回してしまうとしゃくり上げる動きになってしまう」。
それだけではない。フェースの動きもコントロールできなくなるというから大変だ。「下半身にダウンブローの動きがないと、上半身だけでいろいろな動きができてしまう。結果、スイングプレーンもバラバラな動きになってしまう」。上半身に無駄な動きをさせないためにも、下半身のリードが必要なのだ。
インパクトの面を長く保つ。正確なアイアンショットを打つ鉄則だが、この動きを身につけるためには、練習場でしっかり取り組んでいく必要があるという。
金子の独白 「試合に追われている状況だと、スイングを変えていくことはなかなか難しい。普段の練習の中で、根気よく取り組んでいかないと、なかなか身に付かないものです」。
試合経験も大事だが、いいスイングを身につけるためには、じっくりとスイングづくりと向き合う時期も必要だということだろう。
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他にも重要なチェックポイントがあるという。それは打球音だ。
金子の独白 「ジャンボは、今でもジュニア選手のアイアンショットを見ている時、インパクトの音を気にしています。ではどんな音が良いかというと、『トン』というような衝撃音です。良い角度でボールをとらえないと、この音は出ません」。
では悪い角度でインパクトを迎えてしまった場合はどんな音が出るのか。
「『サッ』というような、ホウキで掃いたような音になります。なかなか言葉では表しにくいのですが、明らかにインパクト時の音が違うのです。人工芝で練習すると、結構顕著に表れますね。まず、この「良い音」と「悪い音」をしっかりと覚える必要があります」
耳から入る情報も、上達には欠かせない要素の一つ上達には欠かせない要素の一つなのだ。
金子プロからジュニアへのワンポイントアドバイス
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スイングに悪影響を与えないためにも、ライ角には常に注意を払いたいものです。
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金子柱憲(かねこ・よしのり)
1961年3月4日生まれ。東京都出身。日大卒。
14歳でゴルフを始め、アマチュア時代は日本オープンベストアマ、関東学生優勝。1982年の韓国オープンではプロを抑えて優勝。1983年プロ入り後、ジャンボ軍団入り。91年に関東オープンで初優勝。ツアー通算6勝。
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