シャフトの軽量化にはアルミも登場

シャフト重量は軽いほどいい。一時期、スイングの安定性を高めるには、ある程度シャフトは重いほうがいい、という考え方もあったが、現状ではパワーヒッターでさえ60g台のカーボンシャフトで300ヤード超のドライブを放っている。

だが、アイアンはそこまで軽量化が進んでいない。それはプロゴルファーがいまだに重いスチールシャフトを信奉しているからだと思う。

軽量化したシャフトは飛距離がバラつく、ラフで弾道が乱れる、というイメージが抜けないからだろう。軽量シャフトはバラつく、というイメージは、60年ほど前から始まっている。歴史を振り返ってみよう。

1924年にUSGA、1929年にR&Aがスチールシャフトを認可し、一気に木製のヒッコリーから移行するが、このときシャフトは一気に軽量化している。

ヒッコリーは約200g、スチールは約130g。70gも軽くなっているが、トルクは激減。強度もアップしたことで、飛距離も安定性も向上。プロや上級者も移行することに抵抗がなかった。

シャフト軽量化の試み

1967年のマスターズ勝者で、1972年の第1回太平洋クラブマスターズで優勝したゲイ・ブリューワー。使用したアルディラ社のカーボンは「ブラックシャフト」として話題に。

この後、スチールでも肉厚を減らすなどの軽量化は試みられたが、シャフト自体の強度が下がり、フレックスもヤワになるため非力な人向けというイメージに。

ここが「軽量=頼りない」の始まりだろう。

1960年代に入ると、グラスファイバーシャフトが開発される。1965年にゲーリー・プレーヤーが使用して全米オープンに優勝したが、ラフからのフライヤーがひどく、すぐに廃れてしまった。

同時期に、スチールより約28g軽いアルミシャフトも登場。1968年にカリスマ的人気を誇ったアーノルド・パーマーが使用したことで一大ブームとなった。

だが、飛距離がアップするわけでもなく、打感が鈍くなったことが嫌われ、2年と持たずに市場から消えていった。

さて、現代の主流となったカーボンシャフトは、1965年にシェイクスピア社が元祖。だが、日本でのブームの火付け役は1972年の太平洋マスターズで優勝した40歳のゲイ・ブリューワー。「ブラックシャフト」が話題となったのだ。

これからはアイアンも軽量化が進む

トゥルーテンパー社のロングセラー『ダイナミックゴールド』は振動数を重量で管理したモデル。ここ数年、100g以下に軽量化したモデルのラインナップを充実させている。

スチールより30〜50g軽い「ブラックシャフト」は非常に高価だったが、1973年に本間ゴルフがウッドに装着したモデルは大ヒット。

だが、アイアンでは本数的にも高額になりすぎるため、普及しなかった。

ここから、スチールシャフトも軽量化に本腰が入る。個体のバラツキをなくすため、振動数理論を採用した『プレシジョンFM』が登場し、軽くてもしっかりしたシャフトが作れると提唱。

尾崎将司が1980年代に採用して話題となったが、トゥルーテンパー社も定番スチール『ダイナミック』を振動数管理の『ダイナミックゴールド』に移行しつつ、『ゴールドプラス』といった軽量モデルの開発が進んだ。

徐々に変わりつつある軽量化へのイメージ

  • 尾崎将司がアイアンにも採用した『ハーモテックHM-80』は1990年3月の開発されたモデルとして「9003」と印字されていた。ウェッジやパターにも採用された。

  • グラファイトデザインの『ラウネ』シリーズや、フジクラの『MCI』シリーズなど、アイアン用カーボンシャフトは充実してきている。UTとの兼ね合いでさらに浸透しそう。

メタルウッドが普及し、カーボンシャフトだけでなくチタンやボロンといったシャフトが登場した1980年代を経て、1990年代に入ると、40代で快進撃を続けた尾崎将司にあやかったブリヂストンの『J’s』シリーズに『ハーモテックHM-80』を装着したアイアンが大ヒット。

アメリカでも、打球衝撃を緩和するという重量級カーボン『Gルーミス』が話題となった。その後、チタンドライバーの長尺化に従い、ウッドシャフトは60g台へ移行。女子プロは50g台も手にするようになっている。

アイアンはいまだに120g台の『ダイナミックゴールド』や日本シャフトの『モーダス3』シリーズがプロには人気があるが、徐々に変わりつつあるように思う。

1999年に日本シャフトの『NSプロ950GH』が登場し、アマチュアには定番化したものの、プロには受け入れられていなかったが、近年はドライバーの軽量化や女子プロの採用からイメージが変わったようだ。

現在の60g台のスチールが作れる技術なら、80g以上ならしっかりしたものを作れるはず、という安心感が後押ししているのかもしれない。

また、溶接を必要とせず、いわゆる「スパイン」が生じないカーボンのほうが均質性や製造精度は高い。金属をコンポジットしたフジクラの『MCI』が人気だが、今や弾道のバラツキでカーボンを敬遠する理由は無くなっている。