NEW・名門ゴルフ場|サニーカントリークラブ(長野県佐久市) Part1
リサオの『NEW・名門ゴルフ場』探訪
名門ゴルフ場という言葉があります。名門テニスクラブはあるけど、名門卓球場は聞かないので、たぶんハイソサエティの人々が集まる方便にスポーツを使った名残なんでしょう。イメージは歴史がある、閉鎖的、特権階級。でもゴルフは草っ原で始まったスポーツ。肩肘張らない開かれた名門ゴルフ場も実は数多くあるのです
文・写真・絵
リサオ(大隈里砂)
元超インドア文学少女。遅咲き・狂い咲きゴルファー
コラムニスト、似顔絵作家、イラストレーター、フォトグラファー、翻訳家(英語)として(自称・ひとりスキマ産業)、主にゴルフ業界で活動
プレースタイル:山っ気たっぷり、策に溺れ式
特技:無駄ロブ(不必要なロブショット)
好きなライ:ヘンなライ、下りフック
苦手なライ:フェアウェイど真ん中
好きな言葉:インテンショナル
子供の頃の将来の夢:電気屋さん
名門ゴルフ場とはなんぞや
さて、名門ゴルフ場。そこで悠久の歴史を感じられたら嬉しいけれど、そのぶん高額だったり、敷居が高かったり、気を遣わなきゃいけなかったり。実際に足を運ぶと「なるほどー!頑張って来てよかったー!」って思うことは確かにある。でもその一方で、なんでここ名門って言われてるのかな?って思う場所もなきにしもあらず。とある名門はトーナメント開催もしていて、そのために普段はまるまる修理地扱いで使えない場所がたくさんあった。これは、設計者に対する冒瀆ではなかろうか。美しい景色がたくさん見られるコースだったのでとても残念だけど、また訪れることはないかな。
たとえば、テニスのウィンブルドン選手権のセンターコートと第1コートは、1年のうち、選手権の期間中、つまり2週間しか使用されない。それ以外はずーっと芝の整備に費やしてるのです。それと同じことでしょ?って思うかもしれないけど、違うの。ウィンブルドンには他にテニスコートが何面もある。センターコートと第1コートを聖域として大事に思うクラブメンバーはそれらのコートを喜んで使う。パトロンとしての誇りを持って。そもそもテニスコートであることに違いはないわけだから。整備もちゃんとされてるしね。しかし、ゴルフコースの場合は修理地扱いされてしまうと、マネジメントが変わってしまう。それでは同じコースとは言えないと思うのです。もちろんメンバーコースの場合はメンバーがよければそれでよし、なんだけど。それならゲストに開放しなければいいのになってちょっと思っちゃう。もちろんそのゴルフ場、いいとこいっぱいあったし、修理地扱いのこと気にならないひともいるだろうけどね、わたしは期待が大きすぎたせいでガッカリしてしまいました。
また、女性にとって、名門といわれるところは、白ティと赤ティの差が30センチしかなかったり、赤ティが存在しないところもあり、歓迎されてない感が満載だったりします。それなら赤より前のティまであってティーイングエリアの選択肢が充実してるゴルフ場のほうが、行ったみんなが楽しく遊べる。オトナの遊びの大前提は、遊んでる全員が笑顔でおうちに帰ること。誰かひとりでも悲しかったら失敗です。
余裕があるはずの上級者はそのへん特に気を遣うように。間違っても「おまえ飛ぶくせに赤からとかズルイよ」なんて言ってはいけません。言ったらわたしが絶対に個人的に成敗しにいきます。物理的にパーオンしないゴルフは男性諸氏のやっているゴルフとは別のものです。飛ぶ女性だって2打目を常にアイアンで打てるほどの飛距離ではありません。女性のドライバー平均飛距離140yって想像できないでしょ?わからないことについて余計な口は叩かないのが吉です。それは女性同士でも男性同士でも一緒。同じティーイングエリアからプレーすることを強要してはいけません。シニアの男性はもしかしたら女性以上につらいことあるんじゃないかな。ほんとは自分の好きなところから打つ権利があるというのに。遊びなんだからそれぞれがやりたいようにやっていいんです。ゴルフ場選びもおなじこと。もっと積極的に自分の好みに合うゴルフ場に行きたいって表明していきましょう。
