平均ストロークとは?
単純に説明すれば、各選手の1ラウンド(18ホール)あたりの平均ストローク数です。たとえば、A選手のシーズン総ストローク数が7000で、ラウンド数が100ならば、「7000÷100」で70となるわけです。
賞金は好不調の波が大きくても一度稼いだものは減ることはありませんが、平均ストロークは大叩きが如実に反映されますから、賞金ランキングよりも総合力を正しく示すデータといわれることもあります。プロのツアーではとても重要な項目で、特に海外では平均ストローク1位のタイトルは非常にステータスが高いとされています。
ただし、算出方法はツアーによって異なります。
算出方法
●米女子ツアー:総ストローク数をラウンド数で割ったもの
●日本女子ツアー
・パー72で開催される大会:同上
・パー72以外の場合:「ストローク数÷コース所定パー×72」
米女子ツアーは、上記のように単純に総ストローク数をラウンド数で割ったもの。非常に分かりやすい算出方法ですが、実はこういう形は少数派なのです。
日本女子ツアーはパー72で開催される大会のストローク数はそのまま計算し、パー72以外の場合はパー72に換算したストローク数に調整して計算しています。その計算式は「ストローク数÷コース所定パー×72」というもの。パー71のコースを70で回った場合は「70÷71×72」で70.9859となるのです。
ただ、日本女子ツアーはほとんどの試合がパー72で行われているので、調整なしの場合とそれほどの差は出てきません。
米男子ツアーと日本男子ツアーは少し複雑です。難易度は大会によって異なりますし、同じ大会であってもその日の天候やピン位置によって難易度は変わりますから、それを加味した計算方法を採用しているのです。
計算方法の説明は省きますが、簡単にいうと同じ70でも難易度が低かった日、つまり全体の平均ストロークが良かった日は70より大きい数字になり、難しかった日は70より小さい数字になるというわけです。
具体的なサンプルとして、2023年の関西オープンで優勝した蟬川泰果を取り上げてみましょう。蟬川は2日目と最終日ともに67で回っていますが、平均ストロークに採用される数字は違いました。難易度が低かった2日目は67.933と実際のストローク数よりも大きくなっており、難易度が高かった最終日は66.769と実際より小さくなっているのです。
このような計算方法を採用することによって難易度によるばらつきを抑え、より公平な平均ストロークを算出しようという狙いがあるのです。
各ツアーの平均ストローク記録
米男子ツアー
米男子ツアーでは多くの選手が70を切ってきます。昨シーズンはトップのローリー・マキロイ(英国)が68.670で、23位までが60台をマークしていました。
歴代最高はタイガー・ウッズ(米国)が2000年と2007年に記録した67.794です。2000年はメジャー3勝を含む9勝を挙げ、出場したすべての試合(マッチプレーを除く)でアンダーパーをマークしています。2007年は16試合に出場し、7勝して2位が3回というシーズンでした。
68を切っているのはウッズだけ。それだけウッズが飛び抜けた成績を残してきたということで、次に68を切る選手が現れるかどうかも注目されます。
米女子ツアー
アニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が2004年に記録した68.687が長く歴代1位に君臨していましたが、コロナ禍で短縮シーズンとなった2020年にキム・セヨン(韓国)が68.686をマークして更新しました。
近年、米女子ツアーの平均ストロークは良化傾向にあり、かつて69を切ったことがあったのはソレンスタム(計2回)だけでしたが、2020年のキム以降は2021年にネリー・コルダ(米国)とコ・ジンヨン(韓国)、2022年はリディア・コ(ニュージーランド)と立て続けに69を切る選手が出ています。
今年あたり、歴代最高記録を塗り替える選手が登場するかもしれません。
日本男子ツアー
1995年に、ジャンボこと尾崎将司が記録した68.92が今なお歴代1位として輝いています。ジャンボは1996、97年に68.94をマークしており、69を切ったのはこの3例だけ。米男子ツアーのウッズ同様、頭抜けた存在であったことが分かります。
昨年の平均ストローク1位は星野陸也の69.975(※編注:日本男子ツアーの平均ストロークは昨年から小数点以下3桁で表記。それ以前は小数点以下2桁)でした。
70を切ったのは星野1人だけ。近年は1位でも70を超えることがあり、低迷気味です。ジャンボの平均ストロークに迫る選手が出てくることを祈るばかりです。
日本女子ツアー
2019年に申ジエ(韓国)がツアー史上初の70切りとなる69.9399を記録。これが現在の歴代1位です。
昨年は山下美夢有が69.9714で日本選手では初めてとなる70切りを達成。今のところ60台はこの2例だけですが、日本女子ツアーの平均ストロークは良化傾向にあり、今後は続々と出現しても不思議ではありません。
文・宮井善一
1965年生まれ。和歌山県出身。スポーツニッポン新聞社でゴルフ記者を8年間務め、2004年にフリーのゴルフライターとして独立。ゴルフ誌などに執筆のほか日本プロゴルフ殿堂オフィシャルライターとして活動している。元世界ゴルフ殿堂選考委員。


