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ゴルフスイングー「変則の共通項」は、なぜおもしろいのか?

重箱の隅、つつかせていただきます|第20回

2022/04/12 ゴルフサプリ編集部

スイング、ゴルフギア、ルールなどなど……。ゴルフに関わるすべての事柄の“重箱の隅”をゴルフライター・戸川景が、独自の目線でつつかせていただくコラムです。

GOLF TODAY本誌 No.598/70ページより

戸川景
とがわ・ひかる。1965年3月12日生まれ。ゴルフ用具メーカー、ゴルフ誌編集部を経て㈱オオタタキ設立。現在、ライターとしてゴルフのテーマ全般を手掛けている。

“変則の共通項”はなぜおもしろいのか?

日本のゴルフ雑誌の生命線は技術レッスンとギア情報。この2つのどちらかがなければ、成立しないだろう。そこに上達のヒントがあると思わなければ、毎月購入し続けるはずがない。

ギア情報は各メーカーから新製品が出る限り、継続性があるのは分かるだろう。だが、技術レッスンはどうか。スイングの基本に状況別の対処法を少々、くらいで終わってしまうはずなのだが。

これは、巷に増え続けるレッスン書にも言えることで、他のスポーツ、たとえば卓球やテニスといった同じ打球系の競技でも、こんなに書棚を埋めるものはない。一体、どういうことなのか。

思うに、他のスポーツは用具とともに洗練された基本動作が確立しており、レッスン書で学べることは少ないのかもしれない。後は実践とトレーニングあるのみ。

ところがゴルフは、基本を覚えてから先が難しい。球に当たるようになる、そこそこ狙った所に打てるようになる。それでも月1ラウンドではボギーペースが関の山。もっと飛ばしたい、もっと寄せたい、もっと入れたい。プロと似たような動きができている(と思う)のに、結果はまったく違うのがおかしい(と思う)。

だから、ヒントが欲しくなるわけだ。以前は、プロのスイングも個性的で、どのメソッド(流儀)が自分に合うのかを探す感覚でゴルフ雑誌の連続写真に見入ったり、お気に入りプロのレッスン記事を読み込んだりしたはず。

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最近は、男子プロはアスリート化して体力的にマネられそうもないし、女子プロは教科書的なスインガーが増えて、アマチュアが雑誌から欲しがるヒント的なものが得られにくくなっているような気がする。

そこで、私が注目しているのは“変則アレンジの共通項”だ。ひと昔前なら、ビリー・キャスパーやグレッグ・ノーマンの「フォローで左に滑る右足」とか、フレッド・カプルスやビジェイ・シンが実践していた「インパクト直後に外れる右手」などだ。

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最近では笹生優花や中島啓太らが見せる「インパクト時の左足ツマ先立ちターン」が気になっている。いずれも個人的なクセではなく、複数の選手に見られる“共通項”というのがポイントだ。

基本的な動きではないが、優秀なショット力を発揮する選手が採り入れているのであれば、何かメリットがあるはず。もちろん、他の選手が採用しない理由も一緒に考察する。採用基準が明確になれば、自分が採用できなくても、レッスン(ヒント)記事にするのが楽しい内容の1つだ。

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ギアとしてのドライバーが進化し、寛容性が高まった結果、飛距離を求めるスイングメソッドはどんどんダイナミックになっていると思う。半面、アイアンの精度を上げる技術との折り合いの付け方が難しくなっているのではないか、とも思う。

フェースコントロールとミート率を狂わさずに、出力を上げる手法。そう考えると、ジュニア選手の悪いクセとされたジャンプアップもただ抑えるものではなく、動きを洗練して出力アップにつなげるのが正解かもしれない。

若手が見せる「インパクト時の左足ツマ先立ちターン」は、右サイドを粘らせつつ、左腰を切り上げて後方へ鋭くターンさせた結果の動き。左足カカトを強く踏み込むとか、両足カカトを浮かすよりも、出力は上がりそうだ。

左足と言えば、飛ばすならヒールアップしろ、いや上げずに捻転差を作れ、カカトを外側に下ろすように踏み込め、フォローでめくってターンを促せ、とか様々な説があったが、要はどれでも問題はないということ。どれが上手くいくか、試すのが愉しいのだ。


Text by Hikaru Togawa
Illustration by リサオ

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