過去のどのカーボンフェースよりも心地良い打感と爽快な打音
「今回3つのモデルが登場したQi10シリーズですが、第一印象として変わったと思ったのは、構えた時に見えるクラウン部の形状と、フェースのつなぎ目の金属がなくなったこと。また、投影面積が大きく感じられ、安心感があります。テール部分が伸びたQi10 MAXは、特に安心感を与えてくれる顔つきをしています。たまたまそうなったのかもしれませんが、2代続いたステルスとは全く異なった顔つきです。
クラウン部分のカーボンの面積は増えたものの、フェース面やソールの形状、イナーシャジェネレーターなどはステルス2を踏襲していると思います。でも打ってみると、これまでのカーボンフェースよりも“球持ちの良さ”がありつつ、爽快とも言えるほどの弾き感がありました。今作に関しては、これまでテーラーメイドのカーボンフェースで感じたどれよりも打感が心地良く、”飛んでいる!”と感じる爽快な打音です。
オフセンターヒットについてはツイストフェースのおかげで全てのモデルで曲がりづらい印象ですが、とりわけQi10 MAXは曲がらなくて、トゥ側で打っても、上下で打ってもスピン量が安定していて初速もそれほど変わりません。
冬場はミート率もボール初速も落ちるのに、ちゃんとデータが出ていて、僕が持っているクラブの中でもトップクラスでした。圧倒的に寛容性が高いのはQi10 MAX。Qi10とQi10 LSについても球の捻れ具合が減っていて、ステルス2より曲がりが少なくなっています」
写真はQi10 MAXのアドレスルック。
クラウン部は3モデルともカーボン使用量を97%に拡大した「インフィニティーカーボンクラウン」。軽量化によって生じた余剰重量を、ヘッド形状やヘッド内部に再配分して高慣性モーメントを実現している。また、アドレス時の構えやすさを向上させるべく、フェース上部にアライメントを施している。
フェースとフレームは、第3世代となる「60層カーボンツイストフェース」と「新開発フレーム」。フェースは部分的に厚さを変えることで、広範囲で反発性能がアップ。フレームとの相乗効果でエネルギー伝達効率が上がり、ミスヒット時も無駄なスピンを抑えてボール初速をキープしてくれる。従来のチタン製ヘッドと比べて圧倒的に軽いのも特長だ。
軽やかに振り抜けて曲がらない。ドライバーが苦手な人にはおあつらえ向きの「Qi10 MAX」
「ステルスの3モデルは割と似たような性格をしていましたが、ステルス2になってやや性格(性能)の幅が広がり、スタンダードモデルのステルス2に対して、ボールがつかまるステルス2 HDと、つかまり過ぎないステルス2 プラスという位置付けになったと思います。
それに比べると、Qi10の3モデルは結構個性が強くて、その象徴と言えるのがQi10 MAXです。Qi10とQi10 LSについては、それぞれステルス2シリーズのスタンダード(ステルス2)とステルス2 プラスのポジションと考えて差し支えないと思いますが、Qi10 MAXはステルス2 HDとは全く別の位置にいます。Qi10(Quest for Inertia)という名前は、まさにQi10 MAXのためのもので、飛距離を犠牲にせず、慣性モーメントを探求していく方向に舵を切ったクラブです。
高慣性モーメントによる最大の効果は、球が捻れないことですが、打ってみるとQi10 MAXは本当に捻れません。スピンもちょっとは入りますが、多いわけではないので強弾道で曲がりません。
振りやすいのも特筆すべき点です。慣性モーメントを大きくするということは、抵抗が大きくなることでもありますから、大慣性モーメントを謳うドライバーは多かれ少なかれ振りづらさを感じるもの。でもQi10 MAXにはそれがなく、軽やかでスピーディーに振り抜けます。
それでボールが曲がらないのですからドライバーが苦手な人にはおあつらえ向き。軽量シャフトを着けて思い切り引っ叩いたらすごく飛びそう、なんて思っていたら、PGAツアーでコリン・モリカワさんが50グラム台のシャフトを付けて使っていました」
「インフィニティ―カーボンクラウン」によって生まれた余剰重量により、マックスのヘッドサイズがQi10シリーズ最大になったマックス。重量はヘッド前方と後方に配置してヘッド全体の慣性モーメントを大幅に向上させた。また、重心位置のさらなる最適化が進んだことにより、ボール初速を失うことなく慣性モーメントが増大。相反する要素の両立を叶えているという。
期待値を超えてくれて楽しく打てた「Qi10 LS」
「僕が一番飛んだのはQi10 LSでしたが、大多数の人がコースで安定したパフォーマンスを発揮でき、なおかつ飛距離が伸びるのはQi10 MAXでしょう。
僕にとっては2つとも個性が強くて楽しいのですが、一般的なアマチュアの方にはQi10 MAXをオススメしますね。というのも、テーラーメイドらしい操作感や振り抜き感がお好みならQi10 LSかQi10がオススメですが、テーラーメイドが大好きで、オートマチック感覚で“飛んで曲がらない”クラブがいいな、という方にはQi10 MAXがオススメだからです。
従来のロースピン系モデルは、その通り低スピンで飛びますがピーキーなモデルが多い。じゃじゃ馬というか、鋭敏な一面がありますが、Qi10 LSは安定感がありブレることなく強弾道、低スピンの球が打てます。ちゃんとつかまるし、ライ角的にフラットで左にヒッカケづらそうなのも好印象。打ち出し角はクラブが作ってくれてスピンはべらぼうに少なく、期待値を超えて楽しく打てました」
