1. TOP メニュー
  2. テクニックに効く
  3. スイング作り
  4. フェースの開閉が大きいのはNG?打面をコントロールしやすい方法を見つけて、飛距離を生み出すコツ

フェースの開閉が大きいのはNG?打面をコントロールしやすい方法を見つけて、飛距離を生み出すコツ

ベン・ホーガンを先生に!森プロが解説する『アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方』【第12回】

2023/07/05 ゴルフサプリ編集部

ドライバー,ゴルフボール

「スイングは“棒振り”と“面合わせ”」と森プロ。ヘッド、シャフトを効率よく加速して振る感覚と、打点、打面の向きを操作する感覚は分けて考えるという。「ホーガンはフェースの開閉が大きいのに弾道は安定。その理由を考えると“面合わせ”の本質が見えてきます」

GOLF TODAY本誌 No.613 73〜77ページより
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
取材・構成・文/戸川 景 撮影/圓岡紀夫

ヒールを下げ切るイメージで“面”を起こす

打点の内側にヒールを通す工夫が必要

森 守洋

フェースターンを抑えると、逆に弾道がブレやすい、と森プロ。

森プロ「パッティングならフェースターンを抑え込む打面コントロールも可能ですが、スイングでヘッドを加速してヒットする場合はナンセンス。シャフトがヒールに接続している限り、ヒールでヘッド重心をリードするのが、軌道の安定と大きな出力につながります

フェースの開閉を抑えるとヘッド重心のプレーンとヒールのプレーンは平行に動くことになる。

森プロ「「すると、ヘッドを加速しながらヒールのブレーキをかけるようになり、シャフトに余計なトルクがかかります。これがエネルギ―ロスだけでなく、打面のブレや打点のズレを誘発します。

ダウンではヒールでヘッド重心をリードし、途中でヒールを〝下げ切って〟打面を〝起こす〟動きで押し込む。それをスムーズに行う工夫が厚いインパクト、強弾道を生み出すコツなんです」

「遠心力任せ」では安定しない

森 守洋

ヒールを下げて、シャフトをプレーンからかわす動作が入らないと、運動連鎖で加速したヘッドはヒールが先行したまま。

シャンクやスライス、プッシュアウトのミスにつながってしまう。

森 守洋

ヒールを下げる=フェースを起こす動きは、たぐり動作を含めてグリップとシャフトをどうプレーンからかわすかがポイント。

自分なりに打面をコントロールしやすい方法を見つけることが大切。

シャットフェースは飛ばしにはマイナス

ターンを抑えるのはロスが大きい

シャットフェース

ダウンの早い段階でフェースがシャットだと、ヒールでヘッド重心をリードしづらくなる。

ヘッドのリリースを抑えたままハンドファーストでインパクトしやすく、ライン出しはしやすい半面、弾道の高さや飛距離は出しにくくなる。

フェースが開く方向

シャットフェースからヘッドを走らせると、フェースが開く方向にシャフトに大きな負荷がかかる。

手元での押さえや加減が難しくなり、持ち球をフェード、ドローのどちらか一方通行にしないと安定しない。

フェースの“順回転”が打球を強くする

オープンフェース

トップでフェースが開くとつかまらなくなるイメージだが、ヒールでリードするダウンならフェースターンも早く始まり、リリースに間に合う。

左手首が甲側に折れて深いタメになりやすく、正しくリリースできれば飛距離アップにつながる。

アイアン,ゴルフボール

森プロ「ヒールとシャフトがプレーンの内側にかわしてヘッド重心を押し込むと、フェースは“順回転”してボールに強いバックスピンを与えます。
これがブレない強弾道の基本です」

「ヒールを下げて打面を起こす」練習法とは?

