アイアン4本セットの時代到来!? どうなる、これからのクラブセッティング
石井良介のゴルフ・すべらない話:第25回
石井良介の一面を一人語りという形でお届けする連載企画「石井良介のゴルフ・すべらない話」。第25回は、ストロングロフトアイアンが一般的となった中でのFW・UT、クラブセッティングのお話です。
写真/ゴルフサプリ編集部
アイアンは「7番からPWの4本セット」が売られる時代に
前回は、いわゆる飛び系アイアンを中心に、アイアンについて話しましたが、そこから派生し「アイアンセットに対する考え方も大きく変わろうとしているのでは?」というところで話が途中になっていましたので、今回は引き続き、それについてしゃべりたいと思います。
実際のところ、ここ20年くらいの期間において、アイアンセットに対する考え方は徐々に変わってきています。僕がゴルフをはじめた頃は3番からサンドウェッジまでで1セットでしたが、それがいつしか5番からピッチングウェッジ(以下PW)になり、今では7番からPWの4本セットが標準というアイアンもあります。こうなると、ユーティリティ(以下UT)やフェアウェイウッド(以下FW)なしのセッティングは考えられない。今以上にUTやFWが注目されることは容易に想像できるところです。
例えばUTを含めたセッティングになっていくとすると、UTはアイアンの親分かウッドの子分か? みたいな考え方があって、そのどちら側からUTを作っていくかによってメーカーの色が出てきます。タイトリストはウッドっぽいUTも作るけれど、アイアンぽいUTも作っていますし、キャロウェイはクジラ型のUTの時はアイアンぽかったですが、今はウッド系になっています。
そもそもUT的な形状のクラブは昔からありました。ただ、最近はクラブの内部構造や素材が変わったことで、昔はできなかったことができるようになっています。ちょっと前のUTはボールがつかまりすぎてシャフト選びが難しかったんですが、重心距離の関係か、昔ほど球が左に巻かなくなってきました。
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FWとUTの分かれ目はトップブレードがシャフト線上のどこにあるか
これはジューシーの松吉宗之さんに教わったことですが、FWとUTを分ける条件があって、構えた時にシャフトの線上、もしくは左側にトップブレードがあるのがFW。シャフトより右にズレていいのがUTということ。そのためオフセットでグースに見えるのはFWとは呼ばれないんだそうです。
そこでフェースを前に出し、小ぶりにしてFW化したのがキャロウェイの『UW』で、松吉さんはFWとUTの間を埋める1つの答えだという言い方をされていました。特にヘッドスピードが速い人には、そんなクラブを欲しがる人がいるというわけです。そう言われると、確かに『UW』は男子プロにはドンピシャで、女子はFWの方がいい傾向があります。
今はちょっと下火になった感のあるアイアン型のUTも、消えてなくなることはないでしょう。普通のアイアンが打てる前提で、球が浮いてくれるアイアンが欲しいというニーズは必ずあるからです。結局のところ、これはボールの変化=ボールが浮きづらくなっていることに端を発しています。
極端な話、糸巻きボールならローリー・マキロイもスタンダードな2、3番アイアンを使うはず。でも、テーラーメイドの『TP5』といった類のボールは、打った瞬間にスピンレスで飛んでしまいます。そのためクラブを中空とかにしないと、イメージ通りに浮ききらないのだと思います。タイガー・ウッズでさえ『P790』アイアンや『ステルスUDI』みたいなクラブを使うわけですからね。
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歳を重ねてもずっといいスコアの人は総じてFWがすごくうまい
本来なら3Wのところに球が上がりやすいキャロウェイのHL(ハイローンチ)を使ったりするのもそのため。FWの方がアイアン形状のUTより重心深度が深いので球が上がり、グリーンにも止めやすくなります。以前の7、9Wは歯が出ていて左に巻くイメージがありましたが、特に先代のパラダイム・トリプルダイヤからは7番でもあまり左に行かなくなっています。
僕は先々代のローグの7番を使っていたことがあり、どうにも左に巻くので『UW』を使っていますが、やはりFWにできないものかと諦めきれずにいました。そんな時、パラダイム・エクスクルーシブのトリプルダイヤの7Wを使っている人を見たら全然左に行ってなかったので、そろそろ入れてみたいと思っています。
なぜFWにこだわるのかというと、僕がレッスンしている方で、歳を重ねてもずっといいスコアの人は、総じてFWがすごくうまいから。シニアでFWが苦手な上級者層は少なくて、FWをうまく使えてはじめて、グリーン周りのウエッジ勝負になるところがあります。そんなゴルファーを見てきたので、得意じゃなかったFWを練習して打てるようになった。でも、そろそろ体力も落ちているので、例えばもう一度7WにトライしてUTを組み替えてみようと考えている次第です。
この数年でクラブの性能がアップし高初速化や低スピン化が進みました。ドライバーを買う時にロフト10.5度なんて、ほんの数年前は考えられなかった。ちょっと前の『SIM』や『SIM2』の時には見向きもしなかったのに『ステルス』や『Qi10』になったらはじめから10.5度です。元々スピンが多くて悩んでいたのに、一転、球が浮ききらなくなった。トラックマンがあることで球質までわかるので、自分のクラブ選びが良くも悪くも見えてしまいます。そうなるとなおさら、今のクラブでもっと恩恵を受けられないかと思ってしまうのです。
石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。
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