いいスコアを出したいなら「いいスコア」を目標にしない方がいい!?
石井良介のゴルフ・すべらない話:第29回
ラウンドでは芯に当たったかどうかなんてどうでもいい!
アマチュアの方と回る場合、一打目を打ったら必ず「今のショットは何点でしたか?」と聞きます。この点数は、当該ホールで自分が望むスコアに対して何点か、でなければなりません。例えばパー4でパーを望むなら、ティショットがどれくらい減点されているのかを考えてもらう。本人が気持ちよく打てた、とかいったことは関係ありません。
例えば、ヒールに当たってフェアウェイの220ヤード地点に行って、本人が「60点」とか言ったら「バカ言ってんじゃないよ!」と僕は言います。ボールはフェアウェイにあり、そこから乗せたらパーが取れるかもしれません。ラフに入ったら10点減点、林に入ったら20点減点、というならわかりますが、この場合、4というスコアを実現することに対して40点も減点になる理由などどこにもないんです。
Ai将棋では、一手打つたびに勝率のパーセンテージが変わりますが、ゴルフもこれと同じ。大事なのは、打った瞬間にパーを取れる確率が増えたのか減ったのかを正しく判断すること。フェアウェイに行ったのに60点と言う人は、間違いなくゴルフを難しくしています。フェアウェイなら少なくとも90点以上。ラウンドでは芯に当たったかなんてどうでもいいんです。
2オンしてもグリーンの端ならボギーの可能性が増えます。逆にベタピンならバーディの可能性が増え、パーの可能性が何%になったかを考える。グリーンを外したらバーディやパーの可能性は減りますが、アプローチでワンピンに寄ったら急にパーとボギーの確率が上がります。ファーストパットが得意のフックラインならパーの確率は上がり、スライスラインならボギーの確率が増える……。このように、常に自分がパーを取ることに対して有利なのか不利なのか、確率が高いか低いかを考えています。
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つまりは、パーの期待がもてるストロークを、いかにカップの近くに残せるか、ということ。パーを取るなら、バーディパットを外してパーがベストです。ティショットでOBを打ったらパーの確率はほぼ0になります。セカンドで無理なことをしてミスになり、パーの可能性が潰えそうなら、謙虚に刻めばパーチャンスか残るかもしれない。そうやってパーを取れる可能性をカップの近くまで残せる人がいいスコアになる。腕前によって、パーをボギーやダボに置き換えてもいいでしょう。
田島創志さんとこんな話をしました。「バーディ、バーディとくると、ブレーキを踏んでしまう。どこかで守ろうとしちゃうんですよね」と僕が言うと、田島さんが「みんなそう。俺もそうだよ。でも、そうじゃない奴らがいる。もっとバーディが取れる、と思う奴らがいて、そういう奴らが勝つんだよ」と言われました。「ここがパーなら30台」みたいな時って、みんなそわそわしますよね。それに興奮してワクワクできる人は30台で上がれる可能性が高く、居心地が悪くて仕方がない人は可能性が低いというわけです。
アマチュアの方は、おしなべていい調子できている時にミスるとホッとする傾向がありますが、それじゃダメ。緊張感から逃げたいと思っちゃダメなんです。だって、いいスコアで回りたいから練習して、実際にいいスコアで回っているのにも関わらず、居心地が悪いって変じゃないですか。「緊張したらいつも通り」なんて言われますが、これもダメ。普段「いつも通り」なんて思っていない人が、緊張したらいきなり「いつも通り」になんてなれるわけがないんです。
緊張は受け入れるしかありません。そもそもゴルファーは、お金を払ってゴルフ場に緊張しに行っているんです。言い換えれば、非日常を味わいに行っている。大人になったら、それほど緊張することなんてありません。歳を取れば経験済みのことが多くなり、緊張する機会は減っていきますからね。緊張するということは、少なからず自分に期待をしているということで、自分が若いと思える瞬間。それに乗っかっていければ、いいスコアが出続けるようになると僕は思っています。
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石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。
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