10メートル以上のロングパットは3パットして当然? 2パットで収める方法は?
石井良介のゴルフ・すべらない話:第22回
石井良介の一面を一人語りという形でお届けする連載企画「石井良介のゴルフ・すべらない話」。第22回は、グリーン上でのお話です。
写真/ゴルフサプリ編集部
ロングパットで3パットするのはパッティングに原因があるんじゃない
今回のテーマはパット。中でもアマチュアのみなさんからの質問が多いロングパットについて喋りたいと思います。最初にスコアリング的なことから言わせていただきますが、3パットが多い人がパット数を減らすことを目指す場合、10メートル以上のパットで3パットするか、2メートルから3パットするかでは意味合いが全く違います。
10メートル以上あるロングパットは『アプローチして2パット』という状況と同じだと考えなければいけません。たまたまボールがグリーン上にあるからパターを使うだけ。プロだって10メートルを超えたら3パットの確率は上がるんですから、アマチュアゴルファーは3パットして当然。練習もできないんですからなおさらです。つまり、ロングパットで3パットするのはパッティングに原因があるんじゃなく、そこにしかつけられないショットやアプローチに問題があるんです。
これは“ゴルフがうまくなってきたアマチュアあるある”で、それまではグリーンに乗らなかったのが、ショットがよくなって乗るようになっちゃったんです、グリーンの端っことかに。その結果3パットが増えているだけで、いわばアマチュアゴルファーが通る道。なのに、みんなロングパットを改善させようとします。15ヤードのアプローチで寄せワンを獲るのは難しいって言うくせに、15ヤードのパットは2つで沈めようとしている。パターの方が距離感を合わせるのが難しいかもしれないのに……と僕は常々思っています。
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「どれくらいの速さでボールを転がすか」にフォーカスする
とはいえ、ラウンドでは否応なくロングパットに遭遇しますから、対策は立てておかなければなりません。前述したようにロングパットについては、まずゴルフ場じゃないと練習できないという大前提があります。ですからゴルフ場に行った時に、とりあえず練習グリーンの端から端くらいまで打ってみるのが一つのポイントになります。見た目で「これくらいかな」と感じたまま打ってみて、ちょうどいいか、ショートするか、はたまたオーバーするかで、その日のグリーンが自分にとって速いか遅いかを試します。
それから先、距離感を合わせるにはいくつか方法がありますが、僕はまず10歩の距離を大事にしています。歩測して10歩のところにティを刺したりマーカーを置き、往復してボールを打ちます。真っ平らなラインはほぼありませんから、多少上り下りが入るくらいは仕方ありませんが、極力フックやスライスが入らないラインがいいですね。10歩が打てるようになったら、目印を真ん中あたりに移動させて5歩の距離を同じように打ちます。時間と気持ちに余裕があればそのほかの距離をやってもいいですが、10歩と5歩の2つをやっておけば、ほかもイメージできるので大体は何とかなります。
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打つ時にはボールが転がるスピードをイメージします。これはできる人とできない人がいるので全ての人にはすすめませんが、例えば3メートル打った時に何秒かかったかをカウントします。なぜ僕がこの発想に至ったかというと、もう10年くらい前だと思いますが、冬のオリンピックでカーリングが注目されました。そこで選手たちが「今日のシート(プレーするエリア)は○秒かかる」という言い方をしていたんです。ターゲットまで何秒かかってストーンが滑っていくかを距離感に置き換えていることを知って真似してみたわけです。
こうすると、強く打とうとか弱く打とうとかではなくなり、どれくらいの速さでボールを転がすかにフォーカスするようになります。アマチュアの方の多くは、大きなバックスイングからインパクトを緩めて打ったりしますが、そうではなく「ここは速いから○秒で通す」と考える。いかに打つかではなく、いかにボールを転がすかを考えるようになるわけです。パッティングのことをショットという人はいませんよね。ストロークといって、どちらかといえば“運んでいく”みたいなニュアンスがあると思います。打つのはショット、パットはストロークで転がすものなんです。
手でボールを投げるようなイメージでストロークするのが一番
ロングパットがうまくいかない人にもう一つありがちなのは、ロフトをうまく使えないことです。パターにも3~5度くらいロフトがあります。なぜあるかといえばボールをジャンプさせる必要があるから。グリーンには芝が生えていて、ボールが乗ると沈みます。沈んだところから転がすには一度ジャンプさせなければいけません。ロフトでバックスピンをかけて持ち上げないとボールはコントロールできないんです。かつて片山晋呉さんが『マスターズ』でロフトの多いパターを使いましたが、その方がボールをコントロールできるからでした。一度持ち上げてつかまえ、コントロールしてから転がっていくのがパットの正しい姿なんです。
ところがアマチュアの方には、マイナスロフトで打っている人が少なからずいます。ロングパットでボールがポコポコ跳ねる人はほぼそうなっていますが、これはロフトを立てて上からボールを地面に打ちつけるようにインパクトするから。打ち出す時にボールが地面とケンカするため跳ねてしまい距離感が合わないんです。パット巧者のボールはスーッと打ち出されてスムーズに転がっていきます。
藤田寛之さんは1メートルくらいのショートパットは「ハンドファーストで強く打って初速を上げる」とおっしゃっていましたが、調べてみたらレベルに当たっていました。打ち方はというのはそういうもので、本人のイメージと現実にはギャップがあります。トップアスリートが自分の感覚でやるのは当たり前ですが、プロが言ったことをそのまま真似するのは危ない。ここがゴルフの難しいところなんです。打ち方として一番わかりやすくて誰でもできそうなのは、手でボールを投げるようなイメージでストロークすることだと思います。パターを持っていても投げる感覚で振る。この感覚は一人一人違うので自分の感覚が出やすいんです。
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石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。
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