【必要で十分なターン】オープンフェースからドローを打ってみる

アイアン,ヒールを下げる

ヒールを下げる

森プロ「ハーフウェイダウンまではシャフトプレーンでヘッド重心をヒールがリード。そこからシャフトが下がることでヒールも下がり、フェースターン。

グリップエンドを少しひねるか、グリップ位置をグッと大きく下げるか。いろいろ試してみてください」

アイアン,球を包み込む

球を包み込む

森プロ「アイアンはヘッド重心の下が打点エリア。フェースターンしないと、打球は右上に逸れてしまいます(下)。

球を包み込むようにフェースを“順回転”させることで打球はラインに押しこまれ、タテのスピンがしっかりかかり(上)、伸びる強弾道になります」

森 守洋

森プロ「ヘッド重心のプレーンに対して、手元とシャフトを下げてかわしながらリリース。ヘッドは“順回転”しながらヒットします」

森 守洋

森プロ「フェースをわずかに開いたままインパクト。ボールが潰れて放たれる時にスクエアになるイメージで、打面を起こす比率と、トゥを回す比率の兼ね合いでストレート(上)とドロー(下)を打ち分けます」

オープンからターンを促すホーガン流の“助走”

切り返しからスピードが乗るオープンフェース

スイング

森プロ「オープンフェースからヒールを下げる意識でダウンすると、右ヒジが自動的にタックインしシャローなプレーンで下ろしやすくなります。また、腕や手のテンションも下げやすく、ヘッドスピードを上げやすくなります」

スクエア

スクエア

ヘッド重心とヒールがヘッド重心のプレーンに乗るのが、トップでのスクエアフェース。切り返しからスムーズなフェースターンが期待できるが、インパクトで返りすぎることも。

シャット

シャット

早い段階でヒールがヘッド重心のプレーンから離れているため、ヘッドに逆回転の負荷がかかりやすい。ヒールを下げ続ける動きを維持するため、ヘッドを加速し切れない。

オープン

オープン

ホーガンのように、ヒールがヘッド重心のプレーンの上からダウンで引き下ろされると“助走”がついた状態で、フェースターンの加速度を加減しながらインパクトに入れる。

番手ごとのたぐり動作をアレンジする

フェースターンは加速するほど安定する、と森プロ。

森プロ「自転車の車輪やコマのように、回転運動はスピードが乗るほど軸が安定します。フェースターンも、シャットフェースからターンを抑えるより、オープンフェースからスムーズに加速してターンするほうが、リピータブルになり、安定した動きを作りやすくなります」

ただし、重心距離の長さや重心アングルの大きさ、ヘッド慣性モーメントに応じたアレンジは必要だという。「同じアイアンでも5番と9番では、フェースターンの量もタイミングも変えます。だからこそ練習で、その違いを把握します。

オススメは、わずかにオープンフェースで当てながらドローを打つドリル。ロフトの大きいものほどオープン度合いを大きくし、ロフトの小さいものほどターンを強めないとドローになりません。たぐり動作のアレンジを実感できます」

Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)

アメリカ・テキサス州出身。身長173cm、体重68kg。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。

ホーガンアナリスト 森 守洋

森 守洋

ベン・ホーガン(1912~1997)を手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。


【アイアンが際立つ!強いアレンジの作り方】
←左腕を意識的に伸ばすスイングはNG!しなやかに"たわむ"左腕がミート率を上げる…そのテクを伝授!
飛ばしたい時ほど左グリップはリキませちゃダメ!右手は緩めず左手の緩急で加速をサポートする→

第11回(前回)を読む 第13回(次回)を読む

シリーズ一覧へ

打感の良さ=軟鉄鍛造だから…ではないんです!重要なのはフェースの○○だった

最近軟鉄鍛造の、カッコいいけどミスに強そうなアイアンが立て続けに発売されています。「軟鉄鍛造だから打感がいいね〜」な...

あわせて読みたい

フェースを返す? 手を返す?って、どうすればいいの? 教えて!大西翔太コーチ!

経験の浅いゴルファーたちの率直な疑問に対して、大西翔太コーチが親切に解説してくれるレッスンシリーズ。第4回のクエスチョ...

あわせて読みたい

吉田優利のキレッキレのアイアンショットは、再現性の高い超シンプルな動きから生まれていた!

いま注目を集める女子プロの〝スイング〟のヒントを、元賞金女王・古閑美保が、簡潔明瞭にレクチャーするシリーズ。第3回は、...

あわせて読みたい