パターの種類がありすぎるのが迷いの原因に
ゴルフにおいて、パッティングがいかに重要かは、改めていうまでもありません。データを見ても、パッティングがスコアに占める割合は約4割。その重要性は上手い人ほど理解しているようで、トーナメント会場に行くと、日が暮れているのにパッティンググリーンでひたすらボールを打ち続けている選手の姿が必ずあります。
パッティングで使うパターに関しても、上手な人ほど強いこだわりを持っているように感じます。上級者の中には、「ああでもない」「こうでもない」といいながらパターを取っ替え引っ替えしている人が多く、アマチュアゴルファーなのに、“売るほど持っている”人も少なくありません。
なぜ、取っ替え引っ替えする人が多いのか。その要因として、パターの種類がそれだけ多いことを挙げる人もいます。
形状で分ければ大きく4つ。
(1)ピン型(2)マレット型(3)ネオマレット型(4)L字型
ネック形状もクランクネック、ベントネック、スラントネック、センターシャフトなどがあり、これにヘッドやインサートの素材、さらに製法や長さの違いなどもあります。
そこからベストの1本を選び出すのは至難の業。“隣の芝生は青く見える”ではありませんが、ライバルが使っているパターが光り輝いて見えたりして、ついつい新しいモデルに手を出してしまったという人も多いのではないでしょうか。
大きな性能の違いがなくなりつつある最新モデル
とはいえ、クラブ設計家によるとここ数年のモデルに関していえば、性能自体は1つ1つに大きな違いがあるわけではないといいます。その理由は、最新モデルのほとんどが、ロボットテストで開発されているケースが多いからです。
ロボットの動きはストローク中、フェースの向きがほとんど変わらない直線的なもの。つまり、直線的なストロークをしたときに真っ直ぐ転がるパターが高性能モデルと認定され、店頭に並ぶパターも同じ傾向のモデルが多くなるというのです。
しかし、実際のプレーヤーのパッティングスタイルはそれぞれが個性的です。真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す人がいれば、きれいなインサイド・インでも、その円弧が大きい人や小さい人がいます。
しかもストロークの形に関しては“正解”はひとつではなく、どんなスタイルでもOKといわれています。強いて正解を挙げるなら、「その人が常に同じ動きができるストローク」ということです。
そういう意味では、全ての人が真っ直ぐ転がせるパターというのは、この世には存在しないといっても過言ではないのです。
パッティングの名手は、パターの形状や構造をあまり変えない
だから、「高性能で、誰が打っても真っ直ぐ転がる」というフレーズを鵜呑みにするのは危険です。最近は、新しいモデルに合わせて打ち方を変える人もいるようですが、そうするとますます迷路に入り込むことになるとか。実際、プロゴルファーでもそうなってしまった選手がけっこういます。
そうならないためにも、自分自身のパッティングスタイルをきちんと検証し、それに合ったパターを選ぶことが大事になってきます。最新モデルの個性がなくなってきたとはいえパターの種類は豊富で、ツアー中継でもお馴染みの金谷多一郎プロによれば、探せば自分に合ったモデルは見つかるそうです。
事実、プロでもパッティングの上手い人ほど、パターに関しては基本的な形や構造を変えていないといいます。
「もし、全く変わってしまったケースがあるとしたら、それは中尺パターにするなど道具そのものを変えているか、パッティングの意識を大胆に変えているかです。
例えば、握り方を大きく変えて全く違う動きを取り入れている場合は、パターの形状も変えることがありますが、打ち方が変わっていない場合は、手にするパターもそう大きくは変えていないはずです」
ルーツパターを引っ張り出せば、自分の個性も明確になる
これらのことから考えても、全くイメージを変えてしまう以外は、自分にとって“ルーツ”となるパターが、その人にとって最も合っていて使いやすく、しかもよく入るパターになる可能性が高いと金谷プロはいいます。
「自分にとってルーツとなるパターというのは、ゴルフを始めたころに出会ったパターのこと。ほこりをかぶっていたり、錆びているかもしれませんが、もしパター選びで迷っているのなら、一度そのパターに戻してみるのもひとつの方法です」
また、パターを買い替えるのであれば、ルーツパターの形や構造を変えずに、最新のテクノロジーが詰まっているものにしてみるのもいいでしょう。その人にとってはとても打ちやすく、気持ちも落ち着くのでカップインの確率も高くなるはずです。
真鍋雅彦(まなべ・まさひこ)
1957年、大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。
1986年に退社し、フリーライターとしてナンバー、週刊ベースボール、ラグビーマガジン、近代柔道などで執筆。
ゴルフは、1986年からALBAのライターとして制作に関わり、その後、週刊パーゴルフ、週刊ゴルフダイジェストなどでも執筆。現在はゴルフ雑誌、新聞などで記事を執筆するほか、ゴルフ書籍の制作にも携わっている。




