“飛ぶスプーン”とは、スピンが少なくて上がりにくい

いわゆる“飛ぶスプーン”の特徴とは、シンプルに「スピンが少ないスプーン」のこと。スピンが少なくて、打ち出し高さを出すのにヘッドスピード(HS)が必要なヘッドが“飛ぶスプーン”になりやすいです。

それをティアップしたりして打ち出し高さを確保しつつ上手く当てたときに、ドライバーと同じくらい飛んじゃうことがあります。スピンが少なくてヘッド重量が重いこともあるし、弾道の飛行条件が良くなったりするとスゴく飛ぶんです。

「ティショットでドライバーよりスプーンのほうが飛ぶんだ」と言うアマチュアが、たまにいるじゃないですか。それは何かというと、ドライバーよりもロフトがついていて打ち出し角とスピン量が適正になった結果として、スプーンがドライバーより飛ぶということ。

“飛ぶスプーン”と呼ばれるクラブは一様に「スピンが少なくて球が上がりにくいんだな」と思ってもらったほうがいいです。

“飛ぶFW”と“上がるFW”が混在している

ということは“飛ぶスプーン”を“飛ぶスプーン”として使える人は限定されるし、今はプロもそれを嫌う流れがあるでしょう。スピンが少ないということは、どのくらい転がるかとかタテ距離のバラつきが起こりやすくなるので。飛ぶスプーン=HSが速い人じゃないと使えないけれど、HSが速い人が使うと「どこまで飛んじゃうか分からない」と言って、避けられる傾向もあるということです。

PGAツアーの選手たちも意外と、3Wを入れないでロフトがついた「HL」(ハイロフト)とかを使っているじゃないですか。つまり「飛べばいい」ではないんです。280ヤード狙いで刻みにいったのに300ヤード飛んじゃったら、林の中に突っ込んじゃうので(笑)。

一方では、そういう飛ぶFWのロフトがついている番手が「3Wと同じくらい距離が出るからやさしい」という感覚で使うならいいと思います。そういう意味で、高く上がってスピンが入るモデルの3Wとスピンが少なくて飛ぶモデルの5Wって、飛距離が変わらなくなってくるんじゃないでしょうか。そこは「どういう弾道を求めるか」によって選びましょう。今はそのように、タイプが異なるFWが混在した状態ということです。
いたずらに3Wの下に5Wを買い足していくと、3Wと5Wの飛距離が全く変わらない人や5Wのほうが飛んでいる人がたくさんいると思います。昔からある3Wに新しい5Wを加えたら「この3Wより5Wのほうが飛ぶんだよね」という人もいっぱいいるでしょう。

行き過ぎた飛距離の揺り戻しが起こっている

今どきのFWは飛びますが、じつは一回行き過ぎて戻っているんです。だから最近は「スピンが入ります」とか「打ち出しが高いです」というFWがあるでしょう。
思い返せば、十数年前に「ロケットボールズ」(テーラーメイド)と「X ホット」(キャロウェイ)が「ぶっ飛びスプーン」として話題になり、そこから一気に“FWは飛んだほうがいい競争”になりました。そこの時代から「おいおい、ちょっと行き過ぎたんじゃないか」となって戻ったのが今です。その過程では、PGAツアーでも3Wを入れないプレーヤーが増えた時期もありました。

セッティングについて考えるとき「FWは入れなきゃいけませんか?」「FWをコースでどのくらい上手に打ててますか?」「FWって練習場で練習してますか?」という疑問があります。この問いかけに「はい」と答えられる人だったらFWを入れていいと思いますが、そう言えない人がコースで打って上手くいくでしょうか? それならば“生け花”じゃありませんが、キャディバッグに入るクラブのバランスを整えたいという人以外は、入れなくていいという選択もアリじゃないでしょうか。




鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。





鹿又芳典の“推しクラブ”
←女子ツアーでは増えていて、男子ツアーでは減ってるクラブってナニ?

第10回(前回)を読む

シリーズ一覧へ