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アイアンの距離感は飛ばさないスイングで作る!!(1/2)

アイアンの距離感の作り方 Part1

2021/08/03 ゴルフトゥデイ 編集部

アイアンが飛びすぎたり飛ばなかったりで、距離感が全然合わない。「そう口にする人に限って、アイアンだって飛んだもの勝ちという心理が働いています。飛ばさないスイングを覚えれば番手どおりの距離が打てるようになりますよ」とアドバイスするのは向江寛尚。さっそくアイアンの距離感を磨いて、スコアアップに役立てよう。Part1では「アイアンの距離感を作る5カ条」の1と2をお届けします。

GOLF TODAY本誌 No.590 14〜19ページより

星野陸也
ほしの・りくや(フリー)1996年5月12日生まれ、茨城県出身。186㎝、76㎏。2016年プロ転向。日本を代表するロングヒッターで知られ、アイアンの正確性にも定評。21年はアジアパシフィックダイヤモンドカップでツアー通算5勝目を上げた。

原英莉花
はら・えりか(日本通運)1999年2月15日生まれ、神奈川県出身。173㎝。2020年は日本女子オープン、JLPGAツアー選手権リコー杯と2つの公式戦を制した。ツアー通算3勝。

[5ヶ条−1]データで検証!コンパクトスイングなら各番手の距離が揃いやすい

アイアンの距離感を作るには、まずフルショットの概念を変えること。トップとフィニッシュをコンパクトに抑えて一定した距離を打つ意識を持とう。

プロとアマチュアではアイアンの飛距離のブレ幅がどのくらい違うのか。向江寛尚には6番アイアンからピッチングウェッジまでを3球ずつ、アマチュアには6~8番アイアンで3球ずつ打ってもらった。

最新スイング解析器、トラックマンを使用してデータを分析した。

縦の距離感を揃えれば方向も安定しやすい

アイアンは4~9番アイアンとPW、AW、SWの3本のウェッジを入れているという向江寛尚だが、トラックマンで6~9番アイアンとPWの5本のそれぞれの飛距離を計測したところ、各番手の距離がほぼ一定していて、番手間の距離は10~15ヤードと出た。

「アイアンは何ヤード飛ばせるかよりも、100球打っても100球がほぼ同じ距離が打てることが重要です」と向江。一方、アマチュアの橋本さんは若さにまかせてマックスのスイング。インパクトの打点のブレからか、番手ごとの距離はバラバラだった。とくに6番アイアンの距離と方向に大きなブレが見られて、7~8番とも距離があまり変わらなかった。

「アイアンも飛ばしたいと思う人に多く見られる傾向です。番手どおりの距離をきちんと打てるようになるには、スイングをコンパクトにする意識が絶対に必要。つまり飛ばさない気持ちでスイングするのが、自分の距離感を作るコツなんです」(向江)。各番手の縦の距離が揃うと方向のブレも少なくなるという。アイアンで飛ばそうとしても何の得もないのだ。

向江プロ

6番アイアンからピッチングウェッジまで、どの番手もキャリーの誤差が小さい。「縦の距離感のブレ幅を抑えることで方向のブレも少なくなります」と向江。
各番手の打ち出し角の違いがはっきり見られて、ロフト角どおりに打っていることがよくわかる。短いクラブほど左右のブレもほとんど見られない。

こんなスイングでは距離感が作れない

①思い切り叩こうとしてカラダが突っ込む。②マックスで振るからフィニッシュが崩れる。③飛ばそうとしてオーバースイングになる。

橋本幸樹さん

アイアンもマックスのスイングのため、フィニッシュが崩れていた橋本さん。

◉22歳ゴルフ歴3年、平均スコア95。「飛ばしが命なので、アイアンも限界まで飛ばしたいんです」。

ミートが難しい6番アイアンは、飛距離と方向の誤差がかなり大きい。距離の面でいえばどのクラブで打ってもあまり変わらない現象が見られる。
アイアンの距離感を作るには、まずフルショットの概念を変えること。トップとフィニッシュをコンパクトに抑えて一定した距離を打つ意識を持とう。

向江プロと橋本さんの各番手の平均値

プロは番手ごとのスピン量が安定している。そのため理想的な打ち出し角とキャリーを実現させている。そこがアマチュアと大きく違うところだ。

[5ヶ条−2]距離感を作るにはハンドファーストに打つ!