ヘッドスピードが速いプレーヤーが低スピン、強弾道で飛ばせるように作られたモデルがQi10 LS。ディープフェースでコンパクトなヘッド形状はタイガー・ウッズやローリー・マキロイら世界のトッププレーヤーのお好みだ。
好みに合わせで弾道調整ができる「NEWエアロトラックスライディングウェイトシステム」を搭載したのもQi10 LSの特長。ステルス2 プラスと比べて、ウェイトをより前方、かつ低い位置に移動できるように設計して寛容性とロースピン化を促進させた。エアロダイナミック効果を高めた新たなソール形状は空気抵抗の低減に一役買っている。
テーラーメイドユーザーを広くカバーしてくれるスタンダードモデルの「Qi10」
「ユーザーがドライバーに何を求めるかで選び方は変わりますが、Qi10を感じたいなら、まずはQi10 MAXを打つべきです。曲がらなさに驚いたらQi10 MAX一択でOKです。
Qi10 MAXは振りづらい、あるいはヘッドの大きさが気になる。かといってQi10 LSだとスピンが少なくて難しく感じる。そう感じた人、特にテーラーメイドユーザーならスタンダードなQi10が向くと思います。
ステルス2 HDのようなハイドロー系のモデルを使っている人もQi10でいいと思いますが、Qi10はオートマチック感が強いので、ステルス2 HDのようなハイドロー感は、欲しければカチャカチャでロフトを増やす、あるいはアップライトにして左を向かせる、といったことで対処すればいいでしょう。
僕もQi10 LSについては9度と10.5度を打ちましたが、究極的には9度を2メモリ増やしたら丁度良くなりました。実質10.5度あるかないかですが、プロパーの10.5度よりつかまり感が出るので、僕は9度でロフトを増やそうと思います。Qi10でもこのようにすればハイドロー感が出るはずです。
Qi10 LSはヘッドスピードが必要ですが、それほど速くなくても打ち出し角さえ担保できれば打てると思います。例えば風が強いコースでよくラウンドするゴルファーが、ロフトを増やして打ち出しだけ高くしてドローンとしたボールを打つのはアリ。もちろんステルス2 プラスのようなタイプで調子よく打てているならQi10 LSです。
Qi10 MAXとQi10なら、直進性が高いのか、操作感があるのかが選択基準。操作感と低スピンをお望みならQi10 LSという形で、至極まっとうなセレクトができると思います」
Qi10はオーソドックスなヘッド形状ながら従来よりも低重心。高弾道でさらなる飛距離を実現し、寛容性にも優れたトータルバランスのいいドライバーだ。他の2モデル同様、テーラーメイドの定番であるプラスマイナス2度のロフト調整ができる「ロフトスリーブ」を搭載。独自の「貫通型スピードポケット」はミスヒット時の余計なスピンを抑えてボール初速をキープしてくれる。
標準シャフトはQi10がディアマナブルーTM50、ディアマナWB63、ツアーAD VF-6、スピーダーNXブラック60。Qi10 MAXがディアマナブルーTM50。Qi10 LSがディアマナシルバーTM50、ディアマナWB63、ツアーAD VF-6、スピーダーNXブラック60となっている。
まず始めに試してほしいのは「Qi10 MAX」ドライバー
ここまで読んでいただいた読者は、Qi10シリーズそれぞれのモデルの特徴をしっかりつかんでもらえたと思う。それを踏まえて、編集部が考える『まず始めに試打をすべきQi10シリーズのモデル』はQi10 MAXだと伝えたい。
その理由のひとつは、Qi10 MAXにはQi10シリーズの開発コンセプトが集約されていると考えるからだ。もちろんQi10、Qi10 LSもステルスやステルス2シリーズの見た目(ディープフェース)のままに、慣性モーメントを高めつつ、重心をより低くするなどして飛距離性能をさらに向上させていて……正直言えば魅力的。だが、Qi10 MAXはテーラーメイド史上最大の慣性モーメントというアドバンテージを”本当に上手に活かしている”モデルだと言える。
それを示すのが石井良介を含め、編集部内また石井以外の有識者のQi10 MAXに対して発した「これ振りやすいぞ」という第一声だ。10Kの慣性モーメントのドライバーに対する第一印象が「振りやすい」、これはすごいことである。「ダウンスイングで尻が垂れる」「スクエアに戻しにくい」といったネガティブな感覚がないのだ。それはゴルファーが何の違和感もなく、最大級の寛容性を手に入れられるということだ。
そして、その極大の慣性モーメントによる相乗効果なのか? Qi10 MAXは新しいカーボンフェースによる飛距離性能が十二分に発揮されていると感じさせてくれる。実際、ヘッドスピード39m/sの編集部員が試打をして初速60〜61m/sを記録していた。また、スライサーであるにも関わらず、右に曲がる球は一球もなし。かと言って、フックが出やすいわけでもない。つかまりやすくはなっているが、つかまりすぎることはないのである。
こうしたことから、アマチュアがティショットにおいて最も求めるべき「安定感と飛び」を、一度に得るならQi10 MAXしかないでしょ、というのが編集部の見解である。それでは、カーボンウッドの新しい扉を開いたQi10 MAXの飛びを、その爽快な打音も含めて、試打をして確かめてみてほしい。
【試打解説・石井良介】
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。





