スコアが10打も縮まっちゃう!? 正しい番手の選び方、教えます
アイアンの距離感の作り方 Part3(1/2)
距離計やカートのナビを使えば面倒な計算や歩測なしに誰でもピンまでの正確な距離を把握できる。それにも関わらずスコアが縮まらないのは番手の選び方が間違っているからだ。残り距離だけで単純にクラブを決めてはいけない。コース状況に合わせて賢く番手を選べばスコアをグンと縮めることができる!
GOLF TODAY本誌 No.590 32,33,40〜43ページより
1ラウンドで10打縮まる番手選び→【難しいライからのショット】
ラフ、ディボット跡、バンカーなど状況別の対処法
ボールの下の空間で番手の選択が変わる
ボールが沈んでいるのと、浮いている場合とで選択が変わってきます。沈んだラフでボールの下に空間がないと、リーディングエッジを入れるのが困難。ハーフトップ気味に当たるので、キャリーが出ません。かといって大きな番手を持っても飛ばないので、なるべく球を拾いやすい短い番手を持ってフェアウェイに出すのが得策です。ボールが浮いて下に空間がある場合は、それこそドライバーでも打てますが、芝が噛んでフライヤーする可能性があるので、番手を下げて手前の安全なエリアから狙いましょう。
ボールの沈み具合を見極めよう!
アドレス目線で上から見てもどちらのボールが沈んでいるか判別しにくい。
トップに備えて小さい番手を持つ
硬い地面の場合はボールの下にリーディングエッジを入れることができないので、できるだけ入射角を浅くして払い打ちます。最下点からの上がり際に当たるイメージですが、少しトップして余計に飛んでしまうため、1つ小さい番手を持つようにします。ふだん7番で打つ距離なら8番の方が安全。グリーンを直接狙わないで手前からコロがしていく感じです。
ボールがディボット跡に止まった場合、手前にクラブが入るスペースがあればノーマルの番手でふつうに打てますが、右端に止まったときは上からトップさせるように打たなければならないので飛び過ぎに警戒する必要があります。ベアグランドと同じように、番手を1つくらい下げましょう。アマチュアはダフったときの心配をして大きなクラブを持ちたがりますが、ダフったらそれはミスショットです。状況にもよりますがベアグランドやディボット跡では、大きなクラブを持たないのが原則です。
アゴの低いバンカーならそれこそドライバーでも打てるが、トップして強く出やすいので1番手下げるのが安全。
硬い砂なら番手下げ軟らかい砂は番手上げ
アゴが低くてボールから離れていれば、どんなクラブでも打てます。硬く締まった砂の場合はベアグランドと同じように払い打ちで少しトップめで当てていくので、飛び過ぎたときのことを考えて番手を落としましょう。逆に砂がさらさらで軟らかいバンカーでは、砂にパワーを食われるので番手を上げます。また、アゴが近かったり高かったりして打ち出し角が必要な場合には、脱出させることを最優先します。距離を残してでも高さの出るAWやPWで、出しやすい方向のフェアウェイを狙いましょう。
1ラウンドで10打縮まる番手選び→【グリーン周りの状況を見極める】
攻略ルートと風を読み、狙いどころによって番手を変える
4分割で考えればスコアが大幅に縮まる!
ぴったりの番手でピン(赤い円)を狙っていくと、ミスしたときに大ケガになりやすい。ピンを中心にエリアを4分割し、ショットがぶれても安全なエリア(黄色の円)を狙う習慣をつけよう。エリアが手前なら一番飛んだときにピンちょうど、奥なら飛ばなかったときにもピンまで届く番手を選ぶ。
Case Study 9 典型的なレイアウト「レダン」で考える~ピンが手前のケース
Q 典型的なレイアウト「レダン」で考える~ピンが手前のケース
A 手前に池があるため大きな番手を持ちたくなりますが、奥にこぼれると池に向かって下る難しい返しが残ってしまいます。逃げて右奥にのせても3~4パットは必至。この場合はピン左手前を狙うのが正解です。グリーンの面積は狭いけれど、ショートしたり引っかけても花道なので安全。目一杯でもピンまでしか飛ばない番手を使います。
クラブの選び方で大きなミスを回避
ゴルフにミスショットはつきものですが、番手の選び方によってミスの影響は大きくも小さくもなります。グリーンを狙うときアマチュアはピンまでぴったりの番手を持ちたがりますが、その結果ハザードにつかまったり、難しい返しを残したりしがちです。スコアを崩す原因はミスショットそのものではなく、ミスしたときのことをまったく考慮せずにクラブを選んでしまうところにあります。
いいスコアで上がるためにはできる限り危険を回避して、安全なエリアを狙うのが鉄則です。ピンを中心とした円ではなく、ピンをどこかに含んだ円でターゲットエリアをイメージできるとゴルフの質がかなり変わってきます。オススメはピンを中心にグリーンを4分割して、その中でより安全なエリアを狙っていく方法です。グリーンの大きさにもよりますが、使用する番手は狙うエリアによって残り距離に対して1~2番手変わってきます。
自分の肌感覚と周囲の情報から風を読む
芝の葉を上から落とすより、刻々と変わる風の向きや強さを感じやすいのは自分の肌です。グリーン付近の風向きは周囲の木の葉の色でも分かります。フォローの時は葉の裏側が見えるので白っぽく見え、アゲンストなら薄い緑に見えます。また、風の影響が大きいのは木を越える高さです。上空の風を知りたいときは雲の流れ方も参考にします。
フロントエッジとバックエッジから考える
アゲンストやフォローの場合の考え方は打ち上げや打ち下ろしと同じです。
フォローならピンではなくフロントエッジまで打てる小さめの番手を持つのが基本。そうすればショートする可能性は低くなり、あとは風がボールを奥へ運んでくれます。アゲンストの時はバックエッジまで届く大きめの番手を持てば風に戻されるのでオーバーすることはありません。
風の影響をどれだけ受けるかは、スピン量によっても変わります。スピン量の多い小さな番手ほどアゲンストで戻されやすく、逆に大きな番手ほどフォローの風に乗りやすいことも覚えておきましょう。あとはその時の風の強さやピンの位置で、使う番手を調整します。
風によって高く打ったり低く打ったり、ふだんやらないことをするのは大きなミスの元です。風を味方にするには打ち方を変えずに、この風だとどれくらい戻されるといった、データをどんどん積み上げていくことが大切です。
横風でピンを狙うときは大きな番手
◉解説&Lesson
北野正之きたの・まさゆき
1966年5月18日生まれ。93年プロ入り。松原ゴルフガーデン(埼玉県草加市)やサザンヤードCC(茨城県水戸市)などで多くのアマチュアを指導。ラウンドレッスンではコースマネジメントの指導に力を注いでいる。
協力/サザンヤードカントリークラブ
●アイアンの距離感の作り方
Part1:アイアンの距離感は飛ばさないスイングで作る!!(1/2)
Part1:アイアンの距離感は飛ばさないスイングで作る!!(2/2)
Part2:100ヤード以内の距離感は3本のウェッジと4つの振り幅で作る!
Part3:今度のラウンドですぐに役立つ!1ラウンドで10打縮まる番手選び(1/2)
Part3:今度のラウンドですぐに役立つ!1ラウンドで10打縮まる番手選び(2/2)