下半身の動きを極力抑えることで正確性を取り戻す

23年シーズンにスイング改造を4回行った稲見萌寧。腰に負担がかからず、なおかつ正確なショットを打つことを目的としていた。その代償として、シーズン前半に度重なる予選落ちを喫したが、試行錯誤を繰り返すうちに、徐々に新しいスイングのヒントをつかみつつあった。

稲見萌寧 「きっかけはインパクトバッグを打つ練習でした。いきなりアイアンの入り方や打球音が良くなり、これならいけるかと…」

そこから毎週のように微調整を続けていたが、11月のTOTOジャパンクラシックで行ったのが、下半身の動きを最小限に抑えること
だった。

稲見萌寧 「バックスイングの際に、下半身が回り過ぎていることに気がついたのです。なるべく下半身が動かないように気をつけてスイングすると、いいショットを打てるようになりました」

稲見が言う下半身の動きとは腰の回転であり、腰を回し過ぎることにより、上体との捻転差が生まれず、スイングにどこか緩みを感じていた。その緩みの影響で、スイング軌道からクラブが微妙に外れ、イメージどおりのボールを打てなかったのだ。

ところが、腰の回転を抑えることにより、本来の持ち球であるフェードボールを打てるようになったという稲見。同大会では自信を持ってアイアンショットを放つことができ、それが通算22アンダーというハイスコアでの優勝につながった。

バックスイングで腰が回り過ぎないように踏ん張るイメージ

上体の前傾角度をキープしたまま、体の軸を中心に上体を回転していく。このとき、腰も回り始めるが、右ヒザの位置は変わらない。

腰の回転が止まり、クラブを上に上げていく。左ヒザは前に出るが、横には流れない。左足カカトで地面を踏み、浮かせないのが稲見流。

バックスイングの途中から腰の回転、下半身の動きはほぼ止まり、上体の回転だけでトップの位置までクラブを上げていく。

ダウンスイングでは頭の位置や上体の前傾角度を変えないだけでなく、手首の角度もキープしたままクラブを下ろす。徐々に右腕を伸ばし、プレーンに沿ってクラブを下ろすが、インパクトでクラブを返すことなく、軽いダウンブローでボールを打つ。

インパクト後、右腕は完全に伸びていく。ヘッドを目標に向かって出すことにより、インパクトゾーンが長くなる。フィニッシュではヘソが完全に目標を向くまで回していき、左足に完全に体重が乗る。右足はツマ先だけが地面に着いているのが正解。

腹筋に力を入れた状態で上体を捻転すると下半身が大きく動かない

アドレスでは腹筋に力を入れて背筋を伸ばし、そのまま腹筋と腹斜筋に力を入れながら上体を捻転させていく。

腹筋に力を入れておくことで、体の軸を中心に上体を捻転できるようになり、下半身のスエーを防げるようになる。

アイアン後方

22年、稲見のパーオン率は75.1389%だったが、23年は73.1959%に低下。ピンをデッドに狙うタイプだけに、グリーンを外した場合のリカバリー率も低下していた。しかし、TOTOジャパンクラシックでは4日間のパーオン率が94.4444%を記録。下半身の動きを抑えたことで、アイアンの精度が戻ってきたという証拠でもある。


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