NEW・名門ゴルフ場とは
もちろん名門の名に恥じない素晴らしい名門ゴルフ場は存在します。ホンモノの名門は、クラブハウスの佇まいを見ただけで「うああああ」と小声で叫んでしまうほどです。ただ、しょっちゅう行けるわけじゃないし、しょっちゅう行ったらきっと慣れてしまう。ご飯と一緒でそりゃあ美味しいほうがいいけど、「口に入れた瞬間に溶けてしまいそう」なんてのは年に一度でもあればいい話で、ものすごい空腹でお腹いっぱい食べたいのか、ちょっとでもいいからシャレたものがいいのか、お疲れ気味だからほんわかするお茶漬けサラサラみたいのがいいのか、求めるものは状況によっていろいろ。でも、どれも、その時の自分にとって一番の選択肢だから、それが一番のご馳走なんですよね。
ゴルフ場も同じ。大切なのは、楽しい仲間と一緒か、気持ちの良いお天気か、ちょっとした気遣いがあるか、景色が美しいか、山の稜線に囲まれているか、渡り鳥がたくさん来ているか、気持ち良くドライバーが振れるかなどなど、その人それぞれの訴求ポイントがあってそれをビシっと満たしてくれるかどうかなのです。そのときの自分にとってピッタリくるところ、それが『NEW・名門』です。
ネタはなんでもよろしい。鳥が好きなひとには河川敷だって名門。とにかく池が嫌いなら池の少ないコースが名門。ややこしいコースで完膚なきまでにやっつけられたいってヘンタイにはそれが名門。ずっと調子が悪くてゴルフが嫌いになりそうだったら、いわゆる癒し系といわれるコースが名門なんです。まあその場合はどこに行っても、ただスコアをつけないだけでだいぶ気分は変わるので是非試してみてほしいです。とにかく、今現在『名門』と呼ばれているところ以外にも素晴らしいゴルフ場はたーくさんあるのです。様々なニーズに応えるということで、とびっきりオススメのゴルフ場を、名門の本来の意味とは違うけど、便宜上、名門と呼ぶことにしてじゃんじゃんご紹介してまいります。
『ゴルフ合宿の名門』サニーカントリークラブ(長野県佐久市)
ゴルフ合宿に最適なゴルフ場として選びましたが『周囲の山々が美しい名門』でもあります。この、芝の緑、山の緑(と青)に包まれる感じ。関東でゴルフするのとは全然違います。長野までわざわざ来る甲斐があるってもんです。特にこの右側にある蓼科山は、その円錐形の美しい山容(山のかたち)から『諏訪富士』と呼ばれています。八ヶ岳連峰の最北端、日本百名山のひとつでもあります。訪れたのは6月中旬、ちょびっと雪が残っていて趣がありました。
さらに『ティーイングエリア選択肢の名門』でもありました。適正距離のティーイングエリアから打って本来のゴルフを楽しもう!ということで、こちらではレギュラーティやレディースティの名称をやめて、『黒ティ、青ティ、白ティ、赤ティ』プラス『サニーティ』という布陣。新しい経営になって、飛距離の出ないプレーヤーのため、というか、赤ティの設定がそもそも長すぎたため、赤ティより前にサニーティを設置してくれました。
前方ティを設置してるゴルフ場はフェアウェイにぽこんとティーマークを置いてる場合が多く、もちろんそれで十分なんだけども、サニーCCにはちゃんとしたティーイングエリアがありました。しかもこんなステキなしつらえで。なんと豪勢に石が積まれてますよ。そしてティーマークは白樺!他のゴルフ場だと赤ティがカート道からだいぶ遠い地の果てにあったり、まるで古墳みたいな小さな丘のことをティーイングエリアって呼んだりするのにね。感動しました。
