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「短い=ロフト大=ヘッド重」のロフトとレングスの相関関係から、新風は吹くのか

ゴルフそもそも調査部 vol.8【今回の調査テーマ|どうしてロフトが大きくなるとレングスが短くなるのか?】

2023/01/28 ゴルフサプリ編集部

ゴルフクラブ

現代のゴルフギアは、先人の創意工夫が積み重ねられてきたもの。時に感じる疑問や「なぜ」「どうして」を、それらを形作ったきっかけやエピソードで振り返ってみよう。今回の調査テーマは「どうしてロフトが大きくなるとレングスが短くなるのか?」だ。

GOLF TODAY本誌 No.608/134〜135ページより

経験則からスタートしたレングスの基準

地面にある球を打ちやすい長さ。ゴルフクラブのレングスは、大体このくらいなら打ちやすいだろう、からスタートしている。

球が地面をコロがる時代は、現代のパターより少し長いくらいがちょうどいい。打球が空中を飛ぶようになると、振り回して飛ばせる長さが欲しい。とはいえ、シャフトもヘッドも重ければ、おのずと限界が決まってくる。

ヒッコリーシャフト時代、名手ハロルド・ヒルトンは50インチドライバーを振り回したというが、当時の標準は200gのシャフトに200gのヘッドで総重量400g、43インチ前後だった。

ドライバーよりロフトが大きいものは、地面から球を上げやすいことが目的。なので、当初はレングスに差がなく、ヘッドが重くなるアイアンは振り切れないから短くなる、という具合。

ロフトとレングスの相関関係とは

ロフト角とフェースの高さ

フェースの縦幅を変えずにロフトだけを大きくすると、実質的なフェースの高さが低くなってしまう。これを避けるためには、ロフトを大きくするのと同時にヘッドサイズも大きくする必要がある。

初期のアイアンが、轍から打つためにしゃもじのようなヘッドだったのに対し、飛ばすために作られたクリーク(ロングアイアン)はフェース高さがなく、ヘッドが薄いのも軽量化を目指したものだろう。

後にウェッジに進化するニブリックは、フェース高さがないとラフでダルマ落としになることから、十分なフェース高さを出す形状のために、ヘッド重量も重くなった。飛距離を抑える意味でも短くするのは必然で、当時のニブリックの長さは35インチが標準だった。

球が進化し、飛んで止まる糸巻き構造になってから、アイアンの番手で飛距離を打ち分けるようになると、ロフトと長さの相関関係が整理されていく。

少しずつ短くして、ロフトを増やせば飛ばなくなる。10ヤード差がつくのは、半インチ刻みのレングスで、ロフト差はどのくらいか。

ヒッコリーシャフトの時代なので、重量バランスは度外視しているが、短いものはロフトが増えるためにフェースが大きくなり、ヘッド重量も増えた。「短い=ロフト大=ヘッド重」という関係ができ上がった。

元々、半インチ刻みも英国仕様だからで、2センチ刻みでもよかったのだが。ロフトも4度差ぐらいがいい、というのは単なる目安なのだ。

UTの登場でロフトと長さの関係に変化が

FW,UT,アイアン
ロフトはほぼ同じでも、FWとUT、アイアンではヘッド構造もさることながら、レングスの違いで打ちやすさが変わる。長いほうがヘッドスピードを乗せて打てる。

1930年代に重量を正確に管理できるスチールシャフトが普及し、スイングウェイト、いわゆるバランス理論が浸透すると「短い=ロフト大=ヘッド重」の図式は定着した。

1970年代にシャフトの軽量化ブームが起きてもこの図式に変化はなかったが、1990年代に入るとロフトとレングスの関係に新風を吹き込むクラブが登場した。中空構造ユーティリティの元祖、『インテスト』だ。

アイアンがストロングロフト化し、レングスに対して十分なロフトがなくなりつつあった中、ロフトに対して十分すぎるレングスで打ちやすさをアピール。

言ってみれば「長いのにロフトが大きいクラブ」のメリットを打ち出したのだ。

そして近年、ヘッド、シャフト共に軽量化が可能になり、改めて飛距離の打ち分けに必要なスペックを見直す時期に来ているようだ。

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ブライソン・デシャンボー

アイアン全番手を6番アイアンの長さに統一したワンレングスでメジャーにも勝ったブライソン・デシャンボー。使いこなせるのは人並外れたヘッドスピードの持ち主だから?

たとえばブライソン・デシャンボーのように、ワンレングス=同重量で、ロフトの違いだけで打ち分ける発想。

これは現実的にはかなり無理があるようで、契約先のコブラが手掛ける市販モデルはシャフト仕様を番手ごとに変更している。

ただ、このクラブを打ってみると理解できるのは、長くてヘッドの軽いウェッジは打ち分けの幅が広がる、ということ。短く持てばノーマルよりヘッド重量が軽いぶん、扱いやすいし、長く持てば、届かせられる距離が若干伸びる。

逆に、5番アイアンは短くてヘッドスピードが乗らないぶん、キャリーが出にくい。

このことから、ロフトに対して最低限必要なレングスはあるが、長すぎて困ることはないことが見えてくる。

ロフトとレングスの関係性はどうなっていくのか

ゴルフクラブチッパー

短くてロフトが立っているのがチッパー。キャリーで運ぶ空中戦ではなく、低く出てランを計算できる地上戦のほうがアプローチでは有利なことも。近年、人気が再燃している。

21世紀に入ってからは、ヤマハがFWを0.75インチ刻みにしたり、プロギアがアイアンを2本ずつ同レングスにしたりと、各メーカーでもレングスとロフトの新しい関係を模索している。

今や全番手、中空構造でヘッドを作れる。重量も自由自在だ。ロフトが大きいからヘッドが重くなるということもない。

キャリーで打球を運んで止める、ロフトとレングスの新しい関係が生まれるかもしれない。

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