流行りの飛び系アイアンは番手間ピッチが変わります
石井良介のゴルフ・すべらない話:第24回
石井良介の一面を一人語りという形でお届けする連載企画「石井良介のゴルフ・すべらない話」。第24回は、最近のアイアンのお話です。
写真/ゴルフサプリ編集部
少しの努力で今よりいい結果が出るアイアンは常に探し続けています
ボールの低スピン化が進んでいます。低スピン系のボールは浮きづらい。僕なんかが打ってもそう感じることがあります。浮かないと自分で浮かせようとして下から入れるスイングになり、うまくいかないゴルファーが多くなります。最近はクラブのロフトって大事だなとあらためて思います。
僕にはアイアンで飛ばないことがコンプレックスだった時期があって、いわゆる飛び系アイアンに割と早い時期から食いついていました。友達の7番アイアンのロフトが34度くらいの時に30〜31度を普通に使っていたんですが、打球が浮ききらず、グリーンに止まらないのを目の当たりにしてロフトを33度にした経緯があります。結局、一周回って戻っちゃったんです。
ドライバーが曲がる? それならシェフラーみたいに振りちぎってみたらいいんじゃない
写真/ゴルフサプリ編集部、GettyImages
それでもロフト30度前後のやさしいモデルはずっと狙い続けていてタイトリストのT200も買いました。これは使ってみてそこまでではなかったので手放しましたが、少しの努力で今よりいい結果が出るものがないか常に探し続けています。若い年代の人とゴルフをすると、悲しいかな、かつての先輩の気持ちがわかる。なにしろ打球の高さが全然違う。“球が若い”って表現を使いますが、勢いというか若さみなぎるというか、エネルギーの塊みたいなボールがピシューッ! と飛ぶわけですよ。スコアはこっちの方がいいんですが、球は落ち着き払って迫力なし。もうちょっと頑張れないかなと思っちゃうんですよね。
パワーがなければトレーニングをするか、クラブを替えるかしか方法がありません。ただ、クラブを替えると自分のイメージとは違う球になります。ビシッ! と打って吹いていくイメージなのに、いきなり初速が上がってポン! と上に出る球になる。それに対する使い手の対応力や応用力が問われるわけですが、使いこなせれば体力の低下にもまだまだ抗えると思います。まあ、もっとトレーニングしろよ、という話なのかもしれませんが「わかっているけどできないんだよ」という人もいるわけですから、メーカーさんはそこを踏まえたクラブを用意してくれているんだろうなとは思います。
飛び系アイアンは番手ごとに独自に設計しなければいけない時代
ただ、飛び系アイアンは下の番手になると番手間のピッチが変わってしまうものが多いので、均等になるよう作られているものを選ばなければいけないと思います。特にここ数年出ている中空アイアン、一番わかりやすいのはテーラーメイドのP790だと思いますが、1、2世代目までは7番までは飛ぶけど8番以下が飛びませんでした。オノフクロの先代モデル、ピンのi525もそうで、すごく使いづらかった。7番で170〜180ヤード飛んで、8番が150ヤード、9番が140ヤードでPWが135ヤードみたいな感じだったんです。
これはヘッドスピードによっても変わるので僕の場合は8番以下でしたが、ヘッドスピードが速い人はもっと上の番手で起こり、遅い人は下の番手で起こるので気づかないこともあります。例えば僕がスリクソンのZX-5アイアンを使って、8、9、PWが全部揃っちゃっているという話をすると、うちの生徒さんは8番まではイケるけど9番とPWがダメというふうに、ちょっとズレるんです。で、よーく見てみると、青木瀬玲奈さんなんかは上の番手はZX-5だけど下はZX-7なんですよ。やっぱりわかっているんですよね、クラブの選び方が。
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たぶん一番声高らかに言っておられるのはジューシーの松吉宗之さんだと思いますが、ただロフトを立てたり寝かせたりするんじゃなく、8番は8番、9番は9番としてそのクラブの役割を考え、独自に設計しないといけない。番手別設計はすごく重要だと主張しておられます。実際に僕がA 、B、Cというクラブで「7番まではいいけれど、それより下の番手が怪しい」という話をした時に、それらは作っている工場が一緒で考え方が同だから同じになるということでした。工場のクセで、地面に置いたときの重心の高さを揃えたい傾向なんだそうです。今後は変えてくるはず、と当時はおっしゃっていました。
でも、僕を含めて多くのゴルファーはそこのクラブの打感はいいと感じるので難しい部分もある。全部機械で重心位置をコントロールするのが果たしていいのかどうかわからないし、昔ながらの研磨でやっているクラブがいいという人もいる。どちらも自分の方がいいと思ってやっているわけですから、あとは我々がどちらを選ぶか。いかにゴルフ場で使えるクラブを選ぶかです。
もう一つ言うなら、アイアンセットに対する考え方も大きく変わろうとしていると思いますが、長くなってしまうので、これについては次回にしゃべらせてもらいます。
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。
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