1. TOP メニュー
  2. ゴルフギアにお悩み
  3. クラブ選び
  4. ゴルフクラブの形がそれぞれ違う理由、考えたことありますか?ゴルファーなら知っておきたい歴史的背景

ゴルフクラブの形がそれぞれ違う理由、考えたことありますか?ゴルファーなら知っておきたい歴史的背景

ゴルフそもそも調査部 vol.5【今回の調査テーマ|ウッド、ユーティリティ、アイアンどうしてこんなに形が違う?】

2022/11/12 ゴルフサプリ編集部

ゴルフクラブとボール

現代のゴルフギアは、先人の創意工夫が積み重ねられてきたもの。時に感じる疑問や「なぜ」「どうして」を、それらを形作ったきっかけやエピソードで振り返ってみよう。今回の調査テーマは「ウッド、ユーティリティ、アイアンの形の違い」だ。

GOLF TODAY本誌 No.605/118〜119ページより

ウッドとアイアンの伝統的な形状はボールで決まった

丸くて幅のあるウッド。薄い板状のアイアン。その中間的なボリューム感のヘッドがユーティリティだが、なぜこんなにもヘッド形状を分ける必要があるのだろうか。飛距離を打ち分けるだけならレングスとロフトを変えるだけでもいいはず。

歴史を遡ってみると、それぞれの形の意味がわかると思う。現代のクラブにつながるヘッドの原点を考えるにあたり、小石や木製の球を弾いていた時代のもの、ホッケーの打棒のようなものは省こう。

「ロングノーズ」登場からの進化

ロングノーズ

今ではR&Aの博物館ぐらいでしか見ることができなくなった「ロングノーズ」。名工ヒュー・フィルプの作品が有名だが、ガッタパーチャによる破損で、現存するものは希少。

フェザリー(羽毛球)を空中に飛ばすようになった頃から眺めてみると、ウリザネ顔の「ロングノーズ」と呼ばれるタイプのウッドが主流だった。少しボリュームのあるマレット型パターを大きくして、ロフトをつけたイメージに近い。

アイアンは同時期にわだちなどからの脱出用として、球を拾いやすいしゃもじやお玉に近い形状で誕生。
このウッドとアイアンの役割が現代的になるのは、19世紀半ばのガッタパーチャ(ゴム球)登場以降。

ガッタパーチャはフェザリーより堅くて弾力がなかったため、ウッドが頻繁に破損するようになったという。

そのため、ヘッド素材は主流だったブナからパーシモンに、シャフトは樫からヒッコリーに代わった。

ヘッド形状も細長い「ロングノーズ」から、フェースの摩滅を防ぐために凸面を採用した「バルジャードライバー」に。

さらにディープフェース化し、丸くボリューム感のある現代的な形状の「ドレッドノートドライバー」を名手ベン・セイヤーズが開発。20世紀初頭に大ヒットとなり、これが近代パーシモンウッドの原型となった。

ゴルフボールのカバーが凸凹している理由、知ってますか?

現代のゴルフギアは、先人の創意工夫が積み重ねられてきたもの。時に感じる疑問や「なぜ」「どうして」を、それらを形作った...

あわせて読みたい

アイアンの多様化がはじまる

アイアン

アイアンは鍛冶屋が叩き出して作っていたため、初期はソール幅のないものばかり。ボビー・ジョーンズが活躍した1930年前後からフリンジ(ソール幅)のあるものが定着。

アイアンも、ガッタパーチャで破損しないことから用途が多様化する。1895年の全英オープンでJ・H・テイラーは「マッシー」アイアンを駆使して、当時はまだなかったピッチショットを連発して優勝。

キャリーで狙って、スピンで止められるのがアイアンというイメージが生まれ、飛距離を打ち分けるクラブとして、わだち用ではない現在の形状になっていった。

つまり、ボールの進化に対応した形状の変化と言えるだろう。

「ロングノーズ」に最も似ている?最新UTの形状

インテストLX,通 称「 タラコ 」

UTをカテゴリーとして定着させた横浜ゴムの『インテストLX』。ステンレスフレームと特殊コアをカーボン素材で包んだ複合ヘッドだった。その見た目から通称「タラコ」。

アイアンの役割が飛距離の打ち分けとなった時点から、クラブセッティングの本数が増えていく。

20世紀初頭に全英オープン6勝を挙げたハリー・バードンはたった6、7本でプレーしていたが、1930年代になると20本以上も使用するプレーヤーがいたため、クラブ本数を規制するルールが生まれたのだ。

その中で、ウッドは3〜4本、アイアン(ウェッジを含む)は9〜10本にパターといったセッティングが主流となっていった。

だが、この組み合わせではロングアイアンの難しさが際立ってきた。ミート率が悪く、飛距離の打ち分けに使えないプレーヤーには無用の長物でしかなかった。

そのポジションに新しく収まったのが、1980年代に台頭してきたUTだ。横浜ゴムの『インテスト』、通称「タラコ」と呼ばれて大ヒットしたモデルのカテゴリーとして、定着したのだ。実は、それ以前にもアリガゴルフの『スリーイーズ』といったUT指向のクラブは存在したが、特殊な形状の〝お助けクラブ〟と捉えられていたため、認知度が低く、定番化しなかった。

現代のユーティリティの形状

「ロングノーズ」形状のUT

現在ではロフトの大きい番手が増えつつある、「ロングノーズ」形状のUT。今後、青木瀬令奈のように、アイアンから置き換えていくプロも増えていくかもしれない。

だが、『インテスト』で市民権を得たUTは大躍進。現在ではミドルアイアンまでも駆逐する勢いがある。形状も2分され、中空アイアン型とショートウッド型があるが、やさしく打てるのはショートウッド型。

理由は、その重心設計にある。重心深度がウッドのように深すぎると、ヒッカケやラフでのテンプラのミスが出やすくなる。

逆にロングアイアンは、たとえ中空構造にしてスイートエリアを広げても、上級者向けの設計で重心深度が浅いため打球の高さが出にくく、パワーがないと扱いづらい。

その点、ショートウッド型UTはレングスに応じた十分なロフトと適度な重心深度で、左を気にせず高弾道を打てるモデルがほとんど。

その形状は、クラブの原点である「ロングノーズ」とよく似ている。現代のUTは、地面から打球をやさしく打ち上げる最善の形状かもしれない。バッグの中がドライバー、UT、ウェッジとパターだけになる未来も想像できるだろう。

【2024年】ユーティリティ/フェアウェイウッドの打ち方おすすめ人気動画3選

ゴルフのUT/FWの打ち方動画で視聴再生回数が多い人気動画から、ゴルフサプリがおすすめしたい動画をご紹介します。 ユーテ...

あわせて読みたい

青木瀬令奈のユーティリティスイング(斜め前方)連続写真【2022年ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント】

青木瀬令奈のユーティリティスイング(斜め前方)連続写真。7月の「資生堂レディースオープン」で見事な逃げ切りVでツアー3勝...

あわせて読みたい

気が付けばユーティリティの時代

40代半ばにして、14年ぶりに会社のコンペでラウンド復帰し、神がかり的なラウンドで100切りを達成し、スコア的には辞める以前...

あわせて読みたい