インパクトはつねにハンドファースト。稲見萌寧の正確なアイアンショットはそこに秘訣がある。

稲見萌寧
いなみ・もね(都筑電気)1999年7月29日生まれ、東京都出身。166㎝。得意なアイアンショットを武器に2020~21年の統合シーズンで既に6勝(6/14現在)。通算7勝。賞金女王の最右翼。

ロフトを立てるイメージで打つ

アドレスは両腕とクラブが大文字のYに見える構えを作るのがベスト。そしてインパクトでは両腕とクラブが小文字のyとなるようなハンドファーストの形を作る。
ハンドファーストに構えすぎるとインパクトで手首がほどけやすい。すくい打ちとなり、ロフト角どおりの距離が打てなくなる。

ハンドファーストインパクトの作り方

切り返しで腰から戻せばy字のインパクトが作れる

アイアンが飛んだり飛ばなかったりする一番の要因は、ハンドファーストインパクトが作れていないことに尽きます。アマチュアに多く見られるのは、ボールを上げようとしてインパクトで手首がほどけるケース。フェースの刃が当たってトップになることもあれば、手前の芝を噛んでダフリが生じることもあるのは、これまでのラウンド経験でよくおわかりでしょう。

アドレスは両手をカラダの真正面にセットし、インパクトではアドレスよりもロフトを減らすつもりで打ちましょう。これがクラブのロフト角どおりの距離を打つポイントです。

軽くハンドファーストに構えるのもいいですが、極端なハンドファーストはダメ。インパクトで手首が早くほどけて、しゃくり打ちになりやすいためです。

ハンドファーストのインパクトを作るには、切り返しで腰を先に戻すこと。腰の回転がリードすればインパクトで体重が左足にしっかり乗って、両手のポジションが左モモの前となり、ボールを上から正確にとらえられます。ミート率がアップし、距離感が揃いやすくなるのです。

クラブの番手ごとの距離を打つには、「上げよう」「飛ばそう」と考えず、ボールをハンドファーストにとらえることが重要なポイント。

このドリルをやってみよう

両手を木の枝に当てて前傾姿勢を作り、肩はそのままにして腰だけを左に回そう。切り返しはこの感覚で腰を先に戻す。

8割スイングならバランス良く立てる

動きに余裕を持たせた8割スイングは振り抜いた姿勢のままでバランスよく立ち、反動でクラブを胸の前にすっと戻せるのがベストだ。

手だけハンドファーストはNG!

手だけでハンドファーストインパクトの形を作ろうとすると、手がカラダの正面から離れてしまう。インパクトでフェースが開いて距離も方向も狂いやすい。

解説&レッスン

向江寛尚むかえ・ひろたか
1972年11月11日生まれ、東京都出身。法政大学ゴルフ部を経て1999年プロ入り。多くのトーナメント出場の経験を積み、2005年からレッスン活動を開始。現在はオンワードゴルフアカデミーを拠点に多くのアマチュアを指導。https://www.onward-golfsalon.com/にてウェブレッスンも展開中。

協力/高麗川カントリー倶楽部 グローブライド㈱

●アイアンの距離感の作り方
Part1-1:アイアンの距離感は飛ばさないスイングで作る!!(1/2)
Part1-2:アイアンの距離感は飛ばさないスイングで作る!!(2/2)
Part2:100ヤード以内の距離感は3本のウェッジと4つの振り幅で作る!
Part3-1:今度のラウンドですぐに役立つ!1ラウンドで10打縮まる番手選び(1/2)
Part3-2:今度のラウンドですぐに役立つ!1ラウンドで10打縮まる番手選び(2/2)