飛距離はとても大切だけど、それだけではスコアはまとまらず、勝つこともできません

週末に開催されたJLPGAツアー2023シーズン第37戦『第42回大王製紙エリエールレディスオープン』は、2位でスタートした青木瀬令奈が逆転し、今季2勝目、ツアー通算5勝目をあげました。

この試合を見終えて改めて思ったことは、「やっぱりゴルフは飛距離に長けた者だけが勝つゲームではないんだなぁ」ということ。
青木の最終日のスタッツを見ると、平均飛距離は222.667ヤードで、予選を通過した選手中最下位。

これまでも青木が勝つたびに“飛ばないのに勝つ”ことがよく取り上げられていますが、今季2勝目のこの試合を見て、ボールをコントロールすることがいかに大切かを再認識しました。

ゴルフスクールや個人レッスンで、日常的にゴルフ練習場に居る私は、たくさんのアベレージゴルファーと接したり、練習している姿を見たりしています。そして思うことは、「みんな、ボールの行方はさておき、振りまわすのが好きだなぁ」ということです。

しっかり、確実にミートするための練習がアベレージゴルファーには大切です

一般的にいわれるように、飛距離は大きなアドバンテージです。飛ばないより、飛んだほうが単純に楽しく、また、曲がらないのならスコアをまとめやすくなるでしょう。

そのせいか、飛ぶと評判のドライバーに買い替えたり、飛距離が伸びるといわれるシャフトに挿し替えるアマチュアゴルファーはたくさんいます。
それ自体は問題ありませんが、評判のギアを手に入れて、それらの性能を引き出したいのであれば、闇雲に振りまわすことは控えたほうが無難だと思います。
ショットが左右に散るのをなんとかしたい。右や左に曲がるのをできるだけなくしたい。不安定なショットをできるだけ安定させたい。
アベレージゴルファーのほとんどは、このような悩みを解決したいと相談にきます。この気持ちは十分に理解できます。誰でも曲げたくないし、ミスはしたくありません。
そのためにはぶんぶん振りまわさずに、シンプルかつコンパクトにスイングすることがとても大切。そして練習する時間が限られているアベレージゴルファーこそ、きちんとミートするための練習が必要なのでは、と感じます。

スクールではよくハーフスイングをはじめとした、ボールをしっかりとらえるためのドリルを行いますが、ドリル練習が終わるとすぐ、元の打ち方(スイング)に戻ってしまい、ぶんぶん振りまわす人が多いのです。

ドリル練習は退屈なので、そうなってしまうのも仕方がないのかもしれません。でもこれではショットを安定させることは、なかなか難しいと思います。
青木瀬令奈の勝利からもわかるように、ゴルフはつまるところターゲットゲームです。飛距離はもちろん大切ですが、自分が狙ったところへいかにボールを運べるか、そしてカップインさせるかがスコアを左右します。
そのためにはある程度飛距離を抑えて、方向性を重視した打ち方(スイング)でプレーすることが欠かせないと思います。

日本オープン6勝、日本プロ4勝のレジェンドプレーヤー、宮本留吉はこう言っています。

「飛距離にこだわりすぎるとスコアは逃げていく。自分の『分』を見極め、七割の力で得た距離でゲームを組み立てる。これがスコアメイクの要諦である」




宮川岳也
ゴルフ雑誌編集記者を経て、フリーランスのゴルフライターへ。USGTFティーチングプロ資格を有し、現在は埼玉県の練習場でレッスン活動も行っている。