ボールを打つ構えは無限にある!? ライが変わればアドレスも打ち方も変わる!
石井良介のゴルフ・すべらない話:第83回

アドレスが間違っていると、もうそこでミスすることが決まってしまう。アドレスはそのくらい大事。というわけで、今週もアドレスの話です。石井良介がボールと自分の体との関係について解説します。
アドレスは打ちたい球筋や状況によって変わらなければいけない
アマチュゴルファーのアドレスについて、前回は打ちたい方向を向けていない人が大半という話をしましたが、ボールから遠かったり近すぎたり、自分とボールとの距離が適正でない人もまた多いです。打つ前にこの距離を把握することはスイングにとってとても大事なことですが、アマチュアの方は結構適当です。

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クラブに合った距離をとるために僕がよくやるのは、両手をダランと垂らしたところでクラブを持ち、素振りをすること。何度か繰り返すと地面の削れるところが揃ってきます。素振りで地面との距離感を整えるわけで、これは毎ショット前に必ずやります。口には出さないけれどツアープロも毎回やっているはずです。
その際に、そこからどんな球が出そうかも想像します。と言うより素振りをしながら頭の中でワンショット打っている。ウォーミングアップやストレッチが目的の素振りもありますが、僕は必ず素振りをしながらドローやフェードなど、そこで打ちたい球筋をイメージします。なぜなら、そうしないとアドレスが決まらないから。アドレスが決まらなければショットは打てません。素振りは空振りではないのです。
ツマ先上がりでも真っすぐ構えようとしてしまう不思議
アマチュアの方、特にアベレージゴルファーはマニュアル的にアドレスする人がほとんどで、そんな人は、いつも同じように構えることを目指しています。最初のうちはそうするしかないので間違いではありませんが、一方でそれはアドレス本来の姿でないことも忘れてはいけません。打ちたい球や状況によって変わるのがアドレス。「打ち方を変える」と言いますが、スイングの大部分はアドレスによって変わるのです。
端的な例が傾斜のショット。素振りをして地面が擦れるところに立てば当たりはしますが、うまく打つには傾斜に沿ってスイングするのがポイント。クラブが傾斜とケンカをしない振り抜き方向があるので、それを使えるアドレスが求められます。
例えばツマ先上がりだと手段は2つで、アウトサイドインで打つかインサイドアウトで打つか。よく空振りしたり、フェースの先っぽに当たってしまう人がいますが、そうなるのはアドレスでクラブを持ち上げているから。重力によってインパクトでヘッドが落ちてしまうぶん当らなくなるのです。
ということで、ツマ先上がりではインサイドアッパーくらいに振ってやっと当たります。なのに、そんな特殊なライでもみんな真っ正直に横から振っています。あるいは状況に関わらずマニュアルを優先で構える。うまく打てない理由はそこにあります。

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ついでに言うと、ボールが芝に埋まってグリーン方向に打てないなら、上から叩く感じでアウトサイドインに振ればひとまず“下山”できます。これらのように打つイメージがあればアドレスが自ずと変わることはご理解いただけると思います。アマチュアの方がアドレスする場合、どうしても自分本位になります。本来は状況の求めに応じて自然に溶け込むように構えたいのです。
いくら練習場で打ち込んでも、コースに出たら全てのショットを違った状況で打たなくてはいけません。練習場のようないいライから打てるようにしておかないと対応はできませんが、それはあくまで最低限のことで、多かれ少なかれ工夫が必要という感覚は知識として入れておきたいところ。できればことあるごとに「こうやってみよう」と工夫してみるといいでしょう。勘所のいい人はイメージを膨らますだけで対応できるかもしれません。もちろん適切な方法を知っている人に教えてもらう謙虚な姿勢も必要です。
クラブによってもアドレスは変わります。構えた時にフェースが左を向くクラブなら開こうとするし、その逆もあります。僕的には気持ちよく構えられて、気持ちよくスイングをスタートできるクラブを常に欲しているのでクラブの顔つきはとても重要。アドレスしやすさはイメージしやすさです。こんなボールを打とう、とか、こんなインパクト音を出そうというイメージができないクラブは嫌です。
抽象的で恐縮ですが、アドレスはなるべく地面と溶け込ませたい。でも、ボールと自分との間にはクラブが介在するので、その状況からどんな球を打ちたいかをイメージして素振りをし、的確な間合いをとる。こうして地面とケンカをしないようスイングすることがアドレスの役目だと思います。

石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。

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