「見ていて、ちょっと寂しいこともある…」ジャンボ尾崎が明かした、ジュニアゴルファーに求める最大の目的とは?
ジャンボに聞け!ジュニアゴルファーの育て方 VOL.10
今年は2月4、5、11、12日の4日間に行われた「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーセレクション supported by ISPSHANDA」。相変わらずの厳しい眼でジュニア達を見つめた尾崎将司。
勝ち抜いていくのに必要なカード。それは「情熱」だ。ジャンボ尾崎がジュニアゴルファーたちに向けて、熱いメッセージを贈った。「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミーセレクション supported by ISPS HANDA」が2月11日、千葉市内のジャンボ邸で報道陣に公開された。3日間の日程の最終日となったこの日は、プロを目指す23人のうち7人が受験。選考に臨んだジャンボは、ジュニアたちのどこに注目をしていたのか。ジャンボのコメントの裏にある本音を、愛弟子・金子柱憲が解説する。
GOLF TODAY本誌 No.610/110〜111ページより
取材・構成/日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗
撮影/相田克己
自分の殻を破って新しい自分を作ることが最大の目的だから…それには「情熱」が必要なんだ!
「情熱」という言葉がクローズアップされた今回のセレクションだが、表情はあまり芳しい感じではなかった。
ーー選考を終えて会見の席に座ったジャンボのコメントは、のっけから辛口だった。
ジャンボの話 前向きな子が少なくなってきた。前向きというのは自分がこうしたいという目標が見えていること。
「自分がこうすれば、自分が良くなっていくんだ」っていうことをちゃんと意識できる。そういう力はやっぱり必要。
でも(受験した面々は)そこまでいかなくて「ここ(アカデミー)へ来れば多少ゴルフがうまくなる」というスコア的な上昇を期待しているだけ。基本、トレーニングもあまりやらない。
もうちょっと頑張るっていうことが日常生活の中に入ってくれればいいんだけれどねえ。(選考にするにあたって一番大事にしているポイントは)やっぱりそれは情熱だよ。
全国あちこちから受験に来るから、毎回来られるわけではないのだけど、できるだけ数多くのジュニアたちが来られるような態勢をとってもらいたい。そうしないとすぐ元に戻る。いくらいいこと(練習)をしてもそれがやっぱりひと月くらいで元の自分に戻ってしまう。
自分の殻を破って新しい自分を作ることが最大の目的だから、自分自身で前向きに捉えられるようになってもらえばいいのだけれど、ちょっとつまずくと、もうそのまま這い上がる力がない。ちょっと寂しいとこもあるね。
ジャンボが見ているのは、ゴルフに対しての情熱
ーーせっかくセレクションに通っても、アカデミーに来てジャンボの指導を受ける機会を作ることができないジュニアが多いというのだ。その嘆きの裏にあるジャンボの指導方針を、金子がさらに掘り下げる。
金子の話 ゴルフに対してどんな情熱があるのかという所は絶対見ていると思う。実績のない子がジャイアントキリングではないけれど、下から這い上がるには頑張るしかない。
「この子はなんかコツコツ頑張りそうだな」とか、そういうところを見ているのだと思う。
ーー当日のセレクションは、各自ミドルアイアン、ドライバー、80ヤードのショット、羽根の付いた特殊な素振り用シャフトを振る、というメニューで進められた。
ここで何をチェックするのか。ジャンボの解説を聞こう。
素振りから見えてくるもの
ジャンボの話 ミドルアイアンでスイング作りがどこまでできてるかっていうことを見ている。ドライバーは、どれくらいのパワーがあるか。
それから80ヤードのフィーリングの良さだね。ゴルフはトータルスポーツだから何が得意で何が不得手っていうのは、あまりしてはいけない。平均点は取らなくてはいけない。
人より真っすぐは行くのだけれど飛距離は出ない、飛距離は出るのだけれど曲がる。そういう風な、あまり大きな差がないようにね。
素振りは、やっぱり自分の今の自分の力でどれくらいのスピードで素振りできるかね。10連続ってのは、もう本当に息が切れるから。プロ野球選手はお前、2000球打つだろ?それが10回くらい素りしたからってハアハアいってたらしょうがない。
本当は30くらい連続で振らせたのだけどね。30くらい連続で振るとだんだんこなれてきて、いいスイングになってくるのよ。そういうことがわかってくればね、本人が素振りの必要性を感じるのだけど、今の若い子には、そういう素振りの文化がないからね。
ただ球を打ってコース回って、楽しい。私はこうなりたいっていう、ごく単純なる分野でしか進んでいってないような気がする。
本人が3年計画くらいで本当に来てくれれば、まず体力アップから入っていかなくてはいけないってのは理解できると思うのだけど、ちょっとしかいないからね。今の子は辛い、しんどい、汚い、苦しい、悲しい、をやりたくないから。
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金子の話 ミドルアイアンで距離感というか、全体のバランスを見る。それは我々プロもそう。素振りは形よりも、やっぱり一生懸命振るかどうかっていうとこだと思うよ、
多分、頑張る気持ちっていう、普通にたらたら振ってる子よりも、少しでも速く、強く振るところをジャンボに見てもらおうとする子。メンタル面も見えるってことでアピールするってことは重要。
アピールできなくて、落ちたらショックでしょ?爪跡を残すっていうか。そこは情熱にも繋がるのでは。
ーージュニアゴルファーに必要なのは情熱を持ち、長期プランに立って体力づくりにも取り組むこと。今の子どもたちにその姿勢が必要なことを、ジャンボはセレクションを通して強く指摘していた。
金子プロからジュニアへのワンポイントアドバイス
ジャンボもオフシーズンでは素振りをはじめ、テニスラケットを使ってボールを打ったり、スイング作りにはとても多くの時間と工夫を重ねていた。
確かに私も素振りは行いました。トレーニングで様々な場所の筋肉を鍛えてもそれだけではダメで、素振りを取り入れることで、鍛えた大きな筋肉が呼び起され飛距離アップにもつながるのです。
子どもたちの場合は通常の振りより、もうひと頑張りしたスイングで振ることが大事。最初は回数を決めず、限界が来たら休憩する。
量より質を心がけてください。10回でも15回でも20回でも、それを1セットとして何セットかやってみましょう。馴れてきたら回数を増やすことに、チャレンジしてみてください。
金子柱憲(かねこ・よしのり)
1961年3月4日生まれ。東京都出身。日大卒。
14歳でゴルフを始め、アマチュア時代は日本オープンベストアマ、関東学生優勝。1982年の韓国オープンではプロを抑えて優勝。1983年プロ入り後、ジャンボ軍団入り。91年に関東オープンで初優勝。ツアー通算6勝。
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