あと、素晴らしいのは、スコアカードにちゃんと全部のティーからのヤーデージが記してあるってこと。本来当たり前の話なんだけど、赤ティからの距離すら書いてないゴルフ場が結構あるのです。怠慢にもホドがあるわ。古いスコアカードの在庫がたくさんあるんだろうけど、同じ金額を払って同じサービスを受けに来ているのに、自分が打つヤーデージすら確認できないなんて、男性が同じ目に遭っても黙ってますかね?思い当たるフシのあるゴルフ場には即刻刷り直していただきたい。
それはさておき、ここはアウトの1番PAR5。ティーイングエリアにあるのと同じくスコアカードにもきっちり『386y』って書いてあります。
いま、「PAR5で386y?ズルくね?」と思ったひと、ズルくないです。ここは打ち上げのロング。ちなみに赤ティからは481y。ほぼ500です。打ち上げでその距離はエグい。しかもスタートホールで。
ちなみにこのとき、1泊2日の合宿で行ったのですが、1日目はサニーティ、2日目は赤ティでプレーしました。総距離はサニーティからは4,504y、赤ティは5,433y。その差929y。いい感じです。そもそも赤ティの距離が長めなんです。だから新しい経営者がサニーティを設置してくれたんですわ。結論から言うと、私にとっては、ホールによって適正ティが変わるなという感じ。OUT1番を含め、打ち上げの長めのとことか、ややこしいホールなんかはサニーティを選ばないとあまりの勝ち目のなさに戦意喪失します。
あ、ここだけでなくどこのゴルフ場でもティーイングエリアは別にまぜこぜにしてもいいと思います。なんなら白ティを混ぜたっていい。でも、全部サニーティでプレーした1日目、パーオンいっぱいして楽しかったな。やっぱりバーディパットが打ててナンボなんですゴルフって。サニーティだと2打目の残り距離をアイアンで打てるホールが多かった。ミスしても挽回できる。これが飛ぶ人がいつもやってるゴルフなんだなーってつくづく思いました。
たとえば18番PAR5ならサニーティから400yちょい。赤ティはそっからプラス60ヤードちょい。赤ティだと全部いい当たりでやっとパーオンって感じでした。要はミスできない。飛ぶひとは知らないかもしれないけど、飛ばない子は1回もミスできないんです。飛距離のハンデがあるうえにミスも許されんのです。我々たいへん厳しいゴルフばしとるとです。そこいくとサニーティはミスできた。挽回もできた。ウェッジ/ショートアイアンで乗せられるしゃーわせ、バーディーパットが打てるしゃーわせを噛みしめた!ありがとうサニーCC!ありがとう小林さん!
ではでは今回はこのへんで。
長文を読んでくださりありがとうございました。
次回も引き続きサニーCCの魅力をお伝えします。
【シリーズ一覧】
●第1回:NEW・名門ゴルフ場|サニーカントリークラブ(長野県佐久市) Part1
●第2回:NEW・名門ゴルフ場|太平洋クラブ佐野ヒルクレストコース(栃木県佐野市)Part1
●第3回:NEW・名門ゴルフ場|四街道ゴルフ倶楽部(千葉県四街道市)番外編 Part1
●第4回:NEW・名門ゴルフ場|キングダムゴルフクラブ(埼玉県秩父市)Part1
●第5回:NEW・名門ゴルフ場|志摩シーサイドカンツリークラブ(福岡県糸島市)Part1
●第6回:NEW・名門ゴルフ場|千代田カントリークラブ(茨城県かすみがうら市)Part1
●第7回:NEW・名門ゴルフ場|吉井カントリークラブ(群馬県高崎市)Part1