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かつてウッドもアイアンもフェースは凹面だった!いずれはドライバーのフェースが平面になる…!?

ゴルフそもそも調査部 vol.9【今回の調査テーマ|どうしてアイアンのフェースは平面で、ウッドのフェースは曲面なのか?】

2023/03/01 ゴルフサプリ編集部

ゴルフクラブ アイアンウッド

現代のゴルフギアは、先人の創意工夫が積み重ねられてきたもの。時に感じる疑問や「なぜ」「どうして」を、それらを形作ったきっかけやエピソードで振り返ってみよう。今回の調査テーマは「どうしてアイアンのフェースは平面でウッドのフェースは曲面なのか?」だ。

GOLF TODAY本誌 No.609/124〜125ページより

19世紀まで〝スプーン〞は凹面ゆえの呼称

今やウッド系クラブのフェースは緩やかな凸面が常識だが、1世紀ちょっと前までは、逆の凹面が流行していた。

フェザリー(羽毛球)をホッケーのごとく弾いていた時代は、マレット型パターをフラットにしたようなロングノーズ型の木製クラブが主流だった。

基本的にフェースは平面だったが、18〜19世紀後半には〝コンケーブ〟と呼ばれるトゥからヒールにかけて凹面のフェースのものも多く生まれ、その形状が食卓のスプーンに似ていたから〝スプーン〟と呼ばれるようになったのだ。

ホッケー的な打ち方からすると、凹面フェースのほうが球を捕まえやすかったのだろう。だが、19世紀半ばにゴム球のガッタパーチャが普及すると、その硬さでフェースが摩滅、破損するクラブが続出した。

凸面フェース〝バルジャー〟の登場

凹面フェースクラブ

重心が浅いヘッドで打球を右にそらさないようにするには、フェース中央が窪んだ凹面フェースが有効。ルールで禁止される1931年までは、通常のクラブとして存在していた。

全英アマで活躍した名手ヘンリー・ラムは1874年、耐久性アップのためにフェースを凸面にすることを思いつき、カーヌスティの名工ボブ・シンプソンに試作を依頼。

実際に打ってみると、飛距離は伸び、スライスとフックが著しく減少する現象があった。いわゆる〝ギア効果〟によるもので、この凸面フェースは〝バルジャー〟と呼ばれ、大ヒットを記録する。

この〝バルジャー〟からヘッド全体が丸みを帯び、大型化し、20世紀の洋ナシ形に移行していったのだ。

ちなみにアイアンは、轍から拾いやすい凹面のラットアイアンが初期からあり、平面のアイアンと平行して進化。

1930年にボビー・ジョーンズがグランドスラムを達成するが、その時の全英オープンで使用していたのが、凹面のウェッジ形状の〝ショベル〟。優れた効果を示すクラブはすぐに物議となる時代でもあり、翌1931年から凹面フェースはルールで使用禁止となった。

木製クラブの凹面は、1904年に最後の特許取得の記録が残っている。ウッド類ではなくパターで、極端な凹面フェースだったが、当時はセンターシャフトの『スケネクタディパター』の大論争(R&Aは使用禁止、USGAは使用許可)が注目を浴びており、まったく話題にもならなかったようだ。

フェースによる寛容性の向上は、形状から構造へ

ウッド

ギア効果による弾道補正力が高かったパーシモンから重心深度が浅いメタルに移行するとフェースは平らに。ヘッドサイズの大型化で重心深度が深くなると、バルジが復活した。

1931年以降、アイアンのフェースは平面のみ。ただ、スポルディングなどは打点ではないトゥ上を少し反らした〝ファニング形状〟を採用し、フェースが被らないイメージを強調した。

また、本間ゴルフのようにトップブレード際を面取りすることでストロングロフトながらロフト角度が多めに見える工夫などを採り入れたりするモデルが登場したこともあった。

さて、ウッドは1980年代以降の素材、構造の進化とともにフェースのトレンドが激変した。パーシモンでギア効果を計算されていたタテの丸み(ロール)とヨコの丸み(バルジ)が、フェースに重量があり、重心深度が浅い中空構造のメタルでは通用しなくなったのだ。

ヘッド全体のMOI(慣性モーメント)アップでスイートエリアが広がっても、弾道の補正効果はない。ヘッドの後方に見かけのボリュームがあるロングアイアンのようなもので、フェースは平面に近づけるのが正解だった。

ところが徐々に大型化し、キャロウェイの『ビッグバーサ』では重心深度が適度に確保され、ギア効果が復活の方向に。以降、現在のチタンのヘッドサイズに至るまで、フェースの凸面は緩やかになりつつも、確実に施されるようになっている。

とはいえ、現代のギア効果の考え方、寛容性や弾道補正力は大きく進化している。フェースの形状よりも、その構造による開発が顕著だ。

各メーカーの苦労

テーラーメイドの「ツイストフェース」

見た目ではわからないぐらいにフェース面をねじっている、テーラーメイドの「ツイストフェース」。ヘッドの動きと打点のズレの因果関係を徹底追及して生み出した形状だ。

フェースの素材、肉厚などを打点エリアで変化させることで、エネルギー伝達効率を変える。

打点のズレによる飛距離のバラツキ、弾道のズレを最小限にするために、各メーカーが苦心している。

たとえばテーラーメイドの「ツイストフェース」、キャロウェイの「AIフェース」など、今までのヘッドMOIによるスイートエリア拡大とは違う観点で、打点のズレに対する寛容性を高めているのだ。

これは、フェース面が平らなアイアンでも、中空構造を採用すれば同様の機能が期待できる、ということ。曲面に作りにくいFWやUTにも採用できるはずだ。

いずれはドライバーのフェースも完全な平面を良しとする時代が来るのかもしれない。

キャロウェイの「AIフェース」

飛距離につながる反発性能もさることながら、寛容性を高めるための肉厚分布を、人工知能を駆使して開発しているキャロウェイの「AIフェース」。年々進化しているようだ。

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