チッパーに見えない「ChipR」はスコアメイクの最後の切り札になる!
ピンゴルフの『ChipR』をコースに持ち込み、ロマン派ゴルフ作家が検証する!
ランニングウェッジと呼ばれる『ChipR』をコースに持ち込んで、その真相をレポートする。
撮影/篠原嗣典
『ChipR』の最大の魅力は、チッパーに見えないところである!
チッパーと読む『ChipR』は、発売直後から品不足が続いて、欲しいけど買えないというゴルファーが多いようだ。
チッパーというクラブは、耳に馴染みがない人もいるかもしれないが、ランを多用するアプローチ専用のクラブがチッパーである。種類こそ多くないものの、昔からあるクラブでもある。
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ピンゴルフは、過去にチッパーを市場投入しているが、今回の『ChipR』も含めて、ルールに適合していて正式な競技にも使用できる。
『ChipR』は、
“シャープにピンを狙えるランニングウェッジ”
“グリーン周りはChipRで楽々寄せワン!”
“ChipRを使いこなして、スコアアップに繋げよう”
というコピーを掲げている。
遊び心で作るクラブにも、ピンゴルフは真剣であるという証拠である。
とは言っても、隙間を埋めるという感じのクラブで、爆発的なヒットをするなんて想定はしていないだろう。
だが、在庫していたショップも、その本数が少なかったからか、あっという間にソールドアウト状態。かつ、コロナ禍の影響もあって、パーツの供給も急激には増やすことは無理ということで、予約もままならないケースもあるという。
まさかの人気の『ChipR』であるが、注目されたのには複数の理由があると思われる。
最大のポイントは、チッパーはゲテモノ、という常識を覆したところにある。
『ChipR』は、チッパーには見えないのだ。
高級感があり、手触りも良く、水分も弾く「ハイドロパールクローム仕上げ」は、濡れた芝生でも、乾いた状態と同じように使えるという機能以上に、『ChipR』の見た目を助けている。
スコアラインの数を増やして、溝の角度と間隔も適正化した「マイクロマックスグルーヴ」も同様だ。
バックフェースを見れば、複合ヘッド構造で、中空に近いキャビティなのだが、それがカッコ良くて、普通のクラブの中に入っても、違和感がないのだ。
ソールが広くて、丸いのも、ちょうど良い感じが伝わる。
ロフトは38.5度。8番アイアンか、7番アイアンのロフト。ライ角の70度は、パターの標準的なライ角度で、長さも34インチなのでパターと同じなのである。
ゴルファーは、クラブを購入するときに、バッグに入っているシーンを想像する。
恥ずかしさを我慢するのは、けっこうな修行であり、購入を躊躇させる要因になるという。『ChipR』には、そのような危うさはない。
寄せが苦手で、スコアの伸びが足踏み状態になっているゴルファーは、世の中にたくさんいる。
そういうゴルファーを助けようというクラブが、『ChipR』である。
『ChipR』は、期待に応えるアプローチを助けてくれるクラブとして使えるのか?コースに持ち込んで、じっくりと試打をしてみた。
直感的に使えるChipRで、寄せ名人の安全策を簡単に手に入れろ!
『ChipR』は簡単すぎるクラブだ
『ChipR』をアドレスした感じは、パターみたいである。
僕はL字のパターを使っているので、余計にそう感じるのだと思うが、構えにくさは一切ない。
ランニングアプローチを想像していたので、キャリー1に対して、ランがいくつになるのか、という点を把握しようと、一発目に打つときから考えていた。
しかし、ポン、という感じで、想定の2倍ぐらい高く上がったボールは、考えすぎている僕をあざ笑うようにグリーンに乗って、コロコロとピンに寄っていったのだ。
「?」だった。簡単すぎると思ったからだ。
次のホールでも、エッジまで2ヤード、エッジからホールまで13ヤードで、パッティングと同じように構えて15ヤードの距離感で打ってみた。
ポンと上がって、カラーを飛び越えて、グリーンに乗って、コロコロと転がって、ホールの手前1ヤードに止まった。
20ヤード以内までは、普通にパットの距離感を使って、同じように打てば良い。
厳密な距離感が出るわけでもないが、ミスしても大きなミスにはならない。実にやさしく寄せられる。
砲台のグリーンでは打ち方にコツが必要か
問題は砲台のグリーンで手前の斜面にボールを当てるときや、手前がラフなどでエッジまで20ヤード、エッジからピンまでが10ヤードというときだ。
強めに打つと、スピン系のボール(ツアーボール)であれば、かなりスピンがかかるのだ。
ワンクッションか、ツークッションか、というシーンは、勇気を持って強めに打ってみると良い。
ラフの距離があって、エッジからピンが近いようなときも同じように強めに打って、手前でワンバウンドさせて乗せるイメージがおすすめである。
『ChipR』で、最も驚いたのが、この強めのヒットでスピンが強くなるという機能だった。
不安があれば、こういうシーンでは普通のウェッジで打つことにして、『ChipR』はグリーン周りだけ、ということでも良いし、スピン性能を使って、2段階の使い方をしても良いと思った。
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使えば使うほど簡単になるのが『ChipR』
ピンゴルフが、市場に出すクラブは、それだけの価値があると判断したときだけだと聞くが、『ChipR』は、想定の遙か上を行くクラブで、本当にお見事だと感心させられた。
僕はカラーに止まっているボールや、エッジから数ヤードのフェアウェイに止まっているボールは、かなりの確率でパターを使って寄せる。
いわゆるテキサスウェッジと呼ばれるパターの使用法であるが、この最大の魅力は、イメージ通りに転がれば、グリーン上のロングパットと同じように寄るし、失敗しても、次のパットを諦めないで済むぐらいの距離までは寄るのである。
『ChipR』は、グリーン周りからの寄せに苦しんでいるゴルファーを助けてくれるクラブとして、かなりの完成度を誇っている。
僕の尊敬する寄せ名人は、よく言っていた。
「寄せの実力は、失敗しても乗せるチョイスができることと、できないことは諦めて無理をしないこと」
『ChipR』を試打しながら、その名人のことを何度も思いだした。
普通にパターのように使えば良い、のである。
グリーンの外用のパターだと考えて、無理や無い物ねだりをしなければ良い。
寄せが上手く、スコアメイクが巧みだという場合、常にベタピンだというわけではない。
むずかしいシーンでも、変なライでも、次のストロークをパターで打てることが大事なのだ。
『ChipR』は、3本目、または、4本目のウェッジとして考えて良いクラブだ。
今までのチッパーを全て打ってきたわけではないが、僕の知る限り、どのチッパーとも違うクラブになっていて、かつ、結果が出せるからである。
最大の魅力は、直感的に使えることと、無理矢理に変な打ち方を強制してこないことだ。
使えば使うほど、簡単になるのが、『ChipR』なのである。
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年生まれ。東京都文京区生まれ。板橋区在住。中一でコースデビュー、以後、競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れる青春を過ごして、ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、2000年にメルマガ【Golf Planet】を発行し、ゴルフエッセイストとしてでビュー。試打インプレッションなどでも活躍中